ドラマと歌の評価
ドラマの初回放送が流れた次の日。
いつもと変わらない朝。
朝のニュース番組もいつもと変わらない日々のニュースと天気予報。
変わった事といえば9時頃に鮎美が事務所からの連絡を伝えにきた時ぐらいだ。
夕方に2本、夜に1本テレビ出演する事になったからと…………
それを聞いた私は「へぇ~大変だね~。」と普通に返事をしていた。
それから詳しい話をされたけど、何処か他人事の様に聞いていた。まるで実感がなかったから。
とりあえず覚えたのは会社から16時にテレビ局に向かうと言う事とそれまで自由にしていていいとの事だった。
そんな感じの私を見て鮎美はドラマの事で落ち込んでいるのかと勘違いしたのか
「絶対おかしい!あのドラマの初回視聴率が5.1%だなんて絶対おかしいって!」と不満を言い始めた。
いやいやそれは多分私のせいだから。
有名な橘 龍堂さんが脚本を務めたと言っても、主役の私は何処にも番宣にも顔を出していないし、テレビでの放送予告にも私の後ろ姿しか出てない。それに内容の説明だって娘に父が乗り移って事件解決とかそれだけだし私でもそれしか情報がないなら興味が沸かないもの。
母さんはドラマの放送が終わってすぐに電話で「あなた演技上手だったわよ。それに歌も心に残る感じで良かったわ。」と褒めてくれた。けど、母さんは私が出るってからって視てくれたのであって、注目のドラマでもなかったから他の人が私目当てで視てはいないと思う。
【実際は地元だけでの視聴率は70%と脅威的な数字になっていた。】
歌だって昨日のドラマのオープニングで流れた3分程にしたものだし、昨日聞いて今日すぐに買いに行った人なんていないんじゃないかな。
【地元ではファンクラブからの送付が間に合わず待ちきれずに朝から列が出来ていた。】
それでも初回で5.1%も出たのは共演者のファンの方々のおかげだと思う。
あぁ~共演者のみんな怒ってるだろうな~。
どうすれば売れるようになるんだろ?
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事務所ではマネージャーの熊谷さんに連絡を入れた後から電話が次第に鳴り始めていた。
内容は何処も同じだった。
「うちの番組に『神代姫華』出演お願いできませんか?番宣も勿論OKです。」
次第に対応に追われ困った事務はジェシカ社長に連絡を入れると「もう3件決まっているから全部断わって。」とまさかの指示だった。
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ドラマ初回放送を視た人々①
主婦
それは偶々、チャンネルを変えずにそのまま視ていたら始まったドラマだった。綺麗な歌声で始まったドラマは刑事ものでちょっと変わった感じなんだろうな~と軽い気持ちで視ていた。
刑事の父が殺され娘さんが本当に悲しそうで可哀想だなって視ていると……………………物語は進み、憑依の場面は本当に怖かった。
そこから目が離せなくなった。途中、中学生の娘に声を掛けられたけど曖昧な返事で「後でね。」と返して視ていた。ドラマが終わった時には娘も隣に座り視ていた、気づかないほど夢中になっていたみたい。
娘も「あの子凄いよね、外見はすっごい可愛いのにおっさんに見えた。マジで憑依されてんじゃない?」
私も同じくそう思った。次回も楽しみ。
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ドラマ初回放送を視た人々②
大学生(男)
バイトから帰って来て何気なく付けたテレビ。
見た事のあるCMが次々と流れていた。もう何回も見た事があるせいで興味はなく映像を特に見る訳でもなく音を聞いていた。その音で平穏な部屋に戻ってきた感じがしていた、部屋着に着替えそしてベットへダイブした。
目を瞑り今日バイトで失敗した事を思い出し後悔していると、初めて聴く声と演奏に後悔していた気持ちがその音に意識が移った。別に歌詞を覚えようとも思っていないのに何故か耳に残る歌詞そして優しく心に沁みてくる。
「あなたの想いは私に届いてる、みんなの幸せを願ってるの。、今日を明日を生きるあなたは輝いている。寂しくないわ、明日はあなたと会えるから。」
生きるあなたは輝いてるか…………俺も
バイト仲間の言葉を思い出す。「わかってるって、明日は上手くやれるって。」
明日か…………そうだよな、頑張るしかないよな。
よし!風呂入って寝るか。とベットから立ち上がり風呂の準備をしているとテレビから女優の声が耳に止まった。あれ?この声ってさっきの歌の声と同じじゃね?
テレビを視るとそこには美少女。途中から見たから内容はイマイチわからないけど、俺はその美少女から目が離せなくて最後まで視てしまっていた。風呂は途中で沸いていたみたいで保温になっていた。
彼女が歌っているのか…………名前何ていうのかな?何て名前の歌かわかんないけど明日売ってるか見に行ってみよ。
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ドラマ初回当日の地元
市長
いや~次も楽しみじゃ。なかなか良い感じの姫のお披露目になってわしは満足じゃ。これで街も有名になるじゃろな。さてさて、まずは宿泊施設を増やすか………いやまずは姫に見合ったコンサート会場の建設かの………。
初回を視た人は少なかったが、誰もが彼女に惹かれ始めていた。
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お昼過ぎに鮎美に事務所から連絡が来た。
明日の仕事の話で打ち合わせをするから夕方に社長室に来て欲しいとの事だった。
ドラマの撮影が終わって今度はどんな仕事かな?
今の電話で鮎美にはマネージャーとしての仕事も言われたらしく夕方までは別行動になった。
私だけお休みですいません。鮎美頑張って!
鮎美を送り出してから私は何をしようかな?と悩んだ結果、外出する事に決めた。
目的は本当にお店に私のCDが売っているのか気になったから。売れているのかな?
恥ずかしい気持ちと期待にドキドキしながら、会社から近い売り場へ向かった。勿論帽子で顔を隠す様にちょっとした変装をして。
するとありました!ありました!
私の恥ずかしいコスプレ姿の表紙で昔風のシングルCDが売っていた。昔のシングルCDって縦に長い感じだったんだよね~大きさも小さいやつ。
思ってた以上にお店の売り場では結構な数が置かれていて大きな字で『神代姫華!デビューシングル』と宣伝されていた。
嬉しさと恥ずかしさで何かムズムズする感じだった。売れているのか気になったので、少し離れた場所でCDを見ているふりをして観察してみると…………
おっ?観察を始めて3分程で私の願いが叶いそうだ。
店員に案内されて男のお客さんが私のCDが売っている場所にやってきた。それからCDの裏とか見てすんなり一枚手に持ちレジへと向かって行った。
やった~!お買い上げありがとうございます。
まさかこんなにも早くに売れる所を見れるとはラッキーだ。
売れる所も見れたし満足した私は帰ろうとすると、見覚えのある女性が来た。あれは…………金田の嫁(未来の)?
えっ?何でここにいんの?
確か地元の美容師の学校にいるんじゃなかったっけ?もしかして…………金田がこっちに来た事で未来が変わった?
やっぱり運命の人とは離れられないとかなのかな?
そんな事を考えながら物陰から見ているとまさかの展開で、彼女は私の視線を感じたのか急にこちらに視線を向けた。
目と目が合いどちらも止まる時間。距離的には5mもない。
何で私を見つめているの!
ドキドキしながらも視線を外せないでいると、彼女は目を細めて私を確認すると突然目を見開きいきなり向かってきた。
その迫力に私は本能的に逃げたくなった。だけど間に合わずアッというまに彼女は目の前にいた。
「あの、黒沢…………いえ、神代姫華さんですよね?」
読んで頂きありがとうございます。




