『Scenario』
G M :次の瞬間、霜雪と南は観光バスに乗っていました。隣同士だったということで構いません。
霜雪雨多 :は?
南夏希 :え?
霜雪雨多 :さっきまで……俺たちは閉じこめられてたよな?
南夏希 :ええ。なんで突然バスの中にいるのかしら……
G M :二人は思い出します。自分たちはツチノコを捕獲しに来たのであると。
発端はとあるテレビ番組。目的地である北山村の目と鼻の先にある蛇尾山で撮影された定点カメラに謎の爬虫類らしき生物が映りました。放送されると同時に、これはツチノコではないかとネットで話題になります。実は北山村にはツチノコ伝説があり、1000万の懸賞金までかけられていたのです。
そのため、観光に訪れたり、一攫千金を目論む者、さらには研究者がこぞって集まることとなりました。あなたたち二人も、この流行にあやかって北山村に訪れようとしているのでした。
二人とも、あの円柱の部屋についての記憶は消え去ります。
霜雪雨多 :……なにか大事なことを忘れているような気がする。
南夏希 :家の鍵を閉め忘れたのではないでしょうね。
霜雪雨多 :閉めたはずなんだけどな。
しかし、そういわれるとなんだか不安になってきたぞ。
G M :そうこうしているうちにバスは北山村へたどり着きました。宿泊場所はツチノコブームによって建てられた臨時の淑発施設に泊まることになります。
霜雪雨多 :あれ、観光バス帰っちゃったんだけど……
G M :バスは三日後に迎えに来るとのことで一度帰っていきます。ここではガイドもおらず、自分の判断でこの3日間を自由に過ごすこととなります。
南夏希 :なんだかよく分からないけど、ツチノコ探せばいいんでしょ。荷物置いて動きましょうよ。
G M :行動場所
一.村長の家
二.村民
三.コンビニ
四.蛇尾山
五.村役場
六.神社
南夏希 :行動場所は選べるのよね?
G M :はい。村民はダイスでランダムとなりますが。
南夏希 :まずは山へ行きましょうよ、山。私たちが世紀の大発見をするのよ。
霜雪雨多 :まあ反対する理由はないんだが、テンション高くないか。
南夏希 :ツチノコよツチノコ。好奇心をくすぐられるでしょう。
G M :ではあなたたちは山へやってきました。観光客や研究者と思われるひとがまばらにいます。周辺には何台かカメラが仕掛けられていることでしょう。
霜雪雨多 :はあ…はあ…疲れた。はやく家へ帰りたい……
南夏希 :だらしないわね。ばてるにはまだ早いわよ。「研究職の体力をなめるなよ」とか啖呵を切っておきながらこのざまだなんて。ほとほとあきれたわ。
霜雪雨多 :もやしっ子は大抵こんなものだ。
南夏希 :自慢げにするところじゃないわよね。研究者って、まさかみんなあなたみたいにひょろひょろなんじゃないでしょうね。
南夏希 :辺りにツチノコはいたりしますか。
G M :では目星を振りましょう。成功です。
G M :成功しましたが、ツチノコどころか、小動物も見かけませんね。ですが、紙切れが落ちていたのを発見しました。
南夏希 :あら、これ何かしら。拾い上げてみてみます。何か書かれていますか?
G M :ミミズの這ったようなぐちゃぐちゃとした線が書かれていますね。
霜雪雨多 :ん、南、手に持ってるそれは何だ?
G M :確認しようとした霜雪も南と一緒に強制アイデアです。振ってください。
南夏希 :二人とも失敗ね。
G M :ではその線については何もわかりませんでした。
霜雪雨多 :なんだ。紙ゴミじゃないか。捨てとけ捨てとけ。
南夏希 :山は綺麗にするべきよ。拾って後でごみ箱に捨てておくわ。
霜雪雨多 :あっそ。お行儀のよいことで。しかし思ってたよりもライバルが多いな。テレビのワンシーンでこんなに人が集まってくるもんかねえ。こいつらよっぽど暇なんだろうぜ。
南夏希 :そのテレビのワンシーンごときで吸い寄せられてきた暇人の一角が私たちだってこと、自覚ある?
霜雪雨多 :あー、はいはいそうでございましたね。では暇人のわたくしは先輩の暇人に話を聞いてきますよっと。
G M :なるほど。では近くに罠を仕掛けている男性がいたということにしましょう。
霜雪雨多 :すみませーん、俺、今日の早朝に来たばかりなんですけど、ツチノコってもう発見されましたか?
金の亡者 :発見していたら撤収して賞金もらいに行ってるよ。どこも結果は芳しくないみたいだ。ぼくは2週間前から罠を設置しているんだが、ここ数日は普通の蛇すらかからない。困ったものだよ。
霜雪雨多 :これだけ人が集まっていたら動物も危機を察知して逃げてしまうんですかね。
金の亡者 :だとすれば、いよいよ山に本格的に入るしかないかもしれないなあ。ライバルも少ないだろうし。情報があればぜひ教えてほしいな。
霜雪雨多 :はい。どうもありがとうございます。
霜雪雨多 :おーい、南、そろそろ移動しようぜ。
南夏希 :そうね。人が多すぎて、このあたりでツチノコが出てきてくれるとはあまり思えないわよね。一度お昼を食べましょう。もう十三時よ。
霜雪雨多 :そういえば歩いて腹がすいたな。賛成だ。
南夏希 :コンビニでいいわよね。
霜雪雨多 :ああ。カップ麺にしよう。カップ麺は正義であり、研究者の味方だ。
南夏希 :ずっとカップ麺ばかり食べてると、あなた体壊すわよ……
G M :では二人は下山し、コンビニへ向かうことにしました。
南夏希 :完全に忘れていたけれど、私たちお金を持っているのかしら。
G M :十分な額を所持しているということでいいですよ。
……お金があっても買えるとは限りませんがね?
南夏希 :えっ
霜雪雨多 :コンビニの中が満員電車みたいになって
るぞ。果たして店内に入れるのか。
G M :はい。コンビニはスクランブル交差点のように人であふれかえっていました。需要と供給が全く釣り合っていないのであろうことがうかがえます。
霜雪雨多 :カップ麺どころかチョコレートが残っているかすら怪しいな。
南夏希 :買える買えない以前に圧死しないかしら……
G M :コンビニで商品を購入するためには、商品
が残っているかどうか幸運で振る必要があります。
G M :霜雪失敗、南成功ですね。
霜雪雨多 :俺のシーフードが取られたんだが。じゃあお菓子コーナーだ。嘘だろチョコレートどころかガムすら残ってねえ。
南夏希 :焼き鮭弁当とサラダを買います。
G M :霜雪がちょっとかわいそうなので、ちょっとサービスします。ツチノコのストラップを見つけました。
霜雪雨多 :ストラップじゃあ腹は膨れないんだよなあ……
G M :哀れだ。ちなみに南がレジに並んでいるとですね、店員が目にもとまらぬ早業でレジ打ちを行い、商品を袋詰めしている様子が見れます。それは「プロ」とも呼べる領域に達しており、謎の感動を覚えました。
南夏希 :プロのコンビニ店員って存在するのね……コンビニ店員ってプロならそれなりに稼げるのかしら? やっぱり稼げなさそうね。
南夏希 :食べ物を買ったらさっさとコンビニを出ます。
G M :では霜雪も既にあきらめてコンビニから出ているということで。
霜雪雨多 :もしかして、こんなに自然が豊かなら、自分で食料を調達できるんじゃないだろうか。そういえば山道でキノコを見かけたよな。最悪そうするか。
南夏希 :霜雪くん、レジ袋を持っていないけれどカ
ップ麺はもう食べたのかしら。
霜雪雨多 :売り切れてたよ察しろ!
南夏希 :なんて可哀そうなんでしょう。あなたの分までお弁当とサラダを食べてあげるわね。
霜雪雨多 :喧嘩売ってるのかな?
南夏希 :にらみつけてくる霜雪へ見せつけるように弁当とサラダを食べます。
霜雪雨多 :くそっ、殴りてえ。
G M :では南の昼食もひと段落したところで、二人のところへ一人の黒人がやってきます。そして話しかけてきます。
黒人 :シナリオ、楽しんでるみたいだね。ところで……
このままシナリオを続けるかい?
南夏希 :やめます。
ちょっと趣向を変えてみました。不穏ですね。