ワールドスタープロダクション本社⑥
どうもこの人受け答えが苦手らしい。
今はそんな響さんのお勧めの飲食店に向かって3人で歩いて向かっている。
その途中で鮎美が響さんがどういう人か教えてくれた。この前のカラオケ大会でスピーカーとか音響設備を設置してくれたそうで、響さんが来てくれなかったらカラオケ大会も出来なかったと。
俺が響さんとやらへの対応に困っていると鮎美が響さんに聞いてくれた。
現在未だに俺の右腕は不自由なままだ。
「所で今日はどうしたんです?」
「…………姫に…………梶取られた。……………………本物の姫……………………取る。」
うん!意味がわからん。姫とは俺の事なんだよね?その俺に『かじ』取られた?かじって何?火事?家事?
鮎美わかる?
「え~と梶さんってあのカメラマンの方ですよね?姫に取られたってどうしたんです?」
かじさん?人の苗字だったのね。
「……………………カラオケ大会……………………編集。」
「あ~~~なるほど!梶さんがカラオケ大会の編集で忙しくて、姫に取られたと。それで響さんは姫を見つけたから、本物の姫を響さんが捕まえたと……………………もしかして梶さんって恋人さんですか?」
あ、鮎美凄い!よくあの短い単語でそこまで読めるとは。
「彼氏。……………………梶悔しがる。」
そういう事か俺も意味がわかったわ。何この人可愛い。
そんな会話をしていると目的の店に着いたらしい。
あ~看板の名前だけで、なんの料理の店かすぐにわかったわ。
【なんくるないさ~】 どう見ても沖縄料理の店でしょ?これで違ったらそっちの方がビックリだし。
響さんに右腕を引っ張られながら店に入ると、沖縄!って感じの店でいい感じだった。
店員に案内され奥にと進みテーブルへの席に座った。
おっ右腕が自由になった。
早速メニューを見て俺はすぐに、ある物を探した。……………………あった!
ジーマミー豆腐!あれでもよく見ればジーマーミ豆腐って書いてある。呼び方がちょっと違うけど多分同じ物でしょ。
初めて沖縄に行った時に料理に付いてきたんだけど、素朴な感じでとても美味しかった。
地元に帰って来てからも食べたくてお取り寄せしたぐらいだった。
鮎美は初めての沖縄料理店だと喜んでメニューを見ていた。
それを見て俺は内心笑っていた。クックック、沖縄料理のメニュー……………………頼めるかな?
俺は初めて沖縄に行ってお店で料理を頼もうとして困った事を思い出していた。
ゴーヤチャンプル、ソーキそば、ミミガー、海ブドウぐらいは知っているから頼めるだろう。
しか~しそれ以外は料理名では何なのかわからない!
ラフテー?テビチ?グルクン揚げ?クーブーイリチー?
あの時は本当に同じ日本の料理のメニューなのかとツッコミを入れた。
俺はあの時、豚肉をどうしても食べたかったので料理の頼み方は、「豚肉の使った有名なやつ下さい」だ。
今思い出しても恥ずかしい。
さあ!鮎美さんよ、どうする?
そう期待して鮎美を見ていると、隣に座る響さんの方から電話の音が聞こえてきた。
響さんは持っていたカバンから携帯を取り出しすぐに電話に出た。
「………………………………」隣にいるので少し電話から声が聞えた。電話の相手は男性らしいが何を言ってるのかまではわからない。
「……………………なんくる。……………………3人……………………熊谷さんと姫。」
「…………!………………………………!」
「………………………………たまたま………………………………聞いてみる。」
と響さんは携帯を耳から離し、手で隠す様にして俺と鮎美に聞いてきた。
「梶…………来る……………………いい?」
「私はいいけど、優紀はどう?」と鮎美が聞いてきた。
ん~特に嫌とかないけど……………………会った事ないしな~、でも響さんの彼氏としてなら見てみたい気もする。
「私もいいと思うよ。」
そう言うと響さんはまた携帯を耳に当て相手に伝え始めた。
「許可出た。………………………………10分……………………連れ?……………………新人1人……………………」
どうやら梶さんと言う方は新人の連れが1人いるらしい。今の響さんの会話の内容を何となくわかった俺と鮎美は指でOKサインをして見せた。
「OK……………………料理頼む……………………じゃ」
話が終わったらしく響さんは携帯のボタンを一度押してカバンに戻した。隣で見ている俺も響さんが少し嬉しそうなのがわかった。
「…………料理頼む。」
そうして私達はまたメニューを見始めた。……………………なぜにスラスラと注文出来るの鮎美さん?
俺の小さな思惑は簡単に破壊された。何で?さっき初めてって言ってたよね?
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