表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

番外編①

実に下らない話です。

「んーー…っ、結構疲れたなあ」


 ずっと同じ姿勢だったせいか、それとも初めてのダイブが意外と堪えたのか、体が固まっていた。


 伸びをすると非常に気持ちいい。


 時計を確認すると、ちょうど昼ごはん時だった。


 そして、ふと視界に入ったのは、私のベッドで横になるお兄ちゃん…お兄ちゃん?


 思わず動きが固まった。


 ヘッドギアをつけ、楽な姿勢で「私のベッドで横になるお兄ちゃん」。大事なので二度言いました。


 どうしてくれようこの男。


 別に嫌いじゃないけど、お父さんの次くらいにはベッドに横になってほしくない…と思う。


 少なくとも、私がソファで寝てるのに、その横でベッド使うって、どうよ。


 しかし、叩こうにも蹴ろうにも、相手はヘッドギアをつけてダイブの真っ最中。ヘッドギアが起動しているので、そんなことは一目瞭然だ。


 どう考えたって張り倒していい状況ではない。ヘッドギアには安全装置が付いているとはいえ、注意書きのトップに書いてあるのが「ヘッドギア使用中は急に外さないでください」の赤文字である。明確に被害があるわけではないが、電気ショックを与えられたような状況になり、昏倒、気絶、脳震盪に近い衝撃が脳に伝わるとか何とか。


 下手すれば入院沙汰になるらしい。


 いくらなんでも、たとえこれが赤の他人だとしたって、ダイブ中の人間に衝撃を与えるようなそんな行為はしたくない。


 だからこそ、この衝動をどうしよう。


「…よし」


 人のベッドで気持ちよく寝ている間に、地獄を用意されているとは思うまい。


 ヘッドギアの電源を落とし、ソファに置いて部屋を出る。


「お母さーん! 今日の夕飯、ピーマン尽くしにしてー!」


 階段を降りながら、キッチンにいるはずのお母さんに叫ぶ。


 今から涙目のお兄ちゃんの顔が、目に浮かぶようだ。

お気に入り登録、評価をいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ