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8『ムラサキ班の異世界生活』

 ピンクとアシェリーが食器類の片付けをしている間――。

 会話の声が届かないリビングにて、イエローと今後について話合う。


「ハジメってさ。ピンクみたいな女の子タイプでしょ?」

「何を言っているんだイエロー。俺たちは夫婦だぞ、タイプじゃない女と結婚する男がどこにいる?」

「おい、こら。それはさておきさ、あの子の能力は『水を全般的に操れる能力』……アタイ、水魔法系を教えるの苦手なんだよねぇ」

「まあ、良いんじゃないか? 異世界(こっち)では何度も(こす)られて来た能力だ。今更……苦手もクソもないだろう。それに、あの子が目指すのはスローライフ……ムラサキが求める合格点を百点だとしたら、六割もできたら上出来じゃないか?」

「冷めてんね~ハジメは」

 

 そう言ってイエローは座っていたソファーからズルっと落ちた。

 俺がイエローにそう言ったのには理由がある……。

 なぜかは解らないが、こっちに来てから俺にはアシェリーの『能力の天井』が見えるのだ……。

 アシェリーの現在の能力値はもちろんだが、上限値もすでに書かれている。

 現在の能力値『レベル2(上限30)』『筋力5(上限25)』『見習い能力者(上限:中級の水魔法使い)』……ハッキリ言って、個人でスローライフを送れるような潜在能力が彼女にはないのだ……。


 だが、そんなことは口が裂けても言えない……。冷めた奴は俺一人でいい……。


「……そんなことよりもイエロー。お前、これからどうするんだ?」

「え? どうするって、アシェリーを修行して――」

「アシェリーはこれから街で読み書きを習いに……覚えてないのか、学校だぞ?」

「え? じゃあピンクとお茶でも――」

「準備できたわよ~~。じゃあイエローお留守番よろしくね! 使者様も早く着替えて、遅刻するわよ」

「父様、私がんばります!」


 出かける準備を済ませたピンクとアシェリーがやってきた。


「ほどほどにな~アシェリー」


 そうなのだ、アシェリーの両親は共働き。

 俺は土木作業をしに街へ、ピンクは洋服店で販売員として働く。

 言うなればイエローは、朝飯を食いに来た家庭教師――――ッ。

 誰もいない家で家庭教師が出来ることはお留守番だけなのだ。


 先に出かけた二人を追うように俺も身支度を整える――ッ。

 俺は久しぶりの肉体労働に心が弾んでいた。


「ハジメ~~今日ぐらいサボったら~。アタイ、お留守番が一番苦手なんだよねぇぇぇぇぇ」

「家の掃除でも何でもすればいいだろうが」

「掃除はもっと苦手ぇぇぇぇ」


 すがりつくイエロー……。

 さすがに俺だって気づく――ッ。

 こいつは……リーダーの器じゃねえ。

 それと同時に、俺の脳内CPUがある事を思い出させる――。


「朝食の肉……裏山で獲れるらしいぞ」


 それはアシェリーの修行風景に見切れていたモンスターと、今後起きるレストランでの誕生日会でシェフが食材となるモンスターを猟人(かりゅうど)から受け取る場面、そして……あの骨付き肉だった。


「……分身魔法ダブル――――ッ! 夕食、楽しみにしてるぜ。相棒!」


 分身体を作り出したイエローはそう言って裏山へと向かった――。

 俺は残された分身のイエローに聞く……。


「どのモンスターか知ってるのか??」

 

 分身のイエローは何も言わずに首をただ横に振るだけ……。


「よしっ! 夕食は魚にしよう――」


 俺は献立(こんだて)を考えながら、街へと向かった。

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