道化師は踊る
掲載日:2026/08/04
電話の向こう側から
聞こえてくる声は
確かに君の声
だけど
その言葉は
もう昔の様な
コロコロと笑う声じゃなくて
しんどそうに
一言一言を絞り出すような声
それでも君は話したかったのだろう
近くにいるから会いに行くと言ったけど
君は頑なにそれに頷かなかった
理由はなぜか分かっている
君は君の姿を
僕に見せたくなかったのだろう
僕の記憶に残っているあの日の
君のままの姿を僕に留める為に
君の気持ちは分かる
けれど僕はそれでも
君に会いに行けば良かったと
今でも少し思っているよ
ねえ 君のために
僕は 何ができるだろう
君を 忘れないために
君が 生きていた証を残すために
僕ができることは
君に少しでも笑ってもらうこと
だったら僕はまた
君のために 僕のために
道化師の仮面を被ろうじゃないか
さあおいで
言葉の世界へ
文字の世界へ
ここでなら自由に歩けるから
君がそこから立ち上がれなかったとしても
誰かがそんな僕を嘲笑ったとしても
僕が君を笑わせてみせるから
僕が君の生きた証を留め置いてみせるから
だからお願いだよ
まだ眼を瞑らないでおくれ
まだ幕は降りてはいないんだから
四季さま、レビューありがとうございました。
この作品の物語版もよろしければお読みください。
「君の灯し火を消さないために」
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