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(58) 危[あや]うい!

 地球カラス会議が世界各国から選出されたカラスの代表達によってカアカアと開催されていた。カラス連合[カラ連]事務局長が口を開いた。

「カア! 最近の人間達は、我々を食べるそうであります。我々は非常にあやうい! のであります。このような食文化が全世界に広がれば、我々は絶滅の危機におちいる可能性もあり、ゆゆしき事態なのであります。本日、お集まりいただきましたのは、この件に関し、皆さま方のご意見を拝聴し、有効な対応措置及び対策を検討いただければ、と考えております。よろしく、お願い申し上げます。時間も限られておりますことから、僭越せんえつながら、わたくしが議長として指名させていただきたく存じますので、よろしくお願い申し上げます。カア!」

 事務局長が、軽く頭を下げて羽根をサワッと軽く広げると、代表達は一斉いっせいにカアカア…と拍手ならぬ歓声をあげた。

「カア! 有難うございます。…では、最初にこの件を事務局へ提訴されました日本代表から、説明をお願いいたします。カア!」

「カア! ただいまご紹介にあずかりました、日本代表であります。我が国の、とある地域では現在、カラス肉を特産品にしようという、実に嘆かわしい事態が進行しております。カラス御膳と名打って、胸肉のステーキ、手羽のから揚げ、ガラスープ、モツの串焼きと、まあ語るも、おぞましく、危うい! 話なのでございます。ここに至りまして、事態を放置できぬ! と決断し、事務局へ提訴に及んだ次第でございます。なにとぞ、多数のご意見をたまわり、適切なる対応措置、対策等をご発議願いますようお願いを申しあげる次第でございます。カア!」

「カア! 有難うございました。では、ご羽根きょしゅいただいたアメリカ代表。カア!」

「カア! あの…モツと申されましたが、そのあたりのくわしいご説明をお願いいたします。カア!」

「カア! では、日本代表、お願いいたします。カア!」

「カア! 失礼いたしました。モツとは砂肝すなぎも、心臓、レバーでございます。カア!」

「カア! アメリカ代表、いかがでしょう? カア!」

「カア! 有難うございました。理解いたしました。それにしても、人間の雑食性は我々をしのぐようでございます。彼等はなんでも食べるようです。カア!」

「カア! 議長もそのように考えます。では次に…」

 事務局長は一堂に会したカラス達を、ゆったりと見回した。

「カア! はい、ロシア代表。カア!」

「カア! 人間世界では今、発言された代表の方と私の国は今一、関係がしっくりしていない訳でございますが、私はカラスとしてアメリカ代表と羽根を携えてこの危機を乗り越えたく存じます。カア!」

 これを聞き、代表達はふたたび、拍手ならぬ歓声をカアカア…とあげた。意見、感想が各国代表から幾つか、述べられ、続いて対応措置及び対策の協議へと会議は推移した。

「カア! 断固、戦うべし! カア!」

「カア! そうだ! カア!」

「カア! お静かに! はい、そちらの代表。カア!」

「カア! 人間はアホウだとアホウドリが申しておりました。私達も心ない人間達に羽毛うもう利用の目的で乱獲され、絶滅の危機に陥ったが、今は反省したらしく、丁重に保護されていると…。ですから、もう少し長い目で彼等を見るべきだと、私は思います。カア!」

「カア! その事実は議長の私も聞き及んでおります。人間は人間同士で戦い傷つけあう、アホウで馬鹿な動物のようです。危うい! のは、私どもより、むしろ彼等かも知れません。私どもが戦わずとも、いずれ…。カア、カア!」

 事務局長は言葉をにごした。


               THE END

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