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お嬢様の暮らし 10

恵がルアンの領館に入ってから半年が経とうとしていた。日中の暑さの中にも、時折秋の気配を感じさせる涼風が吹くようになってきた。護衛隊の訓練も当初の目的をクリアした。あの後も、実戦訓練は三回行われ森の中層であれば、魔力補助なしでも十分戦えるようになった。リュカとカミーユのレベルが一つ上がった。これは異例の速さで、毎回異なる縛りを付けながらギリギリの状況を作った実戦訓練が功を奏した。危なくなれば、恵とアリスが何時でも支援出来る体制で臨んでいたが、結局それもなく課題をこなした。

(ニコラは、無言での討伐に最後まで抵抗してたな。でもあれは、縛りでも何でもないんだけれど)

嬉しいことは、ルシィの索敵能力が著しく上がったことだ。索敵距離も伸び精度も上がった。更に、この辺りにいる魔獣の魔力パターンも全て頭に入ったようだ。魔力操作術カンストの恵がいるため目立たないが、他では一流と言われるレベルだ。

ただ残念なことに魔力の改変(調整)は出来なかった。十分な知識と、魔法の詳細な流れも感じ取れるようになったが、肝心の魔力操作術が追い付かなかった。恵は一計を案じ、通常の魔法にもヒールと同様の手法を取り入れ事にした。ヒールに比べればずっとシンプルにしたものだが、ショットのライブラリーを作り、オブジェクトを入れ替えることで、精度重視、威力・射程重視、隠形撃ちなど組み換えられるようにした。これによりルシィのショットの運用幅を広げることが出来た。このアイデアも過去から有ったものだが、研究者が時間を掛けなければライブラリーの作成はできないことと、いくら簡素化してもその場で組み合わせを変えて魔法を使うことは通常の魔法より高度な技術がいるため制作されなかった。ルシィには、恵の熱心な指導に加え、本人の素質と努力があったからこそものになったのだ。この二次的効果として、その延長線上にあったヒールもまもなくして習得出来た。


地の節季の始めには王都に向かうことになっている。アカデミー入学試験と正式にスフォルレアン家の次女としてのお披露目があるからだ。十一歳になった貴族の子女が、初めて招待される公のパーティーで、他の貴族にも認知されるようになる。

貴族としてのデビューであり、通常その準備は母親が付ききりで差配するものだが、エマの正式な婚約発表が控えており、ブロンシュは手が離せない。今回は副執事のマテオが恵の準備を代行する。彼は先週先行して王都へ向かった。

(まあ、お母様は申し訳ないと繰り返しているが、エマ姉と皇太子との婚約だし、今度の社交シーズンで正式に婚約が発表されれば、エマ姉はもうルアンに戻ることは無いもの。色々とやることがあるよね)

隊の中でもバタバタしていた。孤児院でリュカとよく一緒にいたテオも、リュカを追いかけてガルドノールの従士団に入ろうと頑張っていたらしい。それが、リュカ共々王都へ行ってしまう。何とかならないかと訴えてきたが、流石にこれは如何ともし難い。最後には訓練の面倒を見ていたケヴィンが、テオの頑張りを認めて自分のパーティーに迎えることで決着した。もう一つ、カミーユ情報でルシィがガスパールと離れることを気にしていると伝えてきたことだ。これもどうしようもないことだが、恵も気にしていたので本人に確認した。

(決して恋愛感情ではないが、慕っているって。もう私の範囲外だ)

恵はそれとなくガスパールにルシィのことを聞いてみたが、優秀な弟子が出来たみたいな感覚で、無邪気に喜んでいた。ポーションや魔道具のこともあり、ガスパールとは今後も色々とお世話になるので、王都とルアンの連絡はルシィにやってもらうことで、二人の顔を合わせる機会を作ることとした。

「私、メグ様の護衛隊に入れて幸せです。メグ様の配慮に応えられるよう、頑張ります」

(ルシィさん、連絡係だよ。何を頑張るの。私の配慮って、変な意味に誤解してないよね)

ガスパールからは、様々な魔道具を渡された。餞別を渡されたのかと思っていたら、ジュリアの指示だった。

「お嬢様には、本当はこのようなものを使うようになってほしくはありません。ですが、私も閣下に仕える身、密偵の仕事の重要性も理解しているのです・・・申し訳ありません」

(この魔道具、盗聴、追跡、認識阻害、etc 確かに忍者道具だわ)

「師匠、私は承知してここにいるのです。ちゃっかり好き勝手もやっていますし、そんな顔しないでください」

「お嬢様・・・」

恵は、努めて明るくふるまって、魔道具を受け取った。


恵が王都への出発の前日、ジラール家を招いてのささやかな壮行会(と銘打った晩餐会)が開かれた。

「お披露目が終わると正式にうちの子ではなくなるんだな。それでも戻った時は”父様”と呼んでくれるか」

(ジュリア母様に比べ、接触が少なかったのに、くまさんパパは何時もこうなんだよね。エマ姉も目を赤くしてるし。エマ姉こそすぐ王都で合えるじゃない。なんだかんだ言いながらも受け入れてもらえていたってことかな)

壮行会は、最後まで心配するブロンシュを宥めながらも、恙なく終わった。


名前 メグ

種族 人族

性別 女

年齢 11

レベル 140

賞罰 なし

ステータスポイント 0

スキルポイント 29

HP 114/102(+12)

MP 120/120

SP 102/102

STR 7(+2)

AGI 10

MND 10

INT 10

DEX 10

VIT 7

LUK 3

鑑定術 7 分析、鑑定隠蔽

走術 5 ダッシュ、瞬歩

探査術 7 索敵、危険察知

剣術 8 スラッシュ、魔力斬、見切り、いなし

魔力操作術 10 魔力感知、魔力分析、魔力操作、詠唱破棄、魔法創造、身体強化

魔術 8 生活魔法(+グリル)、アクティビティ、ストーン、ロック、ショット、ミディアム・ショット、ビッグ・ショット、スタン、ヒール、エリア・ヒール、シールド、ホーリー・シールド

語学 10 日本語、英語、フランス語、ドイツ語、アウローラ共通語

隠形術 5 消音、気配遮断

体術 5

投擲術 1

錬金術 7

算術 4

経験値増(大)

スキルポイント取得増(大)

魔力消費軽減(大)

魔力回復増(大)

状態異常耐性(中)

魔術具 剛力の短剣(STR+2)、大喰らいのポーチ


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