変わらぬ物は無い
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ああ、冗談じゃない。セバスチャンがこの様な冗談を言う筈が無い。人と言う物は自分にとってあまりにも突飛な事を聞いた時、頭が回らなくなる生き物らしい。
いや、そんな事は無い、いや、そうに違いないと。今の私だってそうだ。冷静じゃない事は分かっている。だけれども、自分で見ないと蹴りがつかない。今、口を開いたら支離滅裂なことを言う自信がある。単純な父と母がこの世からいなくなったという情報をこの後に及んで誤報だと思ってしまう自分がいる。二人から常に冷静にと教わって来たのに出来ていない自分が情けない。一番大切な時に教えを守れない自分が情けない。
そんなこんなしている間に、セバスチャンが声を掛けてくる。
「どうなさいますか」
「…案内してくれ」
私は決意をもって言う。たとえ、他の人から見たら小さな事でも、私からすればそれ程大きい事であった。
彼が案内してくれた先は二人の寝室だった。
二人を殺したのは暗殺者だったのだろうか、二人の脇腹には刃物で刺された跡があった。
二人の寝室は、豪華絢爛では無く質素、しかし物は良く堅実、二人の考え方がふんだんに詰まった場所であった。
それらが、一層自分の悲しみを加速させる。
ああ、何故だろうか周りが見えなくなって来た。ああ、このまま見えなくなってしまっても良いのにとも思う。
こんな状況ならなんて救いだろうか。見たく無い物を見なくて済む。なんて救いだろうか。誰が私を批判するだろうか。大切な物を突然失ってこの様な気持ちになる事を誰が批判する出来るだろうか。ああ、神は何て残酷で薄情なのだろうか。頑張っていた二人を見捨てるだなんて。この世は神の手の上で賽を投げて決められているんだろうか。
そんな事を思っていると後ろから声が掛かった。
「どうなさいますか」
セバスチャンからだった。
思えば彼はうちの教育方針に乗っ取り、私にいつも問いかけをしていた。簡単に気軽に答えていた質問がこんなに怖く重くなるなんて思いもしなかった。
「どうなさいますか」
彼はもう一度問いかけてきた。その声は私を現実に引き戻すに十分過ぎる程だった。
「一つ問おう、これは、やはり暗殺者の仕業か。」
「ええ、その通りかと。」
先程の焦燥加減から立ち直ったかの様に聞こえる彼の言葉だが、私はその節々から彼の焦りと怒りを感じていた。
「…王家に書状を書く。世間への公表は王家に知らせてから、葬儀は準備が出来次第執り行う。
私は書状を書いておく。父の書状を見ていたセバスチャンは書くのを手伝ってくれ。
残りの者は葬儀の準備を。分からなければ私かセバスチャンのところに来い。」
「…承知しました。」
ああ、そうだよな。責任をとるべき私があの様な状態だったのだ。
雰囲気がそうなってしまうのも必然だろう。
「取り掛かるぞ」
「…はっ」
重苦しい雰囲気は取り除かれ無かった。
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