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#8 武器ガチャ全開


 えーっと、確かこの『学園』ってのは六階だか七階建てだっけかな? うーん、階数もっと多かったかもしれんな。

 だが走りながら生徒たちから今さっき聞いた情報によると、どうやら生徒や教師がちゃんと使ってるのは五階までで、それより上はまだ使ってないだとかでほぼ無人らしい。


 その情報を信じて俺は、


「まずは四階、到着と」


 リリーから指示されたように、さっきチェーンソーで悪ガキ追っかけてた三階より上の階へ進んでく。

 ガーゴイルはそれなりにいるが、四階の状況は……さほど悪くねぇようだ。


「やっぱ上の方の階は上級生いるとか言ってたし、そこまで心配することもねぇのか……?」


「うわ、え!? オッサン誰だ!」

「まさかこの事態に便乗して女子生徒を襲いにきた不審者か!?」


 生徒たちがガーゴイルと戦いながら俺のこと疑ってきやがる。

 いや、何だその思考回路。受験シーズンに痴漢し放題とか考えるクソエロオヤジか俺は。


「違ぇよ! 俺は下の階で特別講師をやってるマコト・エイロネイアー」


「聞いたことある〜!」

「もしかして救世主じゃね? え? あんなオッサンが?」


「うるせぇな! おっさん兼救世主なんだ俺は! 余裕そうだしこの階はお前らに任せたぞ!」


 茶番やってるヒマねぇだろ今!

 四階のガーゴイルが増えつつあることに焦燥感を抱きながらも、生徒どもに呆れた俺は五階へと走った。


 そして、



「さぁ五階に到着……ってスゲェ数!!?」



 たどり着いた五階は、まさかのガーゴイル地獄だった。上級生たちも戦ってるが明らかに対処しきれてねぇ。

 そうか、高度が高い方がガーゴイルどもは入って来やすいのか? いや合ってんのか知らねぇけど。


「グエェェ!」


 一体が俺に気づき突進してくる。

 そいつの後ろでは、


「きゃあぁ!」

「いでで、助けてくれぇ!」


「ギェッ!」

「グゲェェ!」


 数人の男女生徒がガーゴイル達に襲われてピンチらしい。ここはまとめて助けるぜ――!



「ジャンピングフロントキーーック!!」


「ギャゴ!?」



 俺が勢いよく放ったのは、その名の通り『ただの飛び前蹴り』だ。

 とはいえ前からよくやってる慣れた技だし、威力は絶大。


 蹴られたガーゴイルは、生徒を襲うガーゴイルどもを巻き込んでまっすぐ吹っ飛んでった。


「た、助かったよ……!」

「ありがと〜! おじさん強いね!」


「気にすんな。それに、戦いはまだまだこれからだぜ!」


 言いながら『武器ガチャ』発動。

 ――出てきたのは、お馴染みになっちまったフライパン。


 そんなの武器じゃない! ……というツッコミは随時受け付け中。想像力がモノを言う能力なんだそうだ。


「ギェェ!」


「おらよっ!」


「ウギェッ」


 さっきのガーゴイルや生徒達が脇に行った分、廊下の真ん中に立つ俺。当然群がってくるガーゴイルどもを、パコンッ、ポコンッとフライパンでぶん殴ってく。


「いい音するぜ! 音のソノリティー!!」


「ブゲェッ」


 って調子良く振り回してると、


「ギャエエッ!!」


「うお、折られた!?」


 ガーゴイルだって反撃してくるワケで、爪でフライパンが持ち手からブチ折られちまう。

 まだまだ数十体は下らねぇガーゴイルども……だが。


「俺だってまだまだ! 生み出せる武器は無限大なんだよぉ! さぁ何か出ろ!」


 まぁある程度『〇〇出ろ』と思えば当たるんだが、アイデアが湧かねぇ時は『何か出ろ』でランダムガチャが俺のスタイル。


 俺の突き出した両手から生み出された物は――うお!? ズッシリ重い!

 こりゃ、エアコンの室外機じゃねぇか!


「何じゃこの武器はぁ!」


「ギャァ!?」

「ゴウ!」

「ギャァエ!」


 あんまり重いので投げつけてやると、これが案外効くもんで数体を押し潰す。

 さらに生み出すのはハンドガン。今度はガチの武器、銃だ。


 ――え? ただの日本人が銃なんか扱えるのかって? そりゃごもっとも。


「おら、おら、おら、おら! チンタラ飛んでると俺に撃たれるぞ鳥ども!」


 ドン! ドンドンドン! 


 俺の構えるハンドガンは正確にガーゴイルどもの頭や胸を撃ち抜いていく。


 ――これもこの能力最大の特徴。

 能力で生み出した武器の使い方は、ド素人でも完璧にわかっちまうんだ。

 剣の振り方もわからねぇ俺ら日本人には素晴らしい機能だよな。


 ま、楽器とか生み出しても弾き方わからんから、戦闘にどう使うか、しか効果は無いらしい。


 ドンドン! ドン! カチッ……


「弾切れか!」


 銃弾……マガジンってか。さすがにアレを武器と想像して生み出すのは不可能か?

 まぁこの『武器ガチャ』、消しゴムだの空き缶だのも生み出した経歴があるんだ、それらもまぁ投げれば武器っちゃあ武器だし……


 なんて考え込んでると、


「――ギャア、ギャア!!」


「っ!」


 気づいたらすぐ横にあった窓ガラスから、一体のガーゴイルが突っ込んできた。

 やべ! 《超人的な肉体》的にパワーには自信あるが、瞬発力は良くなくてな。さすがに一発もらう展開かと歯を食いしばったが、



「ガーゴイル、成敗! 〈真ん丸斬り〉!!」



 お!?

 さらにそのガーゴイルの横から剣を持った男が割り込んできて、いきなりガーゴイルの腹に綺麗な丸を描くように切り込みを入れる。


 ガーゴイルは驚いて動きを止めたみてぇだが、ありゃ大したダメージ無さそうだぞ。

 薄皮一枚削っただけみたいな浅さ……



「からの、〈中心突き〉!!」


「ゴガァッ!」



 と思いきや丸を描いた直後に剣で、その中心に強烈な突き攻撃。結構な衝撃があったみてぇで、ガーゴイルは落ちて動かなくなった。

 ――まぁ意味あるかというと何とも言えねぇ変な剣技を見せてくれた男は、



「その鎧……お前、騎士団とこの騎士だな」


「そうであります! 自分、サンライト王国騎士団に所属の、アバルドと申す者であります!」



 黒髪で凛々しい顔をした、背すじもピンと張っちゃって、真面目そうな青年アバルド。

 初めて見る顔だが、騎士団の騎士だとさ。


 彼の後ろからも数人の騎士が階段を上ってくるな。こいつらだけ来たってことはないだろ。もっともっと来てるはずだ。


 ガーゴイルの群れはかなりデカいようだし、壁内に侵入してくるなんて珍しいこと。要するに異常事態。

 ジャイロ団長が騎士を送ってくれたんだな。


 ……あれ、まさか本人まで来ねぇよな?

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