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俺は今、地下独房行きのエレベーターの前にいる。
なんやかんやセキュリティが多すぎてここにくるまで1時間もかかった。
疲れた、しかもすげぇガチムチの案内人と一緒だ。
……こいつとこの狭そうなエレベーターの中で一緒か。
やめてくれよ。可愛いおにゃのこがいい。
鍵をさして、扉を開け、エレベーターの中に入る。
扉から何から凄く頑丈そうだ。
ゆっくりと音をたててエレベーターが降りていく。
このふわっとなる感じ大嫌いなんだよなー。
あと、やっぱりこのエレベーターの中、狭い。
「これは、地下に収容されてる四人の者のリストだ。これから世話しなきゃいかん奴らのことだから目を通しておいてくれ。国家機密扱いだからくれぐれも外に持ち出すなよ。」
俺はたくましい腕がいきなりこちらにさしだされてきたので、それはそれはびびった。
この世の終わりかと思った。
走馬燈みえたわ。
「まあ、この第一級死刑囚用の地下には、40人の管理人や看守がいるから困ったら彼らに聞くといい。」
そんなにいるのかよ。
たった四人に!
すごい扱いだな。
「もちろん、俺に聞いてくれれば、分かることなら何でも答えよう。気軽に聞くといい。」
そのあとも細々とした説明を受ける。
ガタイに似合わず優しそうなこの男。
さっきから警戒してて申し訳ない。
説明があんまり頭に入ってこなかったな。
そうこうしているうちにエレベーターは地下についた。
「ここから先は迷路になっているから俺から離れるんじゃないぞ。」
俺が意識しすぎなのだろうか。
それにしても距離が近い気がする。
いや、でも、俺を思ってのことかもしれないからな。
決めつけるのは良くない。
防犯カメラやら赤外線センサーやらの多い廊下を右にいったり左に行ったりしてあるいていくと。
大きな扉の前についた。
「ここが地下管理室だ。」
「囚人達はどこにいるんですか?」
「この奥に連なった独房がある。そこに囚人達がいる。」
まずは、管理室に入って挨拶していく。
案内役の男は、ここで別れて同僚らしき男達と話している。
ああ……俺をさしてなんか狙ってる、そそるとか聞こえる……。
クソ、俺の周りにはホモしかいないのかよ!
一通り挨拶回りを済ませた俺は、この世の不条理を呪いながら独房の方へと向かう。
ああ、リストをもらったっけな。
目を通しとくか。
なになに……うわ、こいつ聞いたことあるな。
怪盗て…………………………………!!!
へーこんなやつがいるのか。
………………うん?
大体まとめるとこんな感じ。
一枚目
第一級犯罪者ジェフリード・グレイマン 男 60 拘留九年目
大量殺人鬼
主な罪 殺人罪 監禁罪 強姦罪
判決 死刑
身体能力に科学的価値あり
二枚目
第一級犯罪者ナサニエル・ジョーカー 男 25 拘留一月目
詐欺師
主な罪 詐欺罪 麻薬密売 国家転覆罪
判決 死刑
情報屋としての価値あり
三枚目
第一級犯罪者デイジー・ミュンヘルン 女 19 拘留半年目
怪盗 発明家 科学者
主な罪 窃盗罪 世界遺産破壊
判決 死刑
発明家、科学者としての価値あり
四枚目がない…
あれ?四人って言ってよな?
……………………まあ行けば分かるか。
それにしても凄い顔ぶれだな。
この大量殺人鬼は誰もが聞いたことあるくらい有名だしな。
長年追われてたが捕まってもう九年か……
約30年も捕まらないまま人殺しを続けてたって話しだしな。
こんなとんでもない罪で死刑を未だまぬがれているなんてこいつの価値は相当のものだろう。
二枚目は知らん。
あと、国家転覆罪とかホントにあったのかよ。
三枚目の怪盗デイジーは有名だ。
子供達のヒーローだったしな
本名とは思わなんだが。
こいつはバカなんだろう。
大怪盗デイジーに会えることに少しウキウキしつつ緊張しながら俺は独房の扉の前に着いた。
見張りに声をかけて、中に入る。
…………俺はここで俺の天使に会う。
ヒロイン登場までもう少し☆