ワールドスタープロダクション本社⑨
本社に戻ってきた。
移動中に橘さんが今日はもう仕事は終わりで、午後から休みでいいと言ってくれた。あとジェシカ社長からの伝言で「観光でもしてきたら?」との事だ。
俺も鮎美も喜んだ。明日午前中観光するつもりだったのが、半日分時間が増えたから。
居住区の14階の部屋に向かいながら。
「どうする?どこ行く?」
「今日のうちに浅草とか秋葉に行ってみる?」
「やめにしたディズニー行ってみる?」
とか言いながら部屋に戻り着替えた。
今のこのままの服装ではダメらしい。出発前から鮎美は田舎者に見られたくないからと、数着お出掛け用で準備していた。いや、俺もさせられていた。
逆にそういう所が田舎者ぽいのでは?と思ったのは怖くて言えなかった。
そして鮎美と俺は観光に出掛けた。
ーーーーーーーーーージェシカ社長視点----------
おはようございます。
優紀ちゃんの元気な挨拶が社長室に響いた。
優紀ちゃんには内緒で昨日からあたし流の特別芸能力テストをして貰ってる。
そして今日も夜までテストの予定。
あたし的には午後のテストは要らないってわかってるんだけど、他の子にもしたからやらない訳にいかないのよね~。
それにしても今回は鮎美ちゃんのお陰でやり易いわ。
さて今日は橘ちゃんに任せてあたしはあたしの仕事をしないとね。
そして予定通りに富岡っちがやってきた。
「よう。朝から俺を呼ぶなんて珍しいな。…………まぁ、なんだ。あれだ、言いたい事はわかってるけどな。」
「おはよう、富岡っち。いえ富岡さん。そうね、朝からとかもう何年振りかしらね…………………それで富岡さんは優紀ちゃんの曲をどう思うの?」
「そうだな……………………まだ3曲しか聴いてないが、1人で作ったとは思えないな。どれも共通した癖が無い。普通は同じ奴が作ったなら歌詞やら曲調に出るんだがそれが一切感じられない。逆に別人が作ったとしか感じられないな。」
「……………………そう、やっぱりそうよね。3人…………いえ優紀ちゃんが1曲は作ったとしても2人の協力、もしくは誰かの曲をマネた可能性があるわね。」
「まぁ、そこん所は本人に聞くしかないんじゃないか?俺は姫さんが誰かの許可も取らずに勝手に歌ったとは思えないけどな。」
「そうなのよ。あたしも優紀ちゃんがそんな事する様な子とは思えなくて……………………もし協力者、それか誰かの曲なら馬鹿正直に作った人の名前言いそうだもの。」
「……………………まぁ、午後にはわかるだろ。あの曲を作りそうな奴に声を掛けて集まる様にしたんだろ?俺にも呼ばれた奴らから何で呼ばれるか知らないかって問い合わせがきたからな。」
「あらあら、それだとあたしに呼ばれるのが怖いみたいじゃない。失礼しちゃうわ。」
「……………………(いろいろな意味で怖いだろうな)」
「あっ、それから富岡さんも午後からの会議に参加してね。」
「あぁわかってる。」
そうして富岡っちとの打ち合わせを終え、あたしは午後の会議までいつもの仕事をしていた。
途中に何回か橘ちゃんから優紀ちゃんについての報告受けた。
女優としてもデビュー出来そうね。
午後からの会議には参加要請をだした15人中11人が集まってくれた。
他の4人はロスにいたり地方にいたりと参加出来なかったみたい。運が無いわね…………
「さてと……………………急遽だったのだけど、皆集まってくれてありがとう。今回皆さんに集まって貰ったのはちょっとした確認と新曲の依頼なの。詳しい事は手元に準備してる資料を見てくれればわかるわ。それと今日のこの会議の内容は極秘案件となるから誰にも言っちゃダメよ。………………………………さて、早速だけどこれを聴いて欲しいの。」
今回の会議では優紀ちゃんに昨日歌って貰った3曲を聴ける様に、各自席にヘッドホンを準備していた。
皆がヘッドホンを装着したのを確認し3曲を一気に聴いて貰った。
曲が終わると感動して涙ぐむ者と目を閉じて余韻に浸っている者、興奮して騒ぐ者に別れた。
「な、何ですかこれ!歌っているのは誰なんですか?誰の曲なんですか?」
まぁ無理もないわね。
「は~い!静粛に!静粛に!」
皆が落ち着くまで少し待ってからあたしはまず確認する為に質問した。「この曲を聴いた事ある人、もしくは作曲中だって人はいる?」と。
すると誰も手を挙げなかった。そう…………誰もいないのね。
次にあたしは「この曲を作りたい人誰かいる?」と質問すると手をあげる者はいなかった。
皆困惑していた。そして逆に質問された。
「あ、あの、ジェシカ社長。どういう意味かわからないんですが…………今、聴いた曲を作るとはどういう事ですか?完成していない様な言い方ですよね?」
そこからあたしはこの曲はこれが原曲で未だに楽譜にも落としてない事を説明した。それと優紀ちゃんの事は資料にもだけど期待の新人としか書いていない。その期待の新人の説明も少しすると驚きの声があがった。鮎美ちゃんにも確認して貰ったのだけど、優紀ちゃんは楽器の演奏どころか楽譜も書けないと。
そんな子がここまで完成度の高い曲を作ったとなればそれを仕事にしている者からしてみれば脅威を通り越して天才としか言えないだろう。
完成された曲を作りたいとは思う者は誰もいなかった。逆にこの声に合わせて自分で曲を作りたいと数人の希望者が出た。とりあえずデビューしてから依頼を出す事で、希望者とは話をすり合わせて行く事になった。
仕方ない、この3曲は富岡っちに頼むしかないわね。
会議は解散して終了となった。
そして夜に報告を受けた。午後からのテストの結果を…………
読んで頂きありがとうございます。
ダメでした…………もう一話ワールドスタープロダクション本社編⑩書きます。




