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月光と漁火〜転生オタク女子は魔法に沼る〜  作者: かず@神戸トア
成人したオタク女子

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新ダンジョンの最奥

 やはり巨大蠍(ジャイアントスコーピオン)は硬い殻があるだけでなく、毒があるということで皆の動きが悪くなる。

 毒のある尻尾を意識しすぎると両手の巨大なハサミの攻撃にやられるし、中途半端な攻撃ではハサミが大きな盾になって阻まれてしまう。


「これでは刃が傷んでしまうわ」

「確かに斬るよりも打撃の方が良いわね。ボリスのロングソードを中心にするわよ」

「守りが弱くなるが?」

「盾のあるアルとジョンが補助に入って。その代わりイグと私が隙をみて関節を狙うわよ」


 以前に襲撃してきた男たちのショートソードが、魔法の収納袋に入れっぱなしにしていたので、それを使い潰す前提でイグナシアナとミミが間接を狙う。

 日頃はブロードソードを使用するアルフォンスとジョフレッドも、同じ片手剣であるそのショートソードに持ち替えて対応することになった。



 しばらくすると、同格であるCランク魔物に対して5人が近接で戦うことに余裕が出てくる。

「だいぶ慣れて来たわね。複数と相対することも踏まえて、アルやジョンも1人で盾役になれる練習をするわよ」

「ミミは厳しいな。でもこの小さな盾の使い方の訓練にはちょうど良いな。上手くさばかないと、巨大ハサミの力で飛ばされるから」

 ジョフレッドは対人戦では学べない動きに前向きである。


 一方、日頃は盾役が多いボリスはヒーターシールドを魔法の袋に収納し、両手でロングソードを扱いパワーでジャイアントスコーピオンを圧倒している。

「ボリスも良い感じね。たまには役割を変えると仲間の動きも分かるようになるでしょう?」

 ミミがパーティーのリーダーらしく色々と考えてくれるのはありがたい。

 イグナシアナとジョフレッドが加入するまでの4人では、魔法使いで非力なルナリーナと大柄でパワー中心のボリス以外がアルフォンスとミミのみで選択肢が少なかった。

 今は前衛になれる2人が増えたので、色々な陣形を試すことができる。



「こいつの肉、意外と美味いな」

 ジャイアントスコーピオンを倒して進んでいるので、やはり食事の時間になると色々と試してみたくなる。

「確かに。焼いただけなんだが」

「私、聞いたことがあるわよ。魔物ランクが高くなるほど美味しくなるって」

「それは聞いたことがあるな。でも、アンデッドみたいに食えない奴もいるからなぁ」

「ま、これから冒険者を続ける中で、本当かは経験していけば良いわよね」


 単にカルカーン帝国の帝都サンレアンに向かうだけでは中だるみするため、魔物討伐などができればと考えていた中でのこのダンジョン攻略である。

 腕が鈍らないどころか訓練も行いつつ、未経験な魔物との遭遇という冒険者らしさを楽しむ余裕も出ているので、良い傾向であるとミミはこっそり思う。




「で、この砂漠の形状はさっきの森と同じ円形で確定したということか」

「そうね。でも、森のときよりも小さかったわね」

「じゃあ、また次の階層に行くには真ん中なのかな?」

「もう一度アルの当てずっぽうに頼ってみるか」

 再び砂漠の真ん中を目指す一行。



「まさか、ここが巣だとは」

 その真ん中にはジャイアントスコーピオンが5体集まっているのが遠目に確認できる。

 中心に岩場があり、その周りを取り囲むように分散はしている。

「あれって、ボスエリアってことかな」

「場所が場所だけにそうだろうな」


「どういうことだ?」

「ジョンたちはダンジョン攻略の経験がないから知らないかもしれないけれど、ダンジョンってボスが居るのよ。とても深いダンジョンだと中ボスというのが途中にいたり、階層ごとに居たりすることも。でもここでは蟻も蜘蛛もボスっぽいのは居なかったわよね」

「そうだな。普通に次の階層に来られたな」

「ということは、あの5体がこのダンジョンのボスなのかもね、ということ」

「なるほど。このダンジョンの最後がアイツらか」


 銅級冒険者が6人に対してCランク魔物が5体であれば、勝てるはずではある。

 しかし、ここに到着するまで同時に相手したのは最大3体までだった。


「岩場の反対側に気づかれないように、こっちの3体だけを相手にできないかな」

 ミミは安全策を提案してくるが、当然であろう。わざわざ危険なことをする必要はない。

 ただ、残念ながらこのパーティーには弓を扱う者が居ないので、ミミの投石か投げナイフかルナリーナの魔法しか遠隔攻撃の手段がない。


「この距離なら、私の投石では注意を引くだけになるし、せっかくならダメージを与えたいから、ルナにお願い」

 そう言われたルナリーナも≪矢≫はそれほどの長距離に使用できないし、≪火炎≫か≪氷刃≫という選択肢になる。

 硬い殻に≪氷刃≫で斬り込む効果があるか分からないため、≪火炎≫を使用することにする。


「みんなの練習だけでなく、私も魔法が効くか試してくれば良かったわね」

「今さらね。それにルナの魔力は、回復魔法や≪洗浄≫にとっておいて欲しかったし」

 男性陣は、≪洗浄≫かよ、と思いつつ口に出せない。


「じゃあ、行くわよ。最悪、たくさん一緒に来たときの心づもりをしておいてよ」

 ルナリーナはそう宣言して、一番近くのジャイアントスコーピオンに対して≪火炎≫を発動する。念のために、頭がこちらではなく別方向を向いたときを狙ったのだが、攻撃を受けた瞬間にすぐにこちらに気づいたようである。


「来るわよ」

 ミミの発言の通り、≪火炎≫を当てた蠍だけでなく他の蠍もすごい勢いで砂の上をはうように迫ってくる。

 見えていたのは、≪火炎≫で攻撃した蠍とその両側にいた蠍だけだったのだが、岩場の向こうからも左右に分かれて別の蠍たちも向かってくるのが見えた。


「残念だが、5体とも釣れたようだな。気合いを入れるしかない」

「ルナを守るように周りを囲んで」

 ジャイアントスコーピオンに比べてこちらの人間サイズは小さい。6人が小さく集まると、その周りを取り囲める蠍の数は3体程度に抑えられるとのミミの推測である。


「やるしかないわね」

 ルナリーナも最初に≪火炎≫を発動した相手に対して、接近されるまでの間に繰り返し≪火炎≫を発動する。

 遠距離で攻撃していたこともあり、ここにたどり着くまでにその1体を動かなくすることはできたが、逆に無傷の蠍が3体、自分たちを取り囲むことになる。


 いつもは盾役を蠍の正面に立たせて、関節を狙うイグナシアナたちは横や後ろから攻撃していたのだが、この状態では正面に向き合うだけになる。

 そうなるとこちらのショートソードの攻撃など、ほとんど巨大ハサミにはばまれるだけとなる。


 ボリスだけはヒーターシールドも装備して、右手のロングソードで対応しているが、他の4人は2人組になって巨大ハサミと格闘することになる。

「ルナ、頼む!」

「分かったわ、何とかしのいでね」


 そういうものの、ルナリーナに取りえる選択肢も少ない。これだけ硬い殻であるので、距離が接近したとしても≪矢≫ではそれほどのダメージを与えられると思えない。

 顔をよく見ても、弱点と思われる目は意外と小さくて狙いにくい。

 結果として≪火炎≫の一択になってしまうが、下手な場所に発動すると仲間たちにも炎によるダメージを与えてしまう。


「ちょっと熱かったらごめんね」

 そう言いながら、まずはアルフォンスとミミが対峙している蠍の腹部あたりを狙って≪火炎≫を連発する。

 本当は1体ずつ倒し切った方が良いのだろうが、他の仲間も巨大ハサミに苦戦しているようなので、他の蠍の腹部にも1発ずつ≪火炎≫を発動しておく。


「やばい。こいつら、ルナに対する怒りが」

 手前のジョフレッドたちを力で押し込んで、背中の向こう側から毒のある尻尾をのばしてルナリーナを攻撃しようとしてくる。

「押し返せ!」

 男性陣が大小それぞれの盾を前に突き出して、巨大ハサミに当てながら蠍と押し相撲をしている。


「頑張って」

 ミミとイグナシアナはショートソードを、巨大ハサミの付け根などの隙間に突き刺しながら、男性陣を応援する。


≪火炎≫

 ルナリーナは余計な発言をする余裕はなく、無くなりかけた魔力の補充は腰袋の魔石を使用して、ひたすら≪火炎≫を発動し続ける。

 最初は威力を増すために右手は(スタッフ)、左手は魔導書というスタイルでいたのだが、魔石を使うため左手は魔導書を諦めるので、少し威力が落ちたことで発動回数を増やすしかない。

 引き続きアルフォンスとミミの前にいる蠍を攻撃することで1体は仕留めたところで、次はジョフレッドとイグナシアナの前にいる蠍に攻撃を集中する。


 先に倒した蠍の死体が邪魔をしてくれると思っていると、囲いに入れていなかった1体がそちらに気づいたようで、仲間の死体を巨大ハサミで器用に取り除いて攻撃に参加してくる。


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