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計画
落ち着け、私。
自分の身に起こったことに慌てているが、展開自体はよくある話だ。
私の心は壊滅するが、別に命までとられる訳じゃない。
私は、さっきから推し等のいるテーブルの近くで作業していた。わざとじゃない。奥さんの方に言われ、おしぼりを巻いて保温機に入れていた。
作業スピードがスローなのは、わざとだ。
私は耳をそばだてた。
「だから、〜だし、〜〜〜だよ…」
向こうも気を張って、小声で会話している。
私は最後のおしぼりを巻き終わった。
でもまだチャンスはある。バックヤードから清掃をしにトイレへ回ると、造花のついたてが目隠しとなって、ちょうど2人のテーブルからは死角になる。しかもかなりの至近距離だ。
私は、任務を遂行するため、その場を離れた。
2人は安心したのか、声の音量を少しだけ戻したようだった。
私は音も立てず裏を進み、くのいちのごとく好位置についた。
「だからさ、ここの店にしようよ。もう時間がない。他に開いてる店もない」
「熊スプレー持ってきてんの?まず店長とババアやって、バイト軽く刺してレジ開けさせる?」
あ…
命までとられるかもしれない…