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サバイバル 2

ステータスのレベルは72に跳ね上がっていた。同時にステータスポイントが23、スキルポイントが71となっている。メッセージを見るとドラゴン(成体)×1、地竜(成体)×8、ワイバーン(成体)×1、リザードマン(成体)×18、大サソリ(成体)×2を討伐したようだ。気づかなかったけれどサソリの魔獣も倒していた。それと、HPは18/10(+20)に減っていた。

「今の爆風ね。危なかった。この体が脆いのかもしれないけど、SSS級を近くで使ってたら死んでいたわね。どちらにせよ、よく考えて使わないと」

早速に、ポイントを振って強化する。先ずは、STRからAGIまでのそれぞれのランクが5になるようにポイントを振る。どのような世界なのかわからないので、極振りはしない。残りの1ポイントはそのまま残した。ちなみにLUKには振れなかった。幸運は生まれついてのものらしい。

ポイントを振っているとHP、MP、SPが増えた。これには関係性がありSTRとAGIに振ったときはHPが、MNDとINTはMPが、DEXとVITはSPが増加した。少し首を傾げる関係もあるが、仕様として気にしないことにした。HPが上がったためか肩の痛みが消えている。ありがたい。

次にスキルは・・・グレーの文字が取得可能かな。

「戦うスキルが欲しいけれど、剣術とか槍術とかはないのね・・・取得条件を満たさないと出てこないのかな・・・あっ、これこれ孝ちゃんのおすすめ・・・って高!」

その時、再び頭上でギャーギャーと鳴く声が降ってくる。まだ距離はあるようだ、振り仰ぐと、山の七合目から山頂にかけて幾つもの竜やワイバーンが飛び立っている。今の爆発に驚いて飛び出したようだ。

「ここから出れば見つかるよね。もう一回やらないといけないかな・・・でも、ここじゃ巻き込まれる」

一気に行くしかない。

「落ち着こう。その前に、高いけどこれとこれをとっとこ・・・よし」

恵は岩陰を飛び出して、荒野に向けて全力で下り始める。体が軽い。高校時代のフォワードをやっていた頃よりも体が動く感じだ。それどころか、オリンピック選手顔負けの走り。先ほどのエクスプロージョンで出来たクレーターを迂回しながら必死に走る。背中がぞわぞわする。見つかったのか?振り向きたいが走ることに専念する。今度はSSS級だ。近いと巻き込まれるが、時間が経って山から竜たちが離れると討ち漏らしがでる。タイミングが難しい。

クレーターから一キロメートルほど離れた。

「この辺で」

振り向きざまポーチに手を当てる。今度は、直径で五十センチくらい、さっきより大きい赤黒い玉の付いたスクロールが出てきた。スクロールを開き。山頂に目を向け意識を集中・・・

「エクスプロージョン」

先ほどと同じように、スクロールが光り輝く。更に見詰めていた山頂も光に包まれる。

「やばい、やばい、なにこれ大きい・・・」

恵は、振り返り、再び全力で走り始める。必死になると、体もそれに答えて更に加速する。背中がチリチリすると思った瞬間、恵は体を投げ出し地面に伏せる。

その直後、衝撃波を伴った突風と轟音が襲ってきた。体が浮かないように、出来るだけ低くなるように、姿勢を保たせる。突風の勢いがやんだと思えば、今度は優に一メートルを超える岩が、次々と落ちてくる。辺り一面に轟音が轟く中、目をきつく瞑って頭を抱えて丸まる。小さな石が体に幾つも当たって痛い。涙目になるのがわかる。

じっとしていると、飛来物が無くなった。目をゆっくり開けると、目の前に自分の体ほどの岩があった。痛みを堪え、体を起こして後方の山を見る。山頂は粉塵に包まれてよく見えないが、その上に大きなキノコ雲が見えた。

「核爆弾?不味いことしたかも・・・」

ゴーと言う風の唸り声まだ続いているが、この辺の魔獣は一掃されたようだ。ホッとするとペタンと女座りをしたまま大きなため息が出て力が抜ける。はっとしたように再起動して“ステータス”と念じる。


名前 メグ

種族 人族

性別 女

年齢 10

レベル 140

賞罰 なし

ステータスポイント 24

スキルポイント 158

HP 32/60(+24)

MP 58/60

SP 72/60(+12)

STR 5(+2)

AGI 5(+2)

MND 5

INT 5

DEX 5

VIT 5(+2)

LUK 3

鑑定術 1

走術 1

探査術 1

経験値増(大)

スキルポイント取得増(大)

魔道具 堅牢なる胸当て(VIT+2)、俊足のサンダル(AGI+2)、剛力の短剣(STR+2)、大喰らいのポーチ

メッセージ ドラゴン(成体)×8、ドラゴン(幼体)×2、ワイバーン(成体)×12、ワイバーン(幼体)×1、地竜(成体)×4、ロック(成体)×2


(またレベルが上がった。巣があったのね、子供巻き込んでしまった・・・)

仕方なかったと思うが、後味が悪い。

(スキル増えてる。あの走りが走術なのは分かるけど、背中チリチリが探査なのかしら。でもスキルが増えるのは単純にうれしい。やっぱ、大枚叩いて取った、経験値増のおかげかな)

経験値増(大)、スキルポイント増(大)はどちらも取得に30ポイント必要だった。この二つで初めに取得した72ポイントの大部分を使ったのだが、ゲームでの孝一のやり方に倣ったのだ。

始めのエクスプロージョンの時はレベルが1から72になった。今度は68増えてレベル140。上昇状況から見てスキルポイント取得増(大)の効果は二倍。経験値増(大)の効果は不明だがそれなりに増えたはず。今回は上位種のドラゴンがかなりいて亜種も多かった。でも、初めの72のアップより少ない。レベルアップに伴う必要経験値は上がるほど大きくなっているに違いない。今後は、レベルがほとんど上がらないと見るべきだ。

「よく考えてポイント使わないと」

この世界、以前やっていたゲームと雰囲気は似ているが違うところが結構ある。

(まずは良く知るところから始めましょう)

これもやり込みが好きな孝一の教えだ。

「鑑定術を7まで上げましょう。結構強力になるはず」

鑑定術のランクを上げて、改めて近くに生えている草を鑑定して見ると情報が増え、視界を遮るほど文字が並ぶ。

「うざい。前が見えない。必要なことがどこに書いてあるは分からない。とてもじゃないけど読んでられない。使えないのと一緒だわ。要は知りたい情報が分かればそれでいいんだけど・・・うう~ん」

暫く唸っていると、突然鑑定の説明文が消えてすっきりする。今度は、意識を向けた対象のことが直接頭に浮かぶようになる。さらに知りたい内容を思いながら意識を向けると、その答えが頭に浮かぶようになった。

「これよ!」

(そうか、パソコンだとディスプレイに文章を並べないとならないけど、本来の鑑定術はこっちのほうじゃない?)

ゲームのイメージで鑑定術を使ったからか、とんだ落とし穴だ。

ステータスを見ながら疑問を思い浮かべると、次々と情報が頭に流れ込む。

スキルは、どうやら訓練による習熟が上がると、あるとき発現するようだ。だから、経験値増はアドバンテージに違いない。上級者から習ったり、真剣に打ち込んだり、さらには才能(スキルと相性の良いステータスのポイントが高い)があったほうが取得は早くなる。普通半年から一年は経験を積まないと発現しないらしい。どのステータスとの相性かは分からないがステータスポイントは一律で上げていたし、経験値増もある、なによりさっきは本当に死ぬかと思って走った。

一方、鑑定術は初めからついていた。生まれながら持っているスキルは加護という扱いになるらしい。スキルを担う女神の祝福ギフトとのことだが、ゲームのような世界に飛び込んだ恵としては、孝一の加護と思うことにした。

「ポイント振った感じからステータスは10でカンストのようね。しかし、鑑定術はやはり便利だけど、上手に使わないと情報で頭パンクしそう。それに、裏を返すと疑問に思わなければ回答がないということになるので、使い手の技量を問われる仕様か。面白いじゃない」

ステータスポイントを皆7まで上げることにする。7ならかなり高いはず。それによりHPも前回同様に上がるが、今度は完全には痛みが引かない。ダメージが大きすぎたようだ。ゲームのように一晩寝れば回復するだろうか?腕を見ると、紫色の痣ができている。多分体のあちこちに痣があるだろう。結構痛い。普通に考えれば一晩で治るとは思えない。今晩あたり熱が出そうな感じだ。ここを離れるにしても多分野宿だし、寝ていると時に魔獣が襲ってくることもあるだろう。

「よし、ヒール使おう」

一つしかないがヒールを使うことにする。

ヒールするとみるみるHPが回復し、痣も痛みもきれいになくなる。

「うわっ、ゲーム仕様」

痛みが去ると、にわかに空腹を覚えた。移動するにしても先ずは腹ごしらえ。携帯保存食を取り出す。開いてみると、クッキー、干し肉、ナッツ類、それと見たことの無い柑橘系の果物が入っている。空腹のせいか、思ったほど不味くないし食べやすい。クッキーも干し肉もしっとりしていて固くないし、果物は採れたてのように瑞々しく、あふれる甘酸っぱい果汁で喉の渇きも癒える。ボリュームもあるし完成度が高い。今の小柄な自分であれば、2食に分けても大丈夫かもしれない。

さて、ここを離れよう。とにかく人里へ行かなければ。

その前に、準備しておくことはないかステータスを改めて眺める。

(あれっ、ランクを7に上げた鑑定術の表示ちょっと変わった?なんか耳みたいなものが付いている・・・)

注意を向けるとプルダウンのように付帯するテクニックが現れた。検索、鑑定隠蔽とでた。検索はネットと同じで、目の前に対象が無くても名称やイメージからどんなものか調べられる。鑑定隠蔽は、鑑定を掛けてきた相手の鑑定術ランクが自分のランク以下の場合は偽装した結果を与えるようだ。

「ほう、こんなのもあるのね。しかし、鑑定術なら分析とか解析につながりそうだけど」

“条件を満たしていません”

(なるほど)

スキルは剣術や弓術のように一つの術の体系で、その中にテクニックがある。鑑定も術の一つとみなされているようだ。スキルは、本来なら訓練や実戦で経験値を上げるなかで、どのようなことをしたかで様々なテクニックが生まれるらしい。例えば剣術で、斬ることに専念すれば斬撃系のテクニックを身に着けるし、突きを中心に経験を積めば突きに関連するテクニックが発現する。習熟または発現条件なしにスキルポイントで上げてもテクニックは生まれないようだ。逆に条件を満たしていれば、スキルランクを上げたタイミングでテクニックの発現がある。更に、スキルやテクニック同士の相互作用で生まれるテクニックもあるという。

また、スキルには必ずそれを支えるステータスがある。ステータスが上がっていなで、スキルポイントを上げても効果は得られない。つまり、パワーの無いハードに、高度なソフトウェアを走らせても、まともに動かないのと同じだ。とりあえず、ステータスとスキルのランクを同じくらいにしておこうと恵は考えた。

他は、走術を3に探査術を5に上げる。すると、走術にはダッシュ、探査術はランク3で索敵が、ランク5で危険察知のテクニックが現れた。

「戦うスキルがないのはちょっと不安だけれど、これで準備完了。さあ行きましょう」

とりあえず荒れ地の先を目指す。恵はジョギングをするように走り出す。先ほどの全力走と異なり、長距離向けの走りである。



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