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友達 【リメイク版】

11/26修正追加しました


お店から意気消沈して俺は家に真っ直ぐに帰って来た。


下着が思ってた以上に高かったからが3割で、女性としての生き方がわからない不安が7割。

どうして不安になったかと言えば下着の付け方がわからなかった事や下着の値段などを知らなかった事で、ふと気がついたからだ。


月に一回くると言うアレの対処の方法や最低限の化粧の仕方や服とかの選び方。

部屋の棚には見慣れないアレの対処用の品があった事から、普通に毎月きているんだと思う。

その辺の知識が全くないのだ。


男の時には気にもしなかった事を多分これからはいろいろ女性として気にしないといけないんだろうけど、何がダメで何がいいのかわからない。


細かく言えば歩き方や仕草なども、女性ならではの『見られる』事を意識しないといけないんだろう。


昨日から女なったのだから『分からないのは仕方ない!』って言えばそうなのだが、部屋にあったアルバムを開いて見れば産まれた頃から女として写真に写っていた。


あの神様は世界に影響を与える事は出来ないと言っていたが、悪神にジョブチェンジした事で影響を与える事が出来る様になったのだろう。


男だった事を女だったと書き換えた影響がこれから何かの拍子で出てくるかもしれない。

それが出てきた時、俺は対応出来るのだろうか……………………


……………………誰かに助けて貰いたい。そんな気持ちだった。



そんな時、家の電話が鳴った。


俺の部屋は2階にあるのだが階段の近くの部屋の為、一階の階段の横に置いてある電話の音がとてもよく響いて聞こえてくる。


すぐに母さんが電話に出てくれたみたいだ。何やら声がする。

それからすぐに1階から大きな声で母さんが


「優紀~~~鮎美(あゆみ)ちゃんから電話だよ~~。」


鮎美ちゃん???


ん?誰だっけ?え~と…………あぁ~熊谷鮎美(くまがいあゆみ)さんか!


高校に入ってすぐの頃に知り合って3年間友達として仲良くしてた熊谷鮎美さん。


彼女とは異性として好きとかそんな感じの付き合いではなく普通の友達として仲良くしていた。

知り合った切っ掛けは確か高校で知り合った新崎 純(にいざき じゅん)と、仲良く帰っている所を見て「彼女?」って聞いたら家が近所で幼馴染だと教えて貰った。


幼馴染って聞いてどちらかが好きとかどっちも好きとか考えたが、よくある物語とは全く違ってどちらもそんな気持ちを持っていなかった。

それは未来での結果でもわかっている。


新崎 純は兎に角、女好き。


コロコロと色々な女と付き合っていた。見た目も女性にモテる様な優しそうな感じの奴なのだが中身は鬼の様な奴だった。付き合ったその日にすぐに手を出す様なスケベで最低限のルールの避妊さえも面倒だからと言ってしない奴だった。それは20歳を過ぎても変わらずヤリ逃げみたいな事を繰り返し、最終的には24歳で出来婚した。


鮎美もそんな奴だと小さい頃からわかっていたのか、程よい距離を置いて関係を持たない様に仲良くしていた。

そんな鮎美も社会人になってから5年後ぐらいで、会社で知り合った男性と結婚していた。


結婚すれば各自がそれなりに家庭だの子育てだので忙しくなり、28歳になった頃には1年に1回ぐらいメールとかでしか連絡を取らなくなくなるぐらい疎遠になっていた。


そんな事を思い出しながら階段を降りて電話に出た。

あぁ~そう言えばこの頃は固定電話で連絡を取るのが当たり前だったな(笑)


「はい、もしもしどうした?」


「…………はぁ~?どうした?じゃないわよ!あれだけ連絡ちょうだいって言ってあったよね?」


結構な声の大きさで責められた。お怒り?連絡って何?約束してたの?

とりあえず状況がわからないから適当に話を合わせてみた。


「え?……………………あぁ、その忘れてた?」


「いや、何その疑問形!もうこっちは何かあったかなって思って電話したのに…………それで何かあった?今日初出社だったよね。何か会社で言われた?嫌な事何かされた?」


なんだろう?過去とは全然接し方が違う様なのだけど…………もしかして同性って事で親友的な感じなのかな?


「ん~会社は余裕って感じで、特に何も言われてないよ。嫌な事もなかったし、何で?」


「……………………何か落ち込んでる様な気がしたから。」


え?いや落ち込んではいたけど、会社の事じゃないから。

ある意味鋭いな。


「いや、ちょっと女としてどうやって生きて行こうかと……………………」


「はぁ?何をいまさらの事言ってんの?大丈夫?」


そう今さらですよね~でもこっちは昨日からなんですよね~


「とりあえず明日なんか用事ある?会社終わってからご飯でも行かない?」


「…………え~と用事ってほどじゃないけど、携帯欲しいな~って見にいくつもりだったけど。ご飯いいよ。」


「え?携帯買うの?まだ給料貰ってないよね?お金あんの?」


おや?お金の有る無しまで、もしかして把握されてるの俺?


「ほ、ほら貯金もあるし、社会人になったから必要かなって。」


「そっか~やっと優紀も持つ気になったんだ。じゃ、私も一緒に見に行ってあげるよ。それからご飯って事で。」


「りょ、了解。」


「……………………何か優紀変わったわよね?何か心境の変化?」


うぉ!す、鋭いな。え~と…………


「ほ、ほら男ばかりの職場だから男っぽくいかないと、負けそうだから。」


我ながら酷い言い訳だわ。


「そっか。……………………まぁそんな感じでも優紀は優紀だもんね。じゃ明日会社終わりの5時半ぐらいに優紀の家に行くから。」


なんとか信じて貰えたみたいだ。


「了解~」


「ぷっ、何その了解~ってこれからそんな感じでいくの?わかった。了解~」


と鮎美との電話を切った。


何か少し楽な気持ちになって俺はその夜ぐっすり寝る事が出来た。


ちょっと明日楽しみだな。






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熊谷鮎美



私は優紀の親友のポジションを狙って獲得した。


だけど親友の優紀にも隠している事がある。それは私が優紀のファンクラブ特別会員00(ダブルゼロ)影の会長

だと言う事を…………


優紀とは高校に入ってすぐに知り合った。

どうやって知り合ったかとか何故か何となくでしか覚えてないのだけど……………………衝撃的だった事だけは覚えている。


こんなに可愛いくて美人でお姫様みたいな女の子がいるのかと…………同性だけど私は惚れてしまった。

惚れたと言っても同性愛とかじゃなく、そばにずっと居たいとか守りたいとかだけど。


同性の私が惚れるぐらいだからそこらにいる男どもはすぐに惚れたみたいだった。


でも優紀本人は気がついていないみたいで危なかった。


このままでは男子達に言い寄られて大変になりそうなのは目に見えていた。私はすぐに優紀を守る為にファンクラブを作り守ろうと決めた。

当初は私と幼馴染の新崎 純とその友達の金田 智明(かねだ ともあき)君の3人だった。


ファンクラブを作る時に私は決まりを作った。 


1、姫(優紀)に話しかけてはいけない。話しかけられるのを待つのみ。

2、抜け駆けしない。(男性のみ)

3、姫を危険から守る。怖がらせない。

4、姫にファンクラブの存在を隠す事


高校が始まって5日目。そろそろ様子見をしていた男どもが動き始めそうだったので私は『姫』が休憩時間で教室を出た隙を見つけて、同じクラスの全員にファンクラブの事を説明した。


私の熱意が伝わったのかその日のうちにクラス全員がファンクラブに入った。やはり男女関係なく皆想いは同じ様だったみたいだ。

私は驚かなかった、当然の結果だ。


それから隣のクラスにもファンクラブの事が伝わり人数は増えていった。

ファンクラブ発足から4日で学年全員が参加していた。


私は発足者で同性の親友としてファンクラブの中で00(ダブルゼロ)と呼ばれる事になった。


そして表の会長に金田 智明、副会長に新崎 純がついた。小さい頃から女好きだった純だったから『姫』に手を出すかと心配だったが『姫』を『女神姫』と崇めてるので大丈夫みたい。ちょっと怖いけど…………


会長になった金田 智明君は凄かった。


最初はノートに手書きでファンクラブ会員の情報を纏めていたのだが、『姫』の為とパソコン購入して使い方を猛勉強して、今ではホームページまで作ってしまった。


それから企画もいろいろ考えてくれ、見事な纏め役をしてくれていた。


今は二十歳(ハタチ)の成人式で『姫』に似合うようなティアラとドレスを着て貰おうと企画を起こし資金の確保と会場の確保に動いている。


そして卒業する頃にはファンクラブの登録数は1000人を超えていた。


今日も会長の金田君との定期連絡で隣の高校の1年の女子生徒が3人加入した事を教えて貰った。その定期連絡で加入した3人から姫が一人で買い物をしていたのを見たとの証言を報告してくれた。


そんなはずはないはずだ!一人で買い物?ありえない!


そう思ったのだけどその情報は正しいらしく、同じく会員番号1024からも買い物姿を見たとの報告があった。1024の報告では何やら楽しそうにお店に入ってきたのに買い物を終えて帰る時には落ち込んでいたらしい。


そもそも一人で買い物など危険だからと何度も『姫』には言い聞かせていたし、あの時の事を忘れるはずはないはずだ。


買い物にはいつも私が同行する事にしていたのに…………


私に何も連絡がこなかった……………………なぜ?

私に知られたくない物を買いに行った?緊急で必要な物があった?


確認しないと……………………そして私は親友として電話をした。



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