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#125 雷鳴

説明をさせてください。そして謝罪です。言い訳を垂れるくせに、また謝罪もです。クズです。

この1話を何日もかけて書いてました…

それは決してこの回が特別というわけではなく、今、作者の現実世界での状況がちょっと…大変で。いや、そんなに深刻な事じゃないと思うんですが、心身ともにクソ雑魚の作者にとっては耐えられない問題が大量にあるんです。


時間が無いわけではないと思うのですが、ちょっと…書けないんです。心の問題でしょうか。

モチベがー、とか言いたいわけではないんです。間違いなく最終盤なのに、書きたい話はまだ沢山あります。

というか逆に沢山ありすぎて、しかもそれぞれ書くコストが多大すぎて、ちょっと今書けないんです…


っていうかこの作品最初からそうだったんですが、前作のネタとか全然使う気無かったのにこれも作者の悪癖で、後付けとかでも、前に出た話と無理やり繋ぎ合わせないと気が済まない時があったり、そのために前作をまた調べて思い出したり…とかバカやってるんですね。バカです。


超ハイペース投稿だった(?)前作ですら最終章ではインフルとかになって「書けない」とか言ってた気がします。最終章の呪いですか?これは…

状況が落ち着いたら一気に書いて終わらせたいと思っていますし…せめて、せめてどんなに遅くても今年中にだけは!終わりたいと思っています…

ブックマークしてくださっている方、本当に申し訳ありません。僕は、いったい何年待たせれば気が済むのか…自分でも怒っています。

本当に最終盤ではあると思うので、お許しいただける方はよろしくお願いします…









 黒い超巨大ビームが炸裂して、噴き上がった爆煙の中から、


「うお〜〜〜〜〜!!!」

「ぎゃ〜〜〜〜〜!!!」


 ワイルドな四駆に乗った俺とプラムが飛び出す。

 間一髪、車を生み出して避けることに成功した。俺にしちゃファインプレー。



【……避ケタカ】



 ラムゼイが変身したゾンビドラゴンとやらが、ボイスチェンジャーでも使ってるかのようなバケモノボイスで呟く。

 呟いたはいいが、遥か上空にあるそのドラゴンな顔を見てみると……


「おいプラム、あいつ動きが止まってねぇか? はは〜ん。さてはデカすぎる攻撃の反動で動けねぇパターンか」


「そうかもしんない。魔力をめっきり感じられないよ!」


 ゾンビだから元からそうだったのか覚えちゃいねぇが、目に光も感じられん。

 反撃のチャンスかも。


 と思ったのも束の間、



「あ! マコト、尻尾!!」


「は!?」



 助手席のプラムが指差す。ヤツの体は動いてないが、尻尾だけ独立したみてぇにヌルリと動いて先端がこっち向いた。

 こっち見んなと言おうとしたら、その先端が『パカッ』と割れて光り始め、



「ヤバい! さっきと同じような魔力を感じるんだけど!?」


「尻尾からも出んのか!? 反則だろ!」



 さらに、



【〈黙示録の雨(アポカリプス・レイン)〉】


「わぁ〜、上! 上もだよ!」

「逃げ場ねぇぞオイ!?」



 車で走って進んでる方向の上空、次々と黒い魔法陣が現れる。

 どうやらアレからも雨のように魔法が降り注いでくるらしい。


 あっちからも、こっちからも……どうやって避けたら良いんだ!?




「――マコト、嬢ちゃん! 出ろ!!」


「「っ!?」」




 かなり遠くからだが声が聞こえた。一発で誰なのかわかった俺は、


「行くぞ!」

「わぁ!?」


 プラムを抱えて窓を蹴破り、一心不乱に車から飛び出す。

 巨大ビームも大粒の黒い雨も迫る中、


「――間に合ったようだな」


「レオン! 助かったぜ!」

「あ、ありがと〜!」


 向こう側から超高速で飛んできたレオンに抱えられ、ギリギリで魔法攻撃たちを躱す。

 消滅する直前の四駆が木っ端微塵に破壊されてたのは、ゾッとしたけどな。


「何なんだあのデカいのは!」


「ラムゼイだ。変身しやがってよ」


「ラムゼイぃ!? あれが!? ただの馴れ馴れしい新人だと思ったら……俺は今まであんな奴を部下に……」


 それがスパイの恐ろしさだよな。ラムゼイの場合、隠してたこの真の姿(?)もプラスで恐ろしいんだが。




「プラム! と……マ、マ、マコト! 無事!?」


「レオン氏もいるのか!?」




 ん? 誰の声だ?

 上の方から聞こえたが、急に二人分だとわからなくなっちまう。情けねぇ。


「目指せ聖徳太子――ってええぇ〜〜!!?? ジキルと、ウェディングドレスのウェンディ!!?」


「遅っ、今さら気づいたんだ……」


「ってか『ウェディングドレスのウェンディ』って言いにくすぎるだろ! バカか!?」


「誰に向かって言ってるの……?」


 俺が何か言うたびにボソボソとジキルにツッコミを入れられるのが気にならんワケじゃねぇが、とにかく無事そうなのは良かった。

 経緯とか、全然わかんねぇけど。そんなのは全部終わった後でもいいだろ。


 いや、でも待てよ。


「ウェンディもとうとう結婚かぁ。相手が誰か知らねぇけど、お幸せに――」


「する筈がないだろう!?」


「いや別にしたっていい年頃だと思うけどな」


「だ、黙れ!」


 これだけはちょっと触れとかないと失礼だよな。どうやら彼女に結婚する気はなく、ワケありのようだ。



【……ムゥ】



 ゾンビドラゴンの不気味な目が『ギョロリ』と、ウェンディとジキルが拘束されてる十字架を睨んだ。

 ビームの反動は回復したようで、



【オイ……人質ヲ殺セ】


「――結婚相手まで殺すんですか? それともメイド服の女のみ?」


【ドッチデモイイ!! 早クシロ!!】



 ラムゼイの命令に反応し、ジャンプして十字架に接近したのは、


「フィー先生……!」


 プラムやリリーを守ってくれて、俺がてっきり『良いヤツ』判定しちまってた新米教師。

 フィー先生ことフィーナンだった。


 プラムにやられて傷を負ってたようだが、こいつらお得意の再生ですっかり元気だ。


「何をする気だ!」


「命令されたことを、実行するまで」


 ウェンディの問いに簡潔に答えたフィーナンはその場に屈み、





「〈顕現(アニマ)――――阿修羅(アスラ)〉」





 黒い魔法陣の上。

 振り乱れた水色の髪が、どんどん白髪に変わっていく。

 筋肉が盛り上がっていって、女のはずのフィーナンの体が、筋骨隆々の男の体になっていく。

 牙剥き出しで鬼みたいな顔。そんで巨大な体で、その体表は真っ赤だ。


 しかも、


「おいおいおい……何だよアレ、どんだけ()生えんだよ!?」


 ボコッ、ボコッ、と次々に体の横からムキムキの腕が生えてくる。

 遠くてよく見えねぇが……右腕が10本、左腕も10本ぐらいあるな!?

 その全部の手に大剣が握られてる。


 ちょっと待てよ。

 阿修羅?

 アシュラってのなら……俺の元の世界でも聞いたことがある。あそこまでじゃねぇが、腕も多かったような。

 どうなってんだ?


 いやいや、そんなこと考えてる場合じゃねぇか!


【……】


「くっ、腕だけでも動けば……!」

「ちょ、ちょっと誰か! 助けて!」


 変身したフィーナンが20本もの剣を一斉に振り上げながら、ウェンディとジキルを殺しに走っていく。


「ここにいろ、俺が行く!!」


「お、おう。頼む!」


 俺とプラムを残して、レオンがまた超速ダッシュを始める。

 あいつらがいる段まで駆け上がり、


【……?】


「っ! ……お前ら動くなよ!」


「レオン氏!?」


 フィーナンを追い越して、さらにウェンディたちの遥か頭上まで跳び上がってから、



「〈刹那の剣(エフェメラル) (=)流星墜(メテオ・ノック)〉!」


 ――ズドォォンッ!!



 宙を舞っていたレオンが、まさに流れ星みてぇなスピードで垂直に落下。

 どうやら十字架だけを狙って剣を叩きつけたらしいが……? 土埃が晴れて、


「行け!」


「なんて俊敏さ……力を取り戻したのだな、レオン氏! 助かった!」

「こ、こわかったぁ」


 上手いこと十字架だけを破壊したことで、ウェンディもジキルも拘束が解けた。

 武器を取り上げられた二人を逃がし、



「うおおおおおおっ」


 ――ガキィィィンッ!!


【グ……!?】



 フィーナンの剣たちが振り下ろされる前にレオンは懐に超スピードで突撃していき、相手も複数の剣で防御せざるを得なくなる。

 直後、防御に回さなかった剣が振り下ろされるがレオンは既に飛び退いていて空を切るだけ。


 ――ガキン! ――ガキィンッ!


 その後も飛び退いては助走距離を確保して超スピードで突撃し……飛び退いては突撃、飛び退いては突撃と繰り返す。

 その戦法自体は、以前ダンジョンで冬の騎士と戦った時と同じ。


【ウォ……!】


 だが繰り返しの回転率が違う。腕が20本もある巨大なバケモノ相手に、引けを取らないどころか圧倒してるほどだ。


 ――すげぇ。元からガッツのあるおっさん騎士だとは思ってたが、全盛期のスピードを取り戻すとこんなに頼れるなんてな。

 大したモンだ。


 だが今、突撃したレオンは複数の剣に受け止められて吹っ飛ばされ、



「……うおっ」


【ッ……〈幾千の斬強風(サウザンド・ゲイル)〉】


 ――ガギギギギンッ!!



 20本の剛腕が一斉に乱れ斬りをすれば、それぞれから『風の刃』みてぇなのが渦を巻きながら撃ち出される。

 距離を離されたレオンも何とか防いでるが……斬撃が飛んでくるのは正面だけじゃなく、左右にも散らされて逃げ場が無さそうだ。


 あ。前に俺とルークがこの〈混沌世界(カオス・ワールド)〉に入った時、最後の方で飛んできたのもこれじゃねぇか。

 フィーナンの攻撃だったか。


「……まずいっ……!」


「ん?」

「マコト! 行こう!」

「お、おう……おわぁぁ!?」


 連撃を受け止め続けるレオンだが、様子がおかしい。ピンチなのか?

 プラムも気づいたのか後ろから俺のスーツを掴んできて、靴裏からピンク色のジェット噴射の魔法を出す。援護しようってワケだな。


 空中で、


「よし……〈錬金術(クリエイト)〉!」


 右手に溢れんばかりの大量のナイフ、左手にライフル銃を生み出す。

 ガッチャンコして、



「ナイフ投射砲!!」



 光に包まれて、謎の技術で新たな武器が完成しちまった。

 銃弾の代わりにナイフを使い、敵に向かってぶっ放すような銃だ。


 プラムに持ち上げてもらって、バケモノ化したフィーナンが視界に入る。


 ――ボン! ボン! ボン!


 俺が引き金を引いて撃ちまくれば、何本ものナイフが回転しながらフィーナンの背後を狙う。

 だが当たる直前でバレた。


【……!】


 ――ギン! ギン! ギィン!


 顔だけ振り向いてるフィーナンは、レオンへの攻撃を半分止め、こっちへの防御に回す。

 まぁ完全にターゲットを変えさせることはできなかったが、レオンが離れる時間は稼げた。


「あ……危ねぇ! まさか折られるとは……助かったお前ら!」


 間一髪だ。剣が折れたんだ。

 レオンの剣は、止まらねぇ攻撃によって折られる寸前だったようだ。逃げたくても逃げられねぇようにされてたし、しょうがねぇ。


 いくら名も無き剣だっつっても、天下の騎士団の剣だぜ。そう簡単に折れるはずねぇよな。

 それだけフィーナンの攻撃が強烈だったワケだろ。


 何にせよレオンは武器を失っちまったな……


 ん?

 向こうで走ってるウェンディとジキルが何かザワついてるぞ。




「……そんな!? レオン氏の剣が折れるなど、あり得ない……!」


「え? でも今まで、ケガしたとかで全力が出せなかったんでしょ? 空白期間で身体能力だって落ちて……」


「それは彼の体力や筋力の問題で、剣の技術は衰えていなかった。ずっと変わらぬ達人級だ」


「……突然素早くなったから、剣の方が耐えられなくなったんじゃないの? あと相手だって大きな怪物だし……」


「それでも……それでも、やはり不可解だ!」




 離れてるしフィーナン相手にナイフと斬撃の撃ち合いしてるからよく聞こえねぇけど、ウェンディはレオンのことで納得がいってねぇみたいだな。


「……あ」


 俺には一つ心当たりがあった。



『あとは……剣がちょっと手に馴染まないか……』



 超スピードを獲得して訓練中の時、そんなような弱気なことを言ってた気がする。

 今折れたレオンの剣は、騎士団のベテランでも新人でも広く使われてる一般的なヤツだ。普通にしっかりした剣だが……


 そういや半年前……


「マコト、来るよ!」

「ッ!?」


【〈交差斬強風(クロス・ゲイル)〉!】


「〈愛の盾(ハート♥シールド)〉!」


 フィーナンが体の向きも変えて、完全に空中の俺とプラムのターゲット変更して2本の剣で『X』の形の風の斬撃を撃ってくる。

 すげぇ速さでビビったが、プラムがハートの盾で防いでくれた。


 が、


【〈交差斬強風(クロス・ゲイル)〉! 〈交差斬強風(クロス・ゲイル)〉! 〈交差斬強風(クロス・ゲイル)〉!】


 怒涛の連発。

 ヤツの腕と剣は20本あるんだ。そりゃ2本だけで攻撃するんじゃ()()()()()のはわかるが……


「なんか汚ぇな! それじゃ最初の連続斬りと同じようなモンじゃねぇか!」

「やばっ、〈愛の盾(ハート♥シールド)〉が……っ」


 嘘だろ。何発も斬撃を防ぐ内に、浮かぶハートの盾にヒビが入ってきてる。

 俺は『闇』のパワーを溜め、盾が壊れると同時に、


「防げっ!」


 ――ガキンッ!!


「プラム少し離れよう!」

「う、うん」


 闇の手を放って斬撃を一発防ぎ、プラムのジェット噴射で距離を取る。

 鬼のような姿になったフィーナンは、目と鼻が無く、牙だらけの口だけしかない顔で俺たちを見上げてくる。


「盾すぐ使えるか!?」


「ちょ、ちょっと準備しないと……」


「おいおい。てっきり盾も壊れねぇのかと思ってたぞ、無敵の魔法っぽい雰囲気出しやがって」


「『愛』にだって限界はあるよ!!」


「なんか生々しい言い方すんなよ!?」


 やべぇ、また連続斬りなんか飛んできた日にゃ絶対絶命だぜ。闇の手だって万能じゃねぇようだしな。

 ここで、



「わかったぞ、レオン氏!! これをっ!!」


「……ウェンディ?」



 敵に没収された武器を見つけたようで、ウェンディが大声で呼び掛ける。

 超スピードを利用してパンチでもしようかと迷ってたらしいレオンも中断。


 ウェンディは何かを思い出したというか、点と点が繋がったらしい。その結果として放物線を描いて投げられたのは、




「その剣は『雷鳴』!! 貴方が半年前、魔王軍と戦う時! 私に授けてくれた剣だ!」


「あ……あぁ……」


「『団長補佐としてこれからもずっと使ってほしい』と言ってくれたが、見ての通り状況は変わった!!」


「だ、だが……」


「貴方が持つに相応しい! 私は全力のレオン氏に、全力でそれを使ってほしい! 長い間、私に使わせてくれてありがとう! だから頼む、今回は受け取ってくれぇ!!」


「……!」




 そうか、ウェンディが使ってた剣ってレオンからの貰い物だったっけ。

 すっかり忘れてたぜ。超スピードの全盛期では『雷鳴』が相棒だったワケか。


 ウェンディに申し訳なさそうにしてたレオンだが、彼女の必死の説得に頷く。


「すまんっ!!」


【……?】


 パシッ、としっかりキャッチした。

 あの剣、普通のより気持ち細めで、形もほんのちょっと空気抵抗を和らげそうに変えてある感じで、何だか素材も違うようだ。丈夫そうではあるが少し軽いのかも。

 何にせよアレが全盛期のレオンを支えた、超スピードにもついてこれる剣ってワケだ。


 様子がおかしいことに気づいたフィーナンが再びレオンに向き直るが、




「〈閃光の剣(ライトニング)〉!!!」


【ウオオッ……】




 剣でギリ受け止めたフィーナンだが、あまりの衝撃に吹っ飛ぶ。

 不意を突かれたってのもあるだろうが、黒い地面を転がって崖から落ちていった。


 どうやら――ガチで『閃光のレオン』復活らしい。


「助かったぞウェンディ! こうなりゃ、もうちょっと調子に乗ってみるか!」


「その意気だぜレオン!」

「いっけ〜〜〜!!」


 なんだかイキイキしてるレオンは、崖の先端から超スピードで飛び出す。

 弾切れならぬナイフ切れになったナイフ投射砲を捨てた俺も、プラムによって更に上へ投げ飛ばされた。


 向かう先には、




【面倒ナ……次々ト援軍ヲ寄越シヤガッテ……マダマダ来ソウダ。モット『裂ケ目』ヲ()()()()広ゲル必要ガアリソウダ】




 少しずつ反動から立ち直ってきてるのか、ゾンビドラゴンことラムゼイがブツブツ言いながらゆっくり動き始める――




【ン?】


「〈閃光の剣(ライトニング) (=)……ッ!!」

「〈闇の……ッ!!」




 すぐ眼下に突然現れたレオンと俺に、そのデッケェ顔が珍しく驚愕してる。

 まだ状況を飲み込めてねぇな。さぁ景気よくブチかますぞ!!




「――天上突撃(スター・ゲイザー)〉!!」

「――アッパー〉!!」


【ボォオ゛ォッ!!?】




 『雷鳴』を猛然と振るったレオンの突き上げるような突進と、俺が作った太い『闇の手』が、デカブツの顎を打ち上げた。


 完全に不意を突かれたって感じのゾンビドラゴンの眼球はぐるぐると地球儀のように回転してる。

 勢いでそのまま上半身ごと背後に持っていかれ、


 ――ドシィィィン!!


 無様にひっくり返って、その巨大な背中が黒い地面に倒れた。

 この世界全体が揺れたような気がしたぜ。


 ただまぁ、これで死んだワケはねぇよな。




 ――俺としては。


 プラムがいてくれることも、レオンが来てくれたことも、捕まってたウェンディとジキルを解放できそうなことも。


 嬉しいんだが。




 ――ドクン。――ドクン。



 右胸に感じる鼓動。

 やはり、この闇の世界に入ってきてからの、違和感。



「…………」



 味方がいていいのか? 


 ルークの言った通り、また俺は無差別に暴れ出すんじゃないか?




 ここまで集まっちまったら、敵もいるし『裂け目』もランダムな中、味方を追い出すのも困難だ。

 俺が暴走するって確証も無く、しないんなら仲間には居てもらったほうが良い。



 俺は、少しだけ、苦悩してた。

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