僕は彼女が好きだ
かおるくんだいすきだよ
スマホのディスプレイが光る。何度もみたその文字をみたはずなのに、また少しだけ口角があがる。
僕は彼女がすきだ。
今から家行っていい?
僕はメッセージ検索機能に「は」と打ち込んで最初にでてきたトークルームにそう打ち込み送信した。
「彼女さんのこと好きじゃないの?」
はなは会う度にそう問いかける。シルク素材の生地を撫でながら、彼女の耳に唇で触れた。
「すきだよ」
本当のところ、彼女が1番安心するし傍にいて欲しいとも思う。心地がよいのだ。
「じゃあなんであたしと会ってこんなことしてるの?」
はなとは大学時代就活中に出会った。もともと志望していた会社が同じで、グループディスカッションを通じて仲良くなった。やりたいことは何となく決まっているけれど、希望の職種を決め切ることが出来なくて悩んでいる、そう言った彼女の姿が自分と全く同じで親近感を感じたのだ。活発で明るく、男女関係なく友達を作ってしまうタイプのはなは、ゆまとは正反対のタイプの女子だ。
「はなといると、なんかこう」
「なんか??」
「満たされんの、いろいろ」
今度は唇にキスをした。裾の下に手を滑り込ませ、柔らかい部分に触れる。彼女はもう話すことはできない。
ゆまはいま何してるかな。
僕はゆまが好きだ。
全くと言っていいほど抵抗していない弱い力で、僕の手首を握るはなの中に指を噛ませる。
だけど僕はゆまがだいすきだ。
ゆまとは大学のグループワークが一緒で仲良くなった。マスクで顔は半分見えなかったけれど、はっきりとした二重が印象的で可愛いと思った。最初はとても大人しかった彼女だけど、僕の話に少しずつにこにこ返事をしてくれるようになって、そんなところがいいななんて。大学生のノリでご飯に誘ったのがきっかけだった。女友達か恋人か、そんなことは深く考えてなかったし、それとなく可愛い子と仲良くなりたかっただけだったけど。
ゆまは僕のことを可愛いと何度も言う。たまに子供みたいに可愛がる。ゆまは僕のことが大好きなのだ。そんなおごりがあった。
だからかもしれない。はなと繰り返し会うようになってしまったのは。




