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11.天皇陛下バンザーイ

なんか全然時間が取れない

 新川菌……それはこの世を恐怖に陥れる唯一無二の最近なのです。大ウソ。いや、知らないですけど。

 少なくとも僕は聞いた事がありませんね。何それ美味しいの?ですよ。まあ、菌を食える人なんていませんが。

 それにしても、何なんでしょうね、新川菌って?僕が知らないだけで、皆さんが常識のように知っている菌かもしれませんが。だって僕、常識ありませんし。自覚ぐらいありますよ。

 僕が思考を巡らす間に、僕に触って来た小学生の男の子の連れと思われる同い年くらいの男の子がやってきました。


 「あ、新川菌、この人に付けたから!」


 だからそれ、なんですか?まさか、本当に致死率100%オーバーで接触感染する超強力な細菌じゃありませんよね?うわー死ぬ―。せめてベッドの下のブツを廃棄してから死にたいよー!

 こんなことになるなら、是が非でも奏かニッシーを連れてくるべきでした!あいつらに移してやる~!女の子にうつそうと考えない僕優しい。


 「何言ってんだよー!他人に付く訳ないだろー!」

 「えー!」

 「そういうもんだろ!」


 どういうものなのですか!今時のウイルスって特定の人にしか付かないようなものもあるのですか?そんなのいつできたのですか?何時何分何何秒?地球が何回回った時?

 ………待ってください。なんか、僕も子供の時こんな事をやっていた気が(今も中学生ですが)……。

 

 

 

 昔々の事です。あれは僕の女顔がまだ子供っぽいと許されていた小学二年生の時の事でした。

 恐らく中学生以上の方なら分かると思いますが、小学生の男子と言うのは下品な言葉が大好きな奴がまざっており、一日に一回は人間の排せつ物の名前を恥ずかしげもなく声を大にして言います。全く僕ときたら。

 それ以外にも他人の嫌がる事を平気でやる奴もいます。そしてそれをネタにして笑うという最低な行動をするのです。全く恥ずかしい!あれ…、僕まだ治ってない…。

 ま、まあ、その時の僕達も例外ではないという訳です。故にその時に、こんな遊びをしていたのです。


 「触るなよ、西田。菌がつくだろ」

 「どういう菌がだよ!」

 「西田菌だよ!」

 「どういう菌だよ!」

 「へい、晃、タッチ!」

 「うわ!僕につけないでください、武藤君」

 「とかいいつつ、俺になすりつけてんじゃねーよ!」

 「奏。人は自分の利益の為に生きているのですよ」

 「くそ、この柱に付けといたからな!」

 「駄目だ、柱にはつかない!」

 「何で!?」

 「そういうものだから!」

 「というか、俺汚くないから!菌ないから!」

 「存在自体が菌ですよね!あなた」

 「め、眼鏡が冷たい……」

 「やめて、よして、さわらないで、カビがつくでしょ!」

 「あなたなんて大嫌い、顔も見たくない」

 「こうなりゃ、やけだ!なすりつけてくれる!」

 「うわー、やめれ!」


 ちょっとした遊びですね。昔流行ったのですよ。こういうの。”えっち、すけっち、わんたっち、あなたの以下略”とかも意味よく知らずに使ってました。

 これは人に触るとその人の名前の菌がつくっていう奴で、それを使って、鬼ごっこみたいなことをしました。懐かしい。それと何故か良く分かりませんが、柱とかそういう近くにある物体にはなすりつけられないルールがありました。そのくせ、人の持っている鞄には付着するんですよ。

 たまに、わざと自分の手に菌をつけて人になすりつける奴とかもいました。やっている間は結構盛り上がるのですが、終わった後に何とも言えない虚しさが残りましたよ。

 ところで武藤君と西田君とは最近あっていませんね。……何故だろう、西田君にはあった気がする。しかも結構最近…。

 

 

 

 つまり、この男の子達もそういう輩なのでしょう。将来が思いやられるガキですね。まあ、人の事は言えませんが。

 またも野次馬を通り抜け、鬼ごっこに近い遊びを続ける子供の背中を僕達は見送りました。そして気付きます。

 ということはここにその菌の持ち主がいるわけですよ。この遊び、やった事がある人は分かるかもしれませんが、菌呼ばわりされている人は自分もノラない限り気分が良くないのですよ。だから結構傷つく人もいます。

 まあ、でも、こんな奴らと関わるのだからその子供も、きっと馬鹿なんでしょう。多分”ミキミキポンチカスマリア、イエスかノーか半分か?”みたいなことを言っているレベルなのでしょう。ちなみにこれは、区切って反対に読むと意味が良く分かります。そして貴方は言うでしょう。


 「何が面白いのか、分からない」


 おぅ、葵。心を読まないでください。もしや、あなたはエスパー?ならばバリアをはるためにエスパー雇わないと!そしてそのエスパーに心を読まれないためにまたエスパー雇って以下略。


 「菌扱いして、傷つく人もいるのに」


 あ、そっちね。でも、男の子なんてそんなものですよ。下ネタ連発して、人が傷つく事を平気でやったりしますからね。まあ、最近では大人になってもそんな事をしている人間がいますね。例えば作し、うわ、何をする、やめ!


 「でも、まあ、いつかは悪い事だと気付いて自分からやらなくなりますよ。ほっといても大丈夫でしょう」

 「でも、あそこで泣いてる子がいますよ~」


 エッ!マジ!


 「オオマジです~」

 「…え~っと、それは何に対して言いましたか?」

 「貴方の心の声に対して~」

 「貴女は本物のエスパーですか!」

 「い~え、驚いたような顔をしていましたから~」


 僕ってそんなに分かりやすいのでしょうか?こう見えても僕ポーカーフェイスなんですよ?


 「自称する人ほど、わかりやすい」

 「葵、何で、そんな細かいところまでよめるのですか?」

 「こうみえても僕ポーカーフェイスって顔してたから」

 「どんな顔ですか!?」


 っと、そんな事はどうでも良かったのです!その泣いている男の子(そうだと願いたい。男だったらまだなんとかなりますが、女の子だったらどう慰めればいいのか分からない)は?

 僕は先程日向さんのみていた方向を向きます。すると、野次馬の間から一人の女の子が泣いているのが垣間見えました!アーッ!あの餓鬼ガキどもに違いがない!

 僕の怒りマックス!久しぶりに人に対して殺意が湧きましたよ!大人げない?いえいえ、これを読んでくれている人なら、きっと女の子がいじめられていたら激しい憤りを感じる筈です。僕はそれがちょっといきすぎているだけなのです。何故かって?それは僕が幼女好以下略。

 辺りを見渡すと、先程のガキ達を外野の合間から発見。僕はその方向に一直線に走ります。すると、肩を掴まれました。外野の一人で、先程のちょい悪です。


 「何ですか?」

 「何でもこうでもねーよ!何逃げようとしているんだよ!とっとと名前叫べよ!」

 「そうだぞ!さっさとやれよ!」


 ……人が泣いているのが見えないのですか!

 …駄目です、ここで怒鳴ったり、わめいてもただの八つ当たりです。僕はそこまで落ちぶれてはいません。


 「すみませんが、今はそれどころじゃありません」

 「はぁ?そんなの関係あるかよ!こちとら休日返上で―――」


 ああ、言えばこういう!本当にむかつきますよ!ええ!こうなったら最終手段です。僕は周りの人に見られないように両手を重ねます。


 ぶぅ


 「え?」

 「誰か屁をこきましたね?誰ですか?あなたですか?」

 「ち、違う!お、お前だろ!」

 「何言ってんだ、俺のおならはジャスミンの香りなんだからな!てめぇだろ!」


 野次馬は誰がこいたかでもめ始めました。計算通り。掌にためた空気の出ていく音って本当におならの音に聞こえますよね?これが出来るように一年以上練習した子供の頃が懐かしいです。

 僕はその間をうまくかきわけ、前に進みます。途中でひじ打ちが鳩尾に入りましたが、今はむかついている暇はありません。

 ところで、途中で僕の腕にはんにゃの面がぶら下がったのですが、先程の野次馬の連中の誰かの所有物でしょう。丁度いいですね、ちょっとこいつで懲らしめてやりましょう。

 運の良い事に、まだそのガキは僕の視界の範囲内にいたおかげで、一直線にそいつらのもとに迎えました。

 どうやらまだ、菌遊びに夢中の様です。皆を追いかけていた今菌がついているであろう、帽子を被った男の子が息を整える為に立ち止ったところに話しかけました。


 「ねえ、君」

 「え、何?―――ひぃ!」


 その男の子は驚き、腰を抜かして尻餅をつきました。まあ、いきなり般若の面が見えたらビビりますよね。僕ならちびります。

 涙を浮かべ見上げてくる気の弱そうな男の子を見ていると、罪悪感が立ち込めてきますね……。しかし!こいつらが許しがたき事をした事に変わりはないのです!僕は般若の仮面を借りてこいつらを制裁するのです!


 「へ、変態だ~!」


 あれ……?何この反応?

 僕が呆けていると、ガキの仲間が集まってきました。そして僕を見ると、同じように腰を抜かして涙を浮かべながらこちらを指差します。

 そして口々に


 「変態だ~!」


 と叫ぶのです。いや、何故に!?


 「へ、変態とはなんですか!?」

 「公園で般若の仮面かぶっているなんて変人以外に居るわきゃねー!」


 あ、ばれてた。それになんか納得。でも、だ、だからって……。やばい、僕の黒歴史がまた一つ増えました。

 失意のうちに立ち尽くし、少したってから我にかえると、既に目の前の男の子は姿を消していました。やべ、逃がした!

 般若の面を地面に乱暴に投げ付け振り向くと、未だに混雑している野次馬達を視界に捕らえました。その人達に対して呆れの感情を抱きながら、先程泣いていた女の子を捜しました。

 記憶を頼りに少しばかり辺りを見渡すと、すぐにその姿を認識できました。そしてその横には葵と日向さんが寄り添っておられます。僕はゆっくりと歩み寄ります。

 葵は少女の正面に屈みこみ、その子の両肩に自分の両手を置いて、何か語りかけているようです。日向さんは葵の後ろから、これまた何事か話しかけています。

 僕がある程度近づくと、葵が僕に気がつき、日向さんに一言二言伝えた後、こちらに向かってきました。ところで葵はクールフェイスであるからして、表情が読みにくいのです。現に今も、どういう感情なのか読めない。

 

 「お母さんとはぐれたみたい」


 日本語と言うのは主語を無くしても会話が成立する言語です。勿論、この文の意味も主語がなくても分かりますよね?でも、一応補完しておくのが親切設計と言うもの。僕優しい!このギャグ何度目?

 つまりは、あの女の子ははぐれて、お母さんが見つからない不安で泣……ってちょっと待て!この解釈であってますよね!?でもそれなら、あのガキ達関係ないって事ですか!?そりゃ、ねーべ!

 と言う事は、僕が変人扱いされたのは全くの無駄無駄無駄~!ってことですか!?恥ずッ!ちょっと死んでくる!天皇陛下バンザーイ!

短いうえ、多分かなり長い事次の更新までかかると思います。

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