21『誕生日会』
七日目の夕刻――――。
アシェリーの誕生日会は予定通り、レストランで行われる。
俺たちが初めに見た誕生日会との違いは、家族以外にもレッドたちがいること……それと、父親役の俺が厨房で焼き鳥を焼いているという点。
「お――――いッ! 焦げ臭いぞ!」
「さーせん! 家とは勝手が違くて」
火力の違いに、俺の焼き場では火柱が上がっていた。
その間にも、誕生日会は進む。
そして……。
焼き鳥というよりは、地鶏焼きと言った方がしっくりくる焼き上がりに、レストランのオーナーも苦笑いを俺に見せる。
「気持ちですよ……料理は気持ちですから」
「そう……ですよね……」
今思えば、アシェリーが大好物だからという理由だけで、やったこともない焼き鳥を焼けるようになりたいと思ったのが、俺の思い上がり。
結局の所、俺も彼女同様に不要なフラグを立ててしまう『フラッガー』気質があるのだ。
無駄な遠回りばかりで、何一つ進まない人生……。
「んんッ?! この地鶏り焼き、めっちゃ塩加減いいじゃん!!」
そう言ったのは、つまみ食いしたレッドだった。
「いや、それ焼きと…………どうだレッド!! 俺様の焼いた地鶏焼き串は!」
「いやマジで、この炭の香りといい……店出せるんじゃね?!」
だが、何一つ進まない人生でも……たまに良い事はあるものだ。
俺の焼き鳥あらため、地鶏焼き串はアシェリーにも好評のようだった。
誕生日会はさらに進み、アシェリーと学校で共にする他のメンバーたちの様子を観察したが、結局のところアシェリーが誰かに好意を持っている様子はなかった。
「なあイエロー。アシェリーとあいつらには微妙な距離感があるように感じるのだが、俺の気のせいか?」
「まあ……そりゃそうだよね。アシェリーちゃんだって中身は大人。子供相手には、ときめかないよね」
「だよな……」
そして、会の最後に誕生日プレゼントを渡してお開きとなった。
四人で家に帰る途中。
一週間前、アシェリーに話した朝の出来事を思い出したが、口にするのを辞めた。
彼女の異世界での明日の朝は、俺達には来ないからだ。
これ以上、彼女の異世界ライフに土足で踏み込めない。
たぶんだが、彼女の異世界生活はやはりどこかで止まってしまう気がしてならない。
しかし、俺達には手立てがないのだ。
ピンクの手を握り、イエローの冗談で笑うアシェリーの横顔がどこか作り笑顔に見えた。
深夜、寝静まった家のリビングで、アシェリーの朝練の姿を思い出していた。
それと同時に、やはり俺には自分が異世界で主人公となる姿が想像できないことを痛感する。
何か特殊能力を得たとしても、アシェリーのように努力する気力はないし。だからといって、チート能力で無双する日常も価値を見出せない。
ある意味、俺は傍観者でしかないのだ。
そんな自分と必死に生きたアシェリーを照らし合わせているときだった。
「父様――――。まだ起きてたのですね」
「あぁ。少し……眠れなくてな」
初めて、夜遅くにアシェリーがリビングに来たのだった。




