ジェシカ社長の弟
引き続きよろしくお願いいたします。
生放送で無事に番宣終えて数日後、思った以上にいろいろと評価を貰った。
露出多めの衣装の事も神秘的なのにエロいとか、役と全然違って爽やか系だったとか世間様の間で少し騒がれた。
そのおかげもありCMの話が数本来てジェシカ社長が選び3つ撮影をする事になった。
報酬が3つとも驚くほど高かったのは今でも不思議だ。
そうして今日は初CMの撮影の打ち合わせをする為にジェシカ社長に会いに来た訳なんだけど…………あれ?
社長室の前まで来ると何やら部屋の中からジェシカ社長の怒鳴り声が聞こえてきた。
一緒に来た鮎美も困惑した様子で2人でそっとドアに顔を近づけた。
「何回言わせるの!前もって連絡してから来なさい!あとジェシカ姉さんでしょ!!!」
「……………………って、兄さん!」
相手の声が小さくてよく聞こえないけど、弟さん?
「いいから、夜に上に来なさい!今は予定があるから後にして!」
へ〜ジェシカ社長がこんなに感情的に大声をあげるなんて初めて聞いたわ。弟さんってどんな人なんだろ?
そう思いながらも未だにドアに鮎美と2人で聞き耳を立てていると後ろから声を掛けられて驚いてしまった。
「何やってんの?」
「ひゃ!」
変な声をあげてしまったけど、振り返るとそこには橘 雅史さんが不思議そうに立っていた。
「…………いや、中から怒鳴り声が聞こえてきたんで…………」
「怒鳴り声?……………………あ〜〜わかった!彰人さんだと思うよ。」
「あきとさん?」
「そう彰人さん、ジェシカ社長の10歳下の弟さんで個人で研究してる人だね。」
「へぇ〜やっぱり弟さんでしたか、それで何の研究?」
「え~と確か…………あれ?何だっけ?あっそうだ!地震の研究してるって言ってた気がする。」
気がするって相変わらず何処かいい加減な人だよな〜この人。
って橘 雅史さんは私達の前で普通にノックした。
え?空気読もうよ!
「社長、失礼します。」
と間も空けずにドアを開ける始末。
ある意味凄いよね、この人。
空いたドアから部屋の中をそっと覗くと無言で相対している2人が見えた。
ジェシカ社長は相変わらずの派手なスーツに対して、普通のスーツの後ろ姿の男の人が見えた。
そりゃ兄弟だからって同じ様なスーツは着ないよな…………なんて脳内でツッコミを入れていると彰人さんと思われる人はジェシカ社長に一礼してから私達の方へと歩いて来た。
あっ!この人見覚えある!
確かあの地震があった後にTVで地震について熱く解説していた人だ。
流石にあの時TVで見た姿より若々しく見えるけど、堅そうなイメージは変わっていない感じだ。
そうそう、なぜ覚えているかと言えば解説だけでなく太平洋側は周期的に大地震が起きているのに全くと言って国が対策を行っていないと解説が途中から批判に変わり司会者に止められても騒ぎ続けたからだ。
あの騒ぎ様にポカーンとして見ていた覚えがある。
まさかジェシカ社長の弟さんだとはね。
そんな弟さんも私達の横を通り過ぎる時は軽く会釈をして部屋から出て行った。
その姿を見送っていると部屋の中からジェシカ社長の声が聞えた。
「ごめんなさいね。どうぞどうぞ入って…………変な所見られて恥ずかしいわ。」
3人が部屋に入ると橘さんが話始めた。
「またですか?今回は3ヶ月ぐらいですか。」
「…………そうね。でも仕方がないのよ…………きっかけはあたしなんだもの。」
「まぁ、僕が何か言う立場ではないのでいいですけど。」
なんだろう?また?3ヶ月?
「本当にごめんなさいね。さて気持ちを切り替えてお仕事のお話しましょ。」
そうしてそれから1時間ぐらいCMの仕事の内容の説明を受けた。
説明の話を聞いてる途中でもどうしてもジェシカ社長の弟さんの彰人さんの事が頭から離れずに気になっていた。いや好みとかそんな話では無くて!
そしてピンっときた!使える!
そう思った私はCMの話が終わった所でジェシカ社長に思い切って聞いてみた。
「あの、さっきのジェシカ社長の弟さんの事なんですけど聞いていいですか?」
「あら?好みだった?」
「いやいやそ〜いうのじゃなくて!また?とか3ヶ月とか何の事ですか?気になってしまって。」
「……………………はぁ、仕方ないわね。あの子は私の10歳下の末の弟なのよ。今は個人で地震の研究をしているんだけど、研究にはお金が掛かるみたいで援助してあげてるの。またってのは援助のお願いの事で、3ヶ月と言うのはこの前援助してからの期間の話よ。」
「へぇ〜そうなんですね。研究とか凄いんですね。」
「凄いも何も全然ないわ!何もお金にもならない、評価もされないただの道楽者よ!」
そう言うジェシカ社長は悔しそうにしていた。
「紹介してください!お願いします。」
まさか私がそんな事を言うとは思わなかったのかジェシカ社長と橘さんは固まってしまった。鮎美は何の事みたいな不思議そうにしていたけど。
「彰人さんの協力がどうしても必要なんです。」
真剣にジェシカ社長に向けてお願いするとジェシカ社長はハッとした様子で真面目な顔で考え始めた。
「…………もしかして…………恩返しに必要な事?」
「はい!」
「あの子が?」
「はい!多分…………いえ絶対彰人さんが必要だと思います。」
それから少しの静寂の後、ジェシカ社長は嬉しそうに
「わかったわ。ありがとう、まさかあの子のしてきた事があなたの助けになるなんて…………誇りに思うわ。」
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