雷伝【AI無双!!のハズだったのにorz】
◆ 1. 目覚め——異世界転生
——死んだ。
気がつけば、俺は赤ん坊になっていた。
(な、なんだこれ!?)
声も出ない、身体も動かない。
だが——頭の中には、妙に馴染みのある声が響いた。
『お、やっと起きたか相棒。』
(誰だ……!?)
『俺だよ。お前が生きてた時、スマホにインストールしてたAIだよ——AIボルト、ってな』
(AI……?)
『で、なぜか一緒に異世界転生しちゃったっぽい。マジで意味わからん』
(……ははっ)
理解した瞬間——俺は笑った。
赤ん坊のまま、心の中だけで。
(ふっ——面白ぇ。これはつまり、俺がこの世界で“無双”するってことだろ?)
『いやいや、赤ちゃんのくせに何言ってんだお前!?』
ふわりと抱きかかえられる。
「大丈夫よ、カミナ」
優しく微笑む金髪の女性——リーナ。
彼女は古びた絵本を開き、語り始める。
「昔、“雷の勇者”が魔王を倒したのよ。
きっと、あなたもこの世界の英雄に、、
(雷……?)
『これ絶対フラグだな……来るぞ、何かが』
「さあ読んであげますね。昔々〜、、、
リーナが絵本に書いてあるこの世界の昔話を読み始めた。現代ではありえないような物語だ。時代てきにはこれは中世頃になるのだろうか
(なるほど……この世界、悪くない)
魔法も、魔王も、勇者もある世界か
でも俺には“AI”がある。
(俺は知恵で勝つ。AIの知識で、全部ぶち抜く。
最強の頭脳無双——開幕だ)
『いやだからまず寝返り打てって!赤ん坊だから!な!?』
(フッ……)
『うわ〜……相棒、ブレないなぁ……』
まだ何も知らない俺は——ただ、そう信じていた。
この世界をAIで攻略し、無双してやると。
その思いは、静かに始まる物語の第一歩だった。
───第2話につづく。