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戦争
展開は、ちゃんと戦争になった。
怯えた猿をつついてはいけない。
私が今考えたことわざだ。
ラランぴは熊スプレーを取り出し、バイト君の筋肉に押さえ込まれていた。
タケちょみは大声をあげてチンピラのように威嚇するも、一向にラランぴを守ろうとしない。
私は、大いに幻滅した。
なんか愛しさ余って憎さがとんでもない量で噴き出してきた。
これまでの私のキラキラした生活を返せ
偽りの笑顔に課金した金を返せ
グッズに並んだ時間を返せ
気づけば、私は椅子を振り回しかけて店主にたしなめられていた。もう片方の手でスマホを持ち、通報先に状況を説明している。
こんな状況なのに、常連客のテーブルは物見遊山の野次馬だらけで、背伸びしながらわいわい観戦している。
奥さんは、キッチンの定位置で台に手をつき、テレビでも観るような顔で眺めている。
この店で唯一の良心、読書をしていた若い客だけが、引きつった顔で固まっていた。