表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: いづる

仕事帰りに、いつものスーパーによる。


(今日も、2時間余りのサービス残業かあ。たまんないなあ)


美以野 真己は、最近いつも疲れていた。


新入社員の頃は良かった…。何もかもが、新鮮で1つ1つ仕事を覚えるたびに自信がついていった。意識はしていなかったが今考えれば若いだけで、周りにもてはやされていた。入社5年目ともなると、後輩からはできて当たり前で、ミスをすれば、お局や周りからはまだこんなミスをしてるのかとやたらと厳しい。


男性社員は最近モラハラとかセクハラとか世間的に厳しくなってきたものだから大ぴらっにはできないものの、若くて可愛い社員には見た目にも顔の表情がゆるゆるである。


(ああ、腹が立つ。年月には逆らえないけれど)


どうにか頭を切り替えて、明るい店内で今日の夕食を物色する。


弁当の割引シールが、店員によってゆっくりと貼られている。


それを、横目で追い越す。


(今日は早く帰りたいし、炒めるだけの焼きそばを買っていこう)


足早に、麺コーナーでたれ付きの焼きそばを2袋手に取る。



その時、少し後ろの方からざわざわと緊迫した空気が流れ込む。


「おい、どけや。わちゃわちゃとうるさいんだよ。給料上がらんくせに、いちゃもんばっかつけやがって」夕方の混んだ客が、その声の主だとおもわれる作業服を着た男を避けるように人の波が足早に通り過ぎる。


(私は、その男から目を離せないでいた)


見る見るうちに、その男は私の至近距離に近づいて来ていた。


会社への不満を喚きながら、いかつい包丁を握りしめていた

逃げてくる人々に押されながらも、私は動けなかった。


それどころか、私はその男の前に近づいて歩いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ