庶民は庶民らしく下町でいればいいのに!といつも私をいじめる腹違いのお姉さまの婚約者を私が泥棒としたと怒りますが、もともと私が婚約者に内定していましたのよお姉さま。
「……下町でくすぶっていればいいのに! 庶民のくせに!」
私を憎々し気に見るお姉さま。私の母は商人の娘で後妻です。
でも侯爵のお父様が散財して、お金がないから困ってお母さまを望んで再婚したのですが。
いくら言ってもそれを聞いてくれず、私をいじめます。
前妻は浪費癖がすごくて、それを理由に離婚されました。半分はお姉さまのお母さまのせいなのですが。
私を庶民とからかい、母を早く下町へ帰れとなじります。
父は頼りないのでいつもいじめられていました。
お姉さまと私は5歳違い、15歳から20歳までの貴族の娘が集められ、王太子殿下の婚約者が選ばれることになり、宮殿で選定がはじまったのですが。
絶対自分が選ばれると自信満々のお姉さま、その通り、いったんはお姉さまとなりました。
ええとても喜んで、取り巻きをひきつれて私をからかいにやってきましたわ。
いつものことですが、お母さまを蹴り飛ばし、あなたなんてここから出ていきなさいよと強い目でにらみ、お父様がたしなめるのも聞かず増長しておりました。
だがしかし、お姉さまが使用人を馬鹿にしているとか母を庶民とあざけりいじめているというのがわかり……婚約は白紙となりました。
そして新たに私が選ばれたのですが……。
「泥棒猫! どうしてあなたみたいな下賤の血筋のものが婚約者に、お金か何かつかったのでしょう!」
お金を使っても婚約者にはなれませんことよお姉さまと私が笑います。
だってねえ私は商人である祖父のお金なんて自由にはできませんもの。
あの人は割とシビアですから、母にもそれほどは援助はしておりませんことよ。
お母さまのやりくりで侯爵の家は成り立っているのですわ。
しかし自分が決まったと吹聴していましたが、とても面白いですわ。下賤のものというたびに殿下が嫌な顔をしておりますわよ。
「……私の祖父も商人の出で大臣となった。私も下賤のものだな」
「殿下! 私はなにも……」
「下賤の者同士、うまくやっていくよ。二度とあなたには会いたくない」
殿下の母君のお父様はもともとが商人で、成り上がりで大臣となったつわものです。
リサーチがとても甘いですわねえ。
殿下が衛兵に連れていけと言葉をかけると、お姉さまはあなたが何かしたでしょうと私をののしりながら連れられて行きます。
私はただたんに庶民をお姉さまが嫌い、商人の娘のお母さまをいじめていると本当のことを申し上げただけですわ。
私はにこりと笑い、庶民の血が入った者同士幸せになりましょうねと殿下に笑いかけたのでした。
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