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伝説のスカウトマン (後編)


翌日


母さんに橘さん達と会う約束があると伝え身支度をして向かった。

予定通りに10時にこちらに着いたらしく電話で待ち合わせ場所を決めた。

この町で一番大きなショッピングモールにした、何故かと言うと駐車場が広いから。

駅でも良かったのだけど、駐車場が狭いんだよなあそこ。



そして待ち合わせの場所に着いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



秋元 駿ジェシカ視点




「もう!飛行機に乗るとどうしてこんなに足がむくむの?ほんと嫌になっちゃう。」


あたしは怠くなった足に文句を言った。

私は秋元ジェシカ。間違っても駿って呼んじゃダメよ?


「また言ってるんですか?毎回飛行機に乗るたびに言ってますよね。」


あんたもね。そう思い横を見ればうちの会社で一番のスカウトマンの雅史ちゃんが┐(´∀`)┌ヤレヤレしていた。


「はぁ~田舎ね~空港の周りに木ばかりね。あれでしょ?ここからまだ時間掛かるとかパターンよね。」


「また、調べてないんですか?彼女の住んでいる所の住所ちゃんと書いてありましたよね?」


あ~~もう細かい子ね。雅史ちゃんは!


「いいのよ。県だけ知っていれば、芸能人の経歴に市まで載せないでしょ?どこどこの県出身です!ってしか言わないし産まれはそこでも育った所が全く違うとかよくあるじゃない?あれってちょっとした詐欺よね?」


「まぁそうなんですけど、ファンがうるさいですからね。」


そうよね~ファンがいてこその芸能人ですもの。いないのはもう一般人と変わらないものね。

それを言えば今から会いに行く子はもうファンがいるのよね。

うちの売れないグラビアの子に爪の垢でも飲ませたいわ。


「ねぇ~雅史ちゃん。あとここからどのくらいなの?」


「車で30分って所ですかね。バスとかでもいいんですけど時間掛かりますから、そこでレンタカー借りる予約入れてますから。」


「あっそ。」


レンタカーに荷物を載せ目標地に向かった。

雅史ちゃんの言う通り市内に着いたのは30分後。待ち合わせの場所は市内の中ほどにあるショッピングモール。

空港に着いてすぐに彼女に連絡してその場所にしたみたい、雅史ちゃんも電話番号聞き出すとか腕を上げたわね。


思ってた以上に大きな町ではなかったわね。それに簡単にショッピングモールに着いたけど………モールって言う割には2階建てで小さいわね。


「雅史ちゃん、この町って人口どのくらいなの?」


「確か8万人ぐらいでしたよ。」


そんなに少ない町なのに彼女のファンクラブは1500人!


「8万割る1500は?」


「53です。」


「早いわね。」


「人口とファンクラブの数でしょ?もう計算してましたから。53人に1人って多くないですか?驚きましたよ。」


あたしも驚きよ。これでデビューしたらどうなるの?

本当にどんな子なのかしら?


車の中で待ち合わせ時間まで待つ事にした。あたしは彼女の写真付きの資料を見直していた。写真だけだと綺麗な子ってだけの印象なんだけどね~


ふと視線を書類から反らし外を見ると、赤い車が前を過ぎて斜め向かいの空いていた駐車場に停めた。初心者マークを付けていたのが印象的なのだけどスムーズに停めた事に上手いわねと思って関心していると運転手が降りてきた。




………………………………………車から見えなくなるまであたしは彼女を目で追い続けた。瞬きもせずに…………息もするのも忘れて…………




雅史ちゃんの言ってた意味がやっとわかったわ。

あんな人間がいるの?ありえない…………



あたしは小さい頃から特別な感性があった。実際に見た時にだけだけど、その人の影響力を認識できたの。

子供の頃は大きい人小さい人と言ってたわね。体の大きさとは違う事を言うから変な子と思われていたわ。


この感性に気が付いたのは中学生の時、偶然に街中で有名人だった人を見掛けたの。前の総理大臣だった人。その人は体の3倍も大きく見えたわ。それでわかったの、自分の力を……………それからはこの力を信じて大きく見える人ばかりと会って誘っていった。


そしてあたしはその力のおかげで今の会社を作ってここまで大きくした。


今まで1番大きな人でも体の5倍ぐらい。なのに彼女は………………視界に収まらない程大きく見えた、もう巨人だわ。


「秋元社長!見ました?彼女が前を歩いていきましたよ!どうです?なんか神秘的な子でしょ?」


あたしは雅史ちゃんの言葉で我に帰った。


()()()()。見たから言うわ、あの子に関わるならあたしも雅史ちゃんも死ぬ気で向かわないと大変な事になるわ。引き返すなら今しかないわ。」


「え?社長が弱気になるなんて初めてですよ。そんなにですか?」


「えぇ、あたしが専属になっても足りないぐらいよ。」


「せ、専属って現役に復帰するんですか?」


そう、あの子をデビューさせたら会社処かあたしの人生を掛ける事になる。そんな予感がするわ。

それにしてもなんであんなに影響力があるの?


もう人間じゃないと言われても今のあたしなら信じるわよ。

…………待って、今あたし何て思った?人間じゃない?……………………………神?


自分でも信じられないけど、神って言葉がしっくりきたわ。あぁ、そう言えば雅史ちゃんも神秘的って…………あたしみたいな感性が無い雅史ちゃんでも感じるなんて…………


もしかして彼女自身が神様か、それとも使命を託された巫女とかなのかも。


「ど、どうします?」


どうもこうもないわよ。彼女がどんな存在なのか確認しないと…………


「行くわよ!」


あたしは彼女を追いかけるように車から降りて待ち合わせ場所に向かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ショッピングモールの駐車場に車を停め、俺は店内に向かった。

まだ待ち合わせ時間には余裕がある。

待つ間に先日、欲しいと思ったジーンズを買いに行こうと思った。鮎美との買い物ではジーンズを買おうとすると決まってスカートを薦めてくるのでなかなか買えない。

今も長めのスカートだ。部屋にある服を一度全部出して確認してみたが一本もジーンズが無かった。

久しぶりに男の時のような恰好がしたいのに…………


そして待ち合わせ場所の正面入り口を通り過ぎ、2階に行こうと思った時に携帯が鳴った。

立ち止まり鮎美から女性は服に合わせてカバンも変えるのだと言う指導の下にこの前買ったカバンから携帯を出して見てみると橘さんからの電話だった。


「はい、もしもし」


「もしもし黒沢さん。おはようございます。」


「はい。おはようございます。…………もしかしてもう着いたのですか?」


「うん。後ろを振り返ってくれるかな?」


え?…………言われた通りに振り返って見ると、携帯を耳に当てて手を振るさわやか系の男と………………………………

その横に変な人がいた。


ピンクのスーツってあるんだ!うわっよく見ればバラの刺繍とかもされてる。この服装で男って事はアレだよね?

立ち止まった私に追いついた橘さんらしき人が声を掛けてきた。


「いや~さっき着いてね。それで黒沢さんを見掛けて追いかけて来たんだけど、待ち合わせの入り口過ぎて中に入って行くから電話したんだ。ごめんね。」


ほう。やっぱりこの人が橘さんなんだな。お初です。いやお久しぶり?記憶にないけど。


「あぁそうなんですね。すいません、まだ時間があると思ったので服でも見ようかと思いまして。」


「そうなんだ、ごめんね。今からいいかな?」


「はい。いいですよ。……………………それでその方は?」


「あぁ、僕の上司で社長の秋元駿しゃ…………ぐふっ「あら~雅史ちゃん忘れちゃったの?あれ程あたしの名前はジェシカだって言ったわよね?!」」


見事なボディブローを決められた橘さんは床にひざから落ちた。

わぁ~ジェシカさん凄~い!


「今度間違ったら雅史ちゃんの名刺全部『橘 マーシー』に変えるからね、わかった?」


あぁ、それは絶対嫌だ。俺なら会社辞めるかも。

苦しんでいる橘さんは声も出せず頷いていた。


「あぁ~一応の紹介の途中だったけど、あたしは秋元ジェシカ。ジェシカさんでもジェシカ姉さんでも好きな方で呼んで頂戴ね?」


えぇ~といきなりもう呼び方2択しか無いんですね。ではジェシカさんで。


「ジェシカさん、初めまして黒沢 優紀です。よろしくお願いします。」


「はい、よろしくね。優紀さん。…………それじゃ通路の真ん中じゃなんだから何処かに入りたいんだけど、いい?」


そう言ってジェシカさんは喫茶店ぽい店を指さした。


「はい、いいですよ。」


「ほら!いつまで床にいるの?行くわよ!」


橘さんの腕を掴み軽々しく引きずる様に引っ張るジェシカさん。ハッキリ言って理不尽ですから!手加減した感じは一切無かったですよね?


喫茶店と言うかカフェとも言える店に入り空いている席に座った。

奥の席には先客がいて、こちらに気づいて楽しそうに盛り上がっていた。

そりゃ~ねぇ~ピンクのスーツは目立つもんな。


やっと苦しみから解放された橘さんが店員に飲み物を注文していた。

そんな中ジェシカさんも奥の席の視線に気が付いたのか俺に聞いてきた。


「ねぇ、黒沢さん?貴女は彼女達みたいにあたしの事気にならないの?」


え?まぁ、未来だと普通に沢山のジェシカさんみたいな人テレビで見てたからな~実際に会うのは初めてだけど見慣れてる感が半端無いし…………


「少し気になりましたけど、でもジェシカさんみたいな人結構いると思いますよ。自分らしく生きてるだけなんでしょ?」


「そ、そうよ。でも気持ち悪いとか思わない?」


「全然、思わないですよ。逆に勇気があるなって……大丈夫!近い将来ジェシカさんみたいな人達がテレビで活躍しますから。」


「テレビで?まさか………」


いや本当に未来だとテレビで活躍してるから!俺的にはデラックスな〇子さんが好きだけど。

そして飲み物がきた。二人はコーヒーで俺はオレンジジュース……………………そっちが良かったのに…………

ちょっと物欲しそうに見ていたら見苦しい姿を晒し爽やかさが半減した橘さんが話掛けてきた。


「久しぶりだね、黒沢さん。元気にしてた?」


「まぁまぁですかね。それで今日で上手くいかなければ諦めてくれるんですよね?」


わざわざ来てくれたけど、芸能界とかに興味も魅力も感じないからな~こーゆう勧誘ぽいのってハッキリ言わないと諦めてくれないからな。


「その事なんだけどね、黒沢さん。貴女に聞きたい事あるのいいかしら?」


先程までとは違い真剣なジェシカさんが聞いてきた。

なんだろう?


「…………私で答えられるのであれば何でもいいですよ。」


「貴女の目的は何?」


目的?なんの事?目的と言えば今の所は恩返しだけど…………その後はお金を使って楽しく生きる、みたいな感じかな。


「目的ですか……………………恩返しです。」


「……………………そう。その恩返しは出来そう?」


「えぇ~と今のままだと難しいです。」


「……………………そうなの?何か足りないの?」


「足りない……………………足りないと言うかどういう方法を取れば助けられるかわからないって所です。」


「………………………………助ける人は一人だけ?」


「いえ出来れば沢山の人も助けたいです。でもどうすればいいか……………………」


「………………………………なら結果的に沢山の人をどうすれば助けた事になるの?」


「それは………………………………()()()にその場所から安全な場所に移動して貰うしか……………………」


「それは今の貴女ではその人達は移動してくれないの?誰かに頼むとか出来ないの?」


「それは……………………その人達は私の事を知らないし、信じて貰えないから。誰かにってそんな話を信用してくれる人なんていないし。」


「………………………………そうなの?あたしは信じるわよ貴女の事。協力させてくれないかしら?」


え?ジェシカさん………………………………何か知ってるの?


「協力って……………………ジェシカさんは私を芸能界デビューさせようとしに来たんじゃないんですか?」


「えぇ、そのつもりで来たんだけど…………貴女を見てわかったの。芸能界にデビューするとかよりも大きな何かをしなければいけないのでしょ?」


「えぇ~と何処まで出来るかわからないですけどやれるなら出来る限り助けたいです。」


「…………なら、何でも利用してでも恩返しを成功させないとダメなんじゃないの?その恩返しに名声やお金は必要ないの?」


はっ!ジェシカさんに言われて気が付いた。言われてみれば沢山の人を避難させると言っても移動手段に宿泊施設、日用品から食料も必要になる。それは誰が準備する?その為のお金は?それに知らない人から避難してくださいって言われるよりも有名人とかに言って貰った方がどれ程の人が動いてくれるか……………………それにそんな有名人に知り合いなんか…………え?俺が有名になれば…………いいの?お金も俺が出せれば…………


()()()までは後どのくらいの時間があるの?」


11年……………………神様からのありがたい振り込みで年間3600万で11年後となれば約4億。

4憶とか途方もない大金だけど多分、移動費とかだけで無くなると思う。

助けるなら命だけじゃダメだ。国が動いても復興するのにだってあれだけ時間が掛かったてるじゃないか。

もっともっとお金が無いと…………


とうとう俺はジェシカさんの問い掛けに答えられなくなっていた。

『彼女を助ける!』とは決めたものの具体的な事も考えず出来れば大勢もとか、もっと簡単に思っていた。

ダメじゃん俺。


人生をやり直してるなんて俺だけしか出来てないのに……………………後悔はしたくない。

ならもうやれる事をするだけだ。


「ジェシカさん!11年…………いえもっと助けて貰わないといけないかもですけど俺頑張ります。」


「……………………そう、わかったわ。これからあたしの全部を掛けて協力するわ、頑張りましょう。」


そう言ってジェシカさんは手を差し伸べてくれた。

俺はその手を嬉しい気持ちで強く握った。





「あの~どうゆう事なんですか?優紀さんOKしてくれたって事なんですか?まだ、ぐふぅ!」


全く話がわからなかった橘さんの一言にジェシカさんが脇腹へと鉄拳を見舞った。

苦しむ橘さんは放置して、今の会社をいつ頃辞めれるのか?とか、親御さんの許可は貰えるのか?とかいろいろ打ち合わせをした。




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