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(67) よく効きます!

 宝木は病院へ行こうか、どうか迷っていた。というのは、悪いとは感じないし、具合が悪いというほどの体調でもなかったからだ。妻に夜な夜な攻められ、宝木は体力的にギブアップ寸前だった。しかし、かろうじて夜のお勤めを果たし、仕事のお勤めに朝、疲れ顔で家を出ていたのだ。妻は益々、つやっぽく綺麗になっていく。それに反比例するかのように、宝木は貧相になる一方だった。これ以上、痩せたくはないのだ。勤務の予定はその日に限っていていて、昼から明日のプレゼンテーション準備だけだった。

 気づけば、病院前のエントランスに宝木は立っていた。そして、いつの間にか受付で手続きを済ませ、待合室の長椅子にいた。

『宝木さん、どうぞ…』

 マイク音が響き、宝木は診察室へ入った。

「どうされました?」

 医者がれた静かな声で言った。

「… どこも悪くはないんですがね」

「えっ?」

 医者は宝木の言う意味が分からず、怪訝けげんな表情をした。

「調子はいかがですか?」

 医者は気を取り直して、またたずねた。

「はあ、おかげさまで…」

「はあ?」

 医者は、やはり意味が分からず途方に暮れた。

「ちょっと、前を開けて下さい」

 医者は聴診器を耳に付けながら、医者のパターンにしようと試みた。それには逆らわらず、宝木は素直に胸をはだけた。

「大きく吸って…。はい、吐いて…」

 医者は聴診器を胸へ当て、上から目線の言い方で呼吸音を確かめた。

「…大丈夫ですね。どこか、調子悪いんですか?」

 医者は、いぶかしそうに宝木に訊ねた。

「いや、どうも精力が…」

「はあ?」

「ナニですよ。ははは、先生…」

「あっ! ああ! ああ! そっちでしたか。ははは…」

 やっと意味を理解したのか、医者は笑って声をやわらげた。

「いいのが、ありますよ。よく効きます! お出ししておきましょう」

「アレですか?」

 宝木は、てっきりバイアグラだ…と思い、ニヤけながらぼかしていた。

「アレじゃないんですがね。…まあ、よく似たようなものです。よく効きます!」

「そうなんですか?」

 宝木は身を乗り出した。

「間違いありません。その新薬、現に私が服用してるんですから。はっはっはっ…!」

 医者は大笑いした。

「ははは…。効きそうですね?」

 釣られて宝木も笑った。

「ええ。間違いなく、よく効きます!」

 医者が太鼓判を押した。その瞬間、不思議にも宝木は、ムラムラと身体に力がくのを覚えた。


               THE END

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