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異世界極道  作者: 味噌田楽
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第八話  これから

「で?これから如何するんだ?」

獣人組がアジトにしている宿屋の下男部屋につくと直ぐ、ニーヤに声を掛けられる。

いや如何するも何も、全員の首輪を外したらもう自由だ。金貨を皆で分けるだけだぜ。それとも何か?お前らの方が肉体労働が多かったから分け前増やせって事か?そりゃ構わねぇが、こっちも最低、一人頭50万ゾルは貰うぜ。

「いやいや、そうじゃねぇ。アサカ、お前これからもニックやクンタの面倒は見るつもりなんだろ?いったい如何するつもりなんだ?」

ああ…成程、俺たち人間組が、今後如何やって食ってくかって事ね。確かに俺らみたいなガキが大金持ってたって、誰かに知られたらすぐ盗まれちまう。つか、最悪襲われて殺される。こっちは後ろ盾も無ぇしな。

「お前の事だから、先行きに何かアテがあるからやったんだろ?」

ある。つーか、これもアサカの記憶にあった事なんだが、ゾンダは俺たちが売をしていたシマを、上の組織から”借りて”いたらしい。

って事は、ゾンダは組織の構成員って訳じゃ無いって事だ。それならば俺がゾンダの代わりに、あのシマを買うことも可能なはず。組織の連中にしてみりゃ、カネさえ入れば、売るのは俺だろうとゾンダだろうと構わないはずだ。

なので、俺は酒場で盆を開帳するつもりでいる。これはもうニックとクンタにも了解済みだ。まぁ、奴らも後のアテなんざ無いから、嫌も応も無かったんだが。

「アテがあるんなら、俺たち獣人組も噛ませてくれないか?」

え?いやそりゃ構わないっつーか、願ったりなんだが、そりゃお前らの総意なの?

「俺たちも大金持ったって使い道も判らねぇ。下手に散財なんかしたら、チンピラ共に目ぇ付けられて狙われるし、多少腕っぷしにには自信が有るとはいえ、所詮はガキの集団だからな。盗まれるか毟られて仕舞だよ。」

まぁ、図体ばっかでかくても、こいつ等も社会経験は殆ど無いんだし、仕方が無いか…よっしゃ!コレからは人手は多い方が良い。手伝ってもらえるならこっちも有難いわ。でも、その前に確認しときたい。

「そりゃ願ったりな話だが、お前たち全員の総意なんか?」

「ああ。つーか、他の奴らは基本、俺の決定には逆らわねぇ。獣人ってのはそう言うモンなんだよ。」

はー野性的なのね。でも、それならそれで、俺の事はリーダーであるニーヤと同格位には思わせておいてくれよ。そうじゃないと後で色々問題起きそうだからな。

「わかった。じゃ、それはしっかり話付けるから、自己紹介も兼ねてコレから面通ししとこうぜ。」

成程、確かに今までニーヤ以外の奴とは碌に喋って無ぇや。奴らも俺の事は知らんだろうから、ニーヤと一緒に会っとくのは良いかもな。

「ああ、じゃ、一端そっちのアジトへ行こう」



「コイツらはガズとゴラムだ。」

と、ニーヤは二人の後ろに立ち肩を叩いた。二人は大体、ニーヤの頭二つ分位背が小さい。ニーヤの背丈が160位だから、130位か?俺と同じ程度か。他に特徴としては、二人とも随分と顔がデカい。そして手足が短い。所謂ずんぐりむっくりって奴だ。

「この二人は猫族でも、大型種ってやつなんだよ。」

「へ?いや小さいじゃん。」

「本当はデカくなるんだよ。最低でも今の俺よりは高くなる筈なんだ。だがまぁ、小さい頃から碌に食えて無ぇからな…歳ももう13だし、ここらで頭打ちかもな。」

幼少期の食糧事情がモロに響いたのね。獣人は成長が早い分、悪影響も響きやすいのか?

「まぁでも、コイツら力はあるからな。軽く人間族の5倍はあるだろ。」

それは凄いな。つか、ネコってそんな力あったっけ?なんかすばしっこいイメージしかなかったんだが。…いや待て。大きな体にデカい頭、短い手足、強い力…って、そうか!コイツらライオンみたいな大型の猫科動物の獣人か!?

そう考えると、ニーヤは頭が小さくて素早い。手足もそれ程大きくない。俺の知ってるネコのイメージじゃ無いな。どっちかって言うとヒョウとかに近いのか。いや、猫の獣人面白いな。

「力が強いのは色々助かるよ。よろしくなガズ、ゴラム。」

こういうのは最初が肝心。此方から歩み寄って友好的に行こう。

「…俺たちが従うのはニーヤだけだ。だが、ニーヤがお前たちと手を組むと言うなら、それに反対はしない。」

んーちょっと距離感あるな。まぁ、今まで人間の奴隷にされてたんだし、やっぱ人間族には抵抗あんのかね。しかも、今の俺はどう見てもガキだしな。そりゃ信用できんわな。

とは言え、ここからは俺の指示も聞いてもらわんとやっていけん。一々ニーヤ通して指示だすのも面倒だしね。

「お前たちがニーヤしかボスと認めないってのはいい。俺もお前たち獣人組のボスになったつもりは無いし。だが、此処に残ってやってく以上、俺の指示には従って貰う。組織としての上下関係と言うより、仕事の一環だと思って割り切ってくれ。」

「…わかった。」

二人そろって軽く頷く。うん、君たち息ピッタリだね。まぁこの先、力仕事は多くなりそうだから、期待しとくわ。

「後はガズとゼン、ブルだ。」

そういって首を捻ると、ニーヤの後ろに3人の獣人が立っていた。

ガズは知っている。昨日この下男部屋で、最初に絡んできた奴だ。ゼンとブルはチラっと顔見た程度か。作戦中もあんま見かけなかったし。人前に出るのが嫌なのかな?

「ゼンとブルは、今までも見張りや尾行なんかをさせて来たからな。目立たないようにするのが癖になっちまってるのさ。」

あー成程。職業病みたいなもんか。つか毛並みも黒っぽいっていうかこげ茶ってって言うか…暗い系統の色だわな。

「俺たちは、お前に従うのは構わない。だが、俺たちに指示を出すのは、ニーヤを通してにしてくれ。」

そりゃ俺はお前らの特徴も知らないからな。適材適所で仕事割り振ってもらうよ。その上で、行く行くは俺が指揮したい。まぁその辺は追々で、俺が実績作ってこいつらに信用得られるようにがんばってくしかないか。

その後、人間組も合わせて全員に今後の事を話す。

「一応、これからは俺とニーヤの二人がこのグループの頭って事になった。不満がある奴はグループを抜けて構わない。その場合でも分け前を出してやる。カネがある間はな。」

みんなが俺の顔を食い入るように見ている。うーん、大丈夫か?

「カネの管理はニックがする。っても、今日からニックもここに住むから、カネ自体はここに置くがな。お前らもソレなら良いだろ。」

これだけ獣人に囲まれたら、持ち逃げなんぞ出来んしな。獣人組も文句は無いだろ。

「で、今後の事だが、今までみたいなかっぱらいや靴磨きなんてセコい売はやらねぇ。元手はあるんだ、ここはデカく行くぜ!」


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