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1 第一話

 俺たちが最弱冒険者パーティと呼ばれてもう数年が経つ。

 確かにそう言われても文句は言えないような実力ではあっただろう。

 でも、そうだとしても、こんなのはあんまりじゃないか。


「……」


 目の前に横たわる彼は呻き声一つ上げない。彼は……レインは俺たちのパーティのリーダーとして、いつでも引っ張って行ってくれた。だが今はもうその面影は無い。あと数分もすれば物言わぬ骸となってしまうだろう。

 彼だけじゃない。魔術師も僧侶も、とっくに限界を迎えていた。もう俺たちに生きて帰れる可能性は……無かった。


 俺がもっと強ければ……俺たちがもっと強ければ……こうはならなかったのに……。


「ぁ……」


 最期に彼に声をかけようにも口が上手く開かない。肺も上手く膨らまない。駄目だ、俺ももう長くは……。





『目覚めなさい……』


 何だ、誰かが俺の声を呼んでいる……?


『目覚めなさい……そして、役目を果たすのです』


 役目……?


「……はっ!?」


 俺は確か魔物に襲われて……ってここは……どこだ?

 

 どうやら俺は草原のど真ん中で寝ていたようだ。しかしこの場所に見覚えは無い。おかしい……単独で知らない場所に来ることなどまず無いはずだ。

 どんな危険が存在しているかがわからない以上、下手な行動はしない方が良い。それも最弱と呼ばれている俺たちならばなおさらだ。


「そうだ、武器……はあるな」


 咄嗟に武器を確認する。未知の場所に一人投げ出されたんだ。武器が無ければそこで終わりと言っても良いだろう。

 幸い武器はあった。長年愛用している短剣……言えば聞こえはいいが、結局のところ新調するお金が無いだけなんだよな。


 その他の道具類も無くなっている物は無かった。とりあえず最低限の探索は出来そうだ。もっともそれはこの辺りに強い魔物が出なければの話だが……。


「……!」


 噂をすれば何とやら……と言うやつか。背後で何かの気配がした。


「どうしてコイツがここに……!」


 振り向くとそこには大型の猪のような魔物がいた。

 記憶にある情報が正しければヤツはビッグボアと言う魔物だ。魔物としての脅威度もそれなりに高い。

 俺たちのパーティが全員で戦っても勝てたことが無い相手だ。正直一人では逃げることも出来ないだろう。


 はっ。最悪だ。ピンチを抜けたと思いきやすぐにこれだ。


「グルルル……」


 戦意を喪失している俺とは裏腹に、ヤツは戦う気満々の様だな。そんなに張り切らなくとも、俺なんて簡単に倒せるよ。

 ふぅ、俺もすぐそっちに行くからな……。


「ブホォォ!!」


 ビッグボアが俺に向かって突撃して来た。もうどうやっても躱せない。目を閉じ、その瞬間を待つ。数秒も経たずにこのままアイツに突き飛ばされて……突き飛ばされて……うん?


 いつまで待っても衝撃はやってこない。仕方なく俺はヤツを確認するために目を開けた。


「な、なんだこれ……」


 ビッグボアは体の一部が奇麗に吹き飛ばされていた。

 そしてもっと驚くことがあった。俺の腕が勝手に前に出ているのだ。

 もちろん今まで特訓も実践も何度も繰り返してきている。体が勝手に動くこと自体は変でも何でもない。

 だが、その腕はまるでビッグボアを飛ばしたような形で止まっていたのだ。


 目を閉じていたため、あくまで状況的な証拠で推測したものでしかないが……このビッグボアは俺がやったのでは無いか。そう思ってしまう。


「……いや、きっと何かしらの魔法が既にかけられていたんだ。そうに違いない」


 そう言い聞かせた。自分に秘められた力があるなんて、そんな夢物語を信じるのはあまりにも危険だ。

 ひとまず他の魔物に襲われない内に街を探そう。何をするにしてもまずは安全を確保しないといけない。

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