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#3 俺の経緯と、プラム

今回で前作の説明は大体終わります。こっからですよ〜!













「なぁなぁ、見張りA。俺らもサンライト王国騎士団として、壁の上から壁外を監視するのも何年目かになるけどさぁ」


「あぁそうだな、見張りB。半年前にマコト・エイロネイアーさんが魔王を討伐したあたりから、魔物が減ったよな」


「平和って良いよな〜」


「だな〜……って、あれ? 何か来てねぇ?」


「来てるって……どこから!? 誰が!? 俺たちサボってないのに!?」


「違う違う! 壁外の、空っ!!」


「空ぁぁ!?」


「何じゃあの量! 空飛ぶ魔物『ガーゴイル』の群れだ!! ……なんか奥にデケェのも見えるような?」


「おいおい、真っ直ぐこっちに――ぐわぁぁぁッ!」


「気をつけねぇと落ち――ぎゃああ!」



▽▼▼▽



「まぁ『ニッポン』からこの世界に飛んできた時、俺は北の森にいた。ほら、サンライト王国(ここ)から真っ直ぐ北行くとあるヤツ」


 思い出しながら語る俺。

 何だかんだ、静かに聞いてる生徒達とフィー先生。ついでにプラム。


 最初は焦ったなぁ。


 もう一度言うが、俺は異世界転移した際に自分に関する記憶を喪失してんだ。

 つまり自分の容姿も、名前も覚えてねぇし、当然ここがどこかもわからんワケで。


「女神様がテレパシーで、ここが別の世界だとか、能力のこととか、あとマコト・エイロネイアーってフザけた名前を教えてくれた……それでもよくわかってねぇのに、俺は行動開始するしかなかった」


 なぜなら、


「そこの金髪のクソガキ――プラムがよ、魔物を引き連れて俺に助けを求めてきやがったんだ!」


「え!? マコト、その話するの!?」


 他の生徒と一緒に席に座るプラムが、青ざめながら聞いてくる。


「当たり前だろ。衝撃的な展開だったんだからな」


「えぇ……やだ……」


 異世界転移直後の話をするとなると、必ず第一の登場人物はプラム。

 そりゃそうだ、正真正銘コイツが俺が胃世界で初めて顔を合わせた人物なんだから。


 だが、


「あろうことかあのクソガキ……魔物が何なのか、危険なのかすら知らねぇ俺に魔物を押し付けて逃げやがったんだよ!」


「う、うわ〜〜! 黒歴史掘り返さないで〜!」


「おい!? 来んな!」


 焦って手をバタバタさせながら、走ってきたプラムが教壇の俺に飛びかかってきた。

 しかし俺は、飛んできたプラムをそのまんま抱きかかえる。


「ちょっ!?」


「俺は見事に魔物どもを蹴散らし、クソガキを追いかける。追いかけてって辿り着いたのが、このサンライト王国だったワケだ!」


 抱きかかえたまま話を続ける。

 そう、プラムは偶然にもこの王国の住民だったんだ。


「ま、マコト下ろして! 恥ずかしい〜!」


「でもってこのプラムは『サンライト王国魔術師団』の見習い魔術師だったワケで、魔物や、何だかんだ路地裏のチンピラからもプラムを救った俺は、魔術師団の寮に住まわせてもらうことになり……こうして俺はサンライト王国の住民になったんだな」


「マコトぉ〜! 下ろしてぇ〜!?」


 サンライト王国には、剣と拳の『騎士団』と、魔法と知力の『魔術師団』ってのがある。

 それぞれこの国を守る、誇り高き精鋭たちだ。


 プラムは偶然にもその魔術師団で見習いをやってて、俺は恩人として寮に迎え入れてもらった。


「んで、そっから冒険者登録をしたり……」


「マコト〜!」


 この世界には、まぁテンプレって聞いたことあるが『冒険者ギルド』なるものがあり、俺も例に漏れずそこで冒険者って仕事を始めた。

 今も継続中。


「元騎士団団長の『英雄』、エバーグリーン・ホフマンと仲良くなったり……」


「恥ずかしい〜!」 


 今は亡き、我が友エバーグリーン。

 この話は……そんなに語ることもねぇかな。


「色々あってな、最終的に魔王を倒したんだ。ただ一つ、懸案事項があるんだが……魔王を殺すと、殺したヤツが新たな魔王になる……って話があんだが」


「「「えぇっ!!」」」


 その話に生徒達はビビり、ガタガタッと机や椅子が後ろへ引かれる音が響く。

 ――ん〜。そうなんだ、話の通りなら俺が魔王になっちまうはずだ。


 だからモチのロン、対策は打った。


「でもマコトは聖剣のエクスカリバーに、エルフの聖水をバシャバシャかけて、魔王の『闇の心臓』を正確に刺したんだよね! 私を下ろせ!」


「そ。入念に『闇』を打ち消したはずなんだ……だから多分、大丈夫だと思うんだけどなぁ……」


 半年ほど経った今んとこは、特に体に異常は見られねぇな。

 いくらか安心したのか生徒達は机を元の位置に戻し始めた。


 ――あぁ、良い頃合いかな。


「確か俺による特別講義は二時間だったな? もうそろそろ一時間目が終わるんじゃね?」


「いえ、あと二十分ほど残っていますが……」


「そう堅いこと言うなって、フィー先生。おいクソガキどもっ、おっさんの長話に付き合ってくれてサンキューな! はいここで一時間目終了!! 休め休めお前ら、次の時間までたっぷり休め!」


「「「やった〜〜〜!」」」


「えーー!? マコトさん何してんですか!!」


 まぁ本来の休み時間と合わせて三十分くらいはあるかな。

 子供達のこと考えたのもあるが、実を言うと、



「プラム……ここよりもう少し年上のクラスに『リリー』がいるんじゃねぇか? 空いた時間で会いに行こうぜ」


「うん!」



 リリーってのは、プラムの友達の女の子。


 ――俺が異世界に来たばかりの頃、生意気なプラムはロクに友達もいなかったんだが、不思議な縁であっさり友達になっちまった子だ。

 この学園に通ってるって話を前から聞いてたんでな。実はプラムと二人で、会うのを楽しみにしてたんだ。


 ってあれ? ひょっとしなくてもリリーの方は、まだ講義中か。

 ま、何とかなるだろ。だって俺は有名人だしな。


 『異世界の救世主マコト・エイロネイアー』

 ……ドヤァァァ。



「ってゆうかマコト!! さすがにもう下ろして!」


「……忘れてた」



 おっと。まだ抱きかかえたまんまだったな。

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