101古代の儀式をしちまったよ
ホラー小説「キメラ心中」を書いていた時に思いついて、なんやらかんやらで、コッチの方が長くなりそうです。
「ニメット、今からでも考え直していいんですよ」
男の声が古い神殿で響いた。
「うん、でも4人の中だと、私が適任でしょ」
ニメットと呼ばれた少女が答える。
「清く勇敢な乙女は、ニメットだけでありんす。やけどワッチは……」
「せやん、全部アンタに押し付けたみたいやん」
女性3人、男1人のパーティーで女性二人もニメットを引き留めようとする。
「でもさ。このままだと私達の世界は、魔人に蹂躙されて、結局みんな死んじゃうんだよ。だから、勇者の私が供物になって異世界の人と入れ替われば、世界は救われる……そうでしょっ。二人とも泣かないで」
「アンタが泣かへんから……」
「最後なんだし、笑顔で見送って欲しいよ」
「わかったでありんす」
三人は、悲しみながらも、必死で笑顔を作った。
「それじゃぁ、祭壇に上るね」
装備品を外し供物としての薄衣を纏ったニメットは、神殿中央の祭壇に歩き進み、その中央で立ち止まって目を閉じる。
「それじゃぁ、儀式をはじめて」
3人が祭壇に向かって祝詞を唱える。
「創造の神々よ、今ここに清く勇敢な乙女を捧げ奉る」
「この者の代わりに、異世界の強き者を呼び寄せたまへ」
「かしこみ、かしこみ、もうす、もうす」
数百年前、龍神が暴れて世界を滅ぼそうとした。
追い詰められた人類は、この神殿を建て、転移の秘術を開発した。
そして女勇者がその身を供物として、異世界の強者と入れ替わったのだ。
転移してきた異世界の強者は、仲間達と力を合わせて龍神を倒した。
それから数百年が経過した今、魔人が、この世界を滅ぼそうとしている。
女勇者ニメットは、伝承と同じく転移の秘術の供物となる。
3人が祝詞を唱え続けると、ニメットの体が光に包まれていく。
彼女を見知らぬ世界に送り出し、自分達が助かる為の人材を手に入れるという転移の秘術。
でも、それはニメットが望み選んだ。と、3人は思いながら、祝詞を唱える。
そうして、ニメットを包んでいた白い光が消え、ニメットが立っていた場所に人が倒れているのだ。
「よしっ転移の秘術が成功しました。異世界の強者に挨拶しましょう」
男が女性二人を催促し、3人は、祭壇中央へ移動すると。
「なんやっ、何がおこったんや。左半分だけニメットやんか」
「どえらいこと、なっとるでありんす」
「……なにが、どうなってるんでしょう。とりあえず、神殿を出て、宿泊場所まで運びます」
3人は、倒れた人つまり左半分ニメット右半分男を、宿泊場所にまで運ぶのだった。
男の左半分がやって来るシーンは以下のホラー小説になります。
2025年の夏のホラー「キメラ心中」
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え?前書きと後書きでアピールするのが、あざとい?テヘぺろ。