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緊急会議


鮎美の車で家に着いた俺は、二人を家に招き入れた。


「だだいま~、母さん、友達二人連れてきたよ~」


玄関で靴を脱ぎながら叫んでみるが返事がない。お風呂場からかすかに水の音がする、時間から言ってお風呂掃除かな?

そう思いお風呂場に行くとやっぱりお風呂掃除中だった。


「母さん、ただいま。」


「あぁ~お帰り。あれ?鮎美ちゃんは?」


「いるよ。なんか(うち)で緊急会議するとか急に言い出して今玄関にいるよ。あと金田も遊びに来たから。」


「はいよ。……………………ん?金田君?あの会社作ったって言ってた?」


「そうそう。母さんまで会社作ったって知ってたんだ。」


「何を言ってるの?優紀が母さんに教えてくれたんでしょう、ボケるのには早いわよ。」


そういう事になってるんだ。なんとなくわかった。


「とりあえず適当に食べる物とか飲み物買ってきたから。ちょっと騒がしいかもだけど、部屋にいるから。」


簡単に説明して俺は風呂場を後にして玄関に戻った。


「お待たせ。母さん風呂掃除してた。んじゃ部屋に行くか。あんまりうるさくするなよ。」


二人は小さい声で「お邪魔しま~す。」と言って俺に付いてきた。

階段を昇ってすぐの部屋に二人を入れるとすぐに鮎美からお叱りを受けた。


「っ!優紀!あんたベットにブラ脱ぎっぱなしって…………金田見るな!」


そう言って金田の顔をアイアンクローの様に掴んだ。うわっ可哀想。


「いやいや脱いだのじゃないし、新品のだから!朝選ぼうと並べて見ただけだし。」


「とりあえず早くしまって!」


「なんだよ、たかが下着でそんなに騒がなくってもいいのに……………………」


全く細かいな鮎美は!そう思いながら俺は適当に掴み買ってきた時の紙袋に入れた。


「はぁ~本当に別人の様だわ。そんな乱暴に掴んで…………それ高いメーカーのやつでしょ?」


「そうなの?全くわからん。……………………それより手離してあげようよ。金田痛がってるし。」


顔を隠すだけのはずなのに、何故に力入れてる?

やっと解放された金田は少し涙目になっていた。どんだけ握力あんの鮎美。


「とりあえず適当に座ってて、何かコップ持ってくるからさ。……………………何かわからんけど言わないといけない気がするから言っとくけど、鮎美!勝手に何処も開けるなよ。出すなよ!」


何故か絶対言わないといけないと思って鮎美に注意して俺はコップを取りに台所に向かった。

部屋に戻るとソワソワしている鮎美と置物の様に固まっている金田が座っていた。


「ほれコップ。」


二人に手渡してから俺もベットに座った。


「それで緊急会議とか何すんの?」


「何って…………これからどうするか決めるのよ。」


「いや、だから何をどうするよ?」


「それは、優紀が自己暗示で別人の様な性格になってしまったのをどうするかって話をするのよ。」


「え?鮎美何それどういう事?」


ん?金田が置物からやっと直った。

それから鮎美は金田に説明した。俺はとりあえず何も言わず聞くだけにした。

鮎美の考えが俺もよくわからないから。


鮎美が金田に説明した内容はこうだ。

『優紀は会社に入るのに不安が大きくなりすぎて会社で普通に仕事が出来る様にと、自分で設定を作り自分に強い暗示を掛けてしまった。その設定の内容は男で38歳まで営業をしていたと……………………暗示が強すぎたのか女だという過去の記憶も曖昧になったり無くなっていると……………………』


ん~~~~どうしよ。

あんなに自信ありげに説明されたら、俺も『そうなの?』って思いそうになったわ。


「本当にそうなのか?」


金田が真剣な顔で鮎美に聞いた。


「医者じゃないからハッキリとは言えないけど、私はそう思った。他には多重人格で別の人格になったのかも?っても思ったけどそれは現実逃避の一種の様なものって聞いた事あるから、そこまで精神的には追い詰められては無いと思うのよね。」


マジか?何気に滅茶苦茶考えてたんだ鮎美。


「……………………ひ、…………優紀さんは自分で望んでなったと?」


ひ?なぜそこで止まって言い直した?


「そう、そう思うわ。だから今の優紀は……………………見た目は女性、頭脳はおっさん、その名も美少女優紀!!」


っておーーーーーーーーーーーーーーーい!

それは有名なアニメの子供になったあの探偵の説明だろが!!!


「うわっ最近始まったあのアニメみたいに言うなよ。でも頭脳がおっさんって……………………いいのか?」


さすが金田!いいツッコミだ。でも頭脳がおっさんってダメだろ!


「金田!いい?さっきの事思い出してみなさい。あんな風に優紀に頭もしゃもしゃされたのはどうして?」


「……………………あっ!おっさんだから。」


「そう、そうなのよ。おっさんだから金田にもバカみたく接する事が出来たのよ。」


おっさんおっさんってちょっと!それにバカって言った?ねぇ言ったよね?

俺拗ねるよ?いい?


「そして問題はこの状態で皆の前に出たらどうなるかって事なのよ。」


「……………………非常にマズイであります。」


いやどこの皆だよ?んでどこがそんなに非常にマズイんだよっ!


「みんなには内緒にして何とかするしかないわ。」


「具体的には?」


「とりあえず徹底的に女らしさを叩き込むわ。今の優紀を見ればすぐにばれそうだもの。」


あっ!何か寒気が……………………





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