#1
「ゲン・ロックベル、貴様、今何時だと思っている?」
そう問いかけるのは、身長180cm程の金髪の試験監督官という腕章を付けた青年。まあ、青年というにはすこし苦労シワが多い気がするが…
「はい!11時20分です!」
そう元気良く答えるのは……つまり俺、ゲン・ロックベルである。
「そうだ、そしてクラス分け試験の開始時間は…」
「はい!10時00分です!」
「その通りだ、つまり…」
「つまり…?」
ゴクリ…
「試験はとっくに終わっている!貴様のクラスは無い‼︎」
その声はきっと今いる校門から学院中に聞こえるだろう声量だった。
「……やっぱりそうなりますか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「………はぁ…」
青年はこめかみを手で押さえながら大きく溜息をついた。
「…と、本来ならそうなるのだが君が遅れてきた事情もつい先程こちらに届いていた」
「えっと…つまり?」
「試験は受けさせてやろう」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「…まったく、……ふぅ」
青年は本日二度目の溜息をついた。なんとなくだけど、この人今日二桁は溜息ついてるな。
俺はそれとなく聞いてみた。
「試験監督官ってそんなに大変なんですか?」
すると青年は恨めしそうにこちらをみて
「まあ、試験一週間前に急に、来るかもわからない入学者を増やすと言われ、さらに手続きをしたにもかかわらず連絡なく時間に来ない、辞退者として資料を作成していたら貴様がやってきたんだ。分かるだろう?」
「なんていうか、本当にすみませんでした」
俺は流石に申し訳なくなった、そして少し同情を覚えた。なぜなら。
「ほう、やはりきたのか」
そう言いながら校舎の中から歩いて来たのは腰まであろう青髪をたなびかせる女性。この人の部下同僚なんて御免である。
「カリオストロ学院長!お疲れ様です!」
青年はその女性に敬礼をした。その顔には少し焦りの表情が見える。
「レクト教官、先程聞こえてきた会話は忘れた方が良いかな?」
「…っ!……いえ、私はまだ職務がありますのでこれにて失礼します。それではカリオストロ学院長、あとはよろしくお願いします」
そして青年もといレクト教官はそそくさと校舎に戻っていった。あの人も大変だなと思う。
「さて、ロックベル。まずは入学おめでとう、そしてようこそ、ルミエル王国立《フェニックス学園》へ!」




