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4月27日 晴れ 夢と夢

世間ではもうすぐGWと浮かれる中、吹田は危惧していた。

GWになれば普段図書館を利用しないミーハーどもが押し寄せるだろう、席を早めに確保しなければ…

それに恐らく弥生や西園寺もこの期間は来ないだろう。吹田にとっては我慢の期間だ。


連休明けには初めての模試も控えている。

春以降で弾みつけるためにも、この模試は重要だ。

弥生、西園寺のアイスブレイクで吹田の勉強は好調だった。楽しみがあると辛い勉強でも続くというものだ。

さてさて、今日はどんな会話が聞けるだろうか?


ーーーーーーーーーーー


西園寺と弥生はいつも通り二人でやってきた。

気温が上がってきたので服が薄着になり、まるで蝶が幼虫から成虫へ羽化するように服装が変化していった。

薄着になったことで、2人の体格差もよりハッキリと分かってきた。

弥生は割と体格ががっちりしており、一方の西園寺は華奢だった。吹田のイメージとは逆だったのだが…


「暑い日が続くな、西園寺。」以外にも口火を切ったのは(いや、吹田の見ていないところで話しているとは思うのだが…)弥生だった。

「今日はぜひ君の考えが聞きたくて、1つ話のネタを持ってきた。」

「おお!それはそれは!」

西園寺は嬉々として聞き返す「で、どんな事だい?」

「先日は夜も暑く寝苦しかったので眠りが浅く、夢を見たんだよ。その時に思ったんだが、寝る時の夢と、将来の夢はなぜ同じ漢字を使うのだろうか?」


『うーむ、確かに言われてみれば…』吹田は感心してしまった。言われるまで気が付かなかったぞ…

確かに「夢」という漢字は悪夢など寝ているときに見るものと、ケーキ屋さんのように将来のなりたい姿を想像したり、甲子園出場などの目標などに使用されて、時間軸的にはかなり違っている。


「確かに弥生の言う通り、将来の夢は自分で成りたい姿を想像できるし、大抵が将来のことだ。しかし、寝る時の夢は大抵自分でコントロール出来ないし、時間軸もよく分からない。それが同じ漢字で且つ、同じ読みなのは確かに違和感だな」

西園寺はうーん、と唸って、少し考えた。

「もしかしたら、夜見る夢の意味合いが変わってきたのかもしれないな。昔は夢が意味を持っていたと聞いたことがあるぞ。」

西園寺は続けて言葉を続ける「それに昔は情勢だったり、寿命的に今を生きるのが精一杯でとても先のことを考える余裕はなかったのかもしれない。」

言い切ったものの、西園寺は自分で納得していないようだった。


吹田もいつものようにペンは握りながらも、勉強の手は止めて考えた。

西園寺が提唱した説の内、やはり夢の持つ意味の変化から考えてみるのが良さそうだった。

しかし、吹田は一方で胸に引っかかりを感じていた。

『私は今、どの夢に向かって勉強しているんだろう?』

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