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「なにも泣くことは無いだろ……」
かわいそうになってきた。
なんかホントに残念ガッカリガールって感じだな。
思えばこいつは捕まって以来、こんな薄暗い場所で半年間も一人でいるのだ。
大怪盗とはいっても年端もいかない娘なのに
よく精神がもつものだ
…………よく考えると一人では無いが、ホモと癖しか無い隣人に囲まれるのはなおのこと悪いかもしれない。
発明品を作って逃げるためには材料がいるし、
よく見るとこいつのリストにはなにも物を与えるなと書いてある。
だからこそのこの殺風景な部屋なのだろう
まあ、詐欺師の部屋とは大違いだな。
「あーーー、わるかったよ。ちょっと危機回避というか、めんどくさいもの回避センサーが働いてしまったというか……」
「なにそれ!!!!! それってまさか、わたしがめんどくさいとでもいうこと!!!!!!?????」
しまった、言葉選びが間違っていたのだろう。
なんかこう、くわッ!!!って感じで言い返されてしまった。
(しかたない、開幕四話で女の子を泣かせるてる主人公というのもあれだしなここは一丁、上司にごまをすりまくり、ここの担当刑務官にまで上り詰めた俺の実力、みせてやろう)
「いやいやいや、とんでもない! そんなわけ!! ちょっと緊張してたというか、あこがれの大怪盗さまとご対面することになって嬉しくて嬉しくて! つい! 目をそらしてしまっただけですよー! やだなー!
あまりにも握手とかサインとか求めちゃうと、めんどくさいでしょう!? いやあ僕本当に大ファンなんですようっ!!!」
つい五分前まではな。
大怪盗デイジー様は一瞬ぽかんとしていたが、すぐに嬉しそうににんまりすると
「そ、そう? なんだそういうことだったんだ! 緊張しなくてもいいし、そんなことでめんどくさがったりなんてしないよ!」
サインもあげるしと言って元気を取り戻したデイジーは続けた。
「キミみたいな看守さんは私はじめてなんだー! 他の看守さんは……なんて言うか……こう冷たいというか、、私の顔とか体を見て凄く嫌そうな顔をするというか……なんか、小さな声でチッ女かよとかいわれたりするし……」
なんて職場だよ。
やっぱりここもそうなのかよ。
俺が本気で転職についての決意を固めていると、
「ねぇねぇ、キミ、ここの新人看守さんだよね?」
「ん……そうだが……」
「やっぱりそうなんだね! ならこれから先輩として、定期的に私がしゃべり相手兼アドバイザーになってあげるね! 暇になったらここにきていいよ!
特別サービスだよ! 大ファンだって言うから特別ね! えへー、嬉しいでしょっ!」
「………………わーい……嬉しいなー…………」
死刑囚と看守に先輩後輩なんてあるのかよ……
デイジーは嬉しそうにその豊満な胸を揺らしエッヘンって感じだな。
まあ、この胸がこれから毎日拝めるってだけで、上司の靴の全自動ぺろぺろマシンとよばれるまでがんばったかいがあるってもんだわ、うん。
ホントにでかいなあ、夢が詰まっているのだろうか……。
このなんともかわいらしい俺のNEW先輩を適当に流して……、手ぶんぶんふってるじゃん……最後、
ん、?
四人って言ってたよな。
このあたりの独房にはもう人はいない。
「おくのほうか……?」
俺は奥に向かう。
っっ、!おいおい、まじかよ
女の子が床に倒れてんじゃねえか、どうなってんだよここの看守はそれでも人間かよ!
男がどうなろうが一行に構わないがこんな体の小さな少女が倒れている状況は見過ごせない。
おれが、前の男監獄でのいじめや略奪を一切止めないのは内緒だ。
おれは鉄格子ごしに叫ぶ。
「おい、お前!大丈夫か!しっかりしろ!」
起き上がってきた、良かった、生きてはいるようだ。
少女がそのオレンジ色の瞳でこちらを見た。
そして、
それと同時に。
俺は、呼吸が止まった。
「、、、、、、、、マジかよ」
ひろいんでたよう