3話 初対面(タナカ目線)
タナカは予約時間の15分前には指定のマンションの近くにいた。
近くに着いたら連絡しろという事で、店に連絡をした。
部屋番号が伝えられて時間ちょうどに入室するように言われた。
毎週利用しているにも関わらず毎週似たようなやり取りをさせられる。
メンズエステのシステムは、ほんとめんどくさい。
予約の時に部屋番号まで教えてくれればいいのにといつも思うが、おそらくセキュリティーなどの都合なのだろう。
事前予約をした場合、前日の確認や1時間前の確認などトータル4回もやり取りしなければならない店もある。
メンズエステ業界はきっと客を信用していないのだろう。
タナカは予約時間ちょうどにインターフォンを鳴らした。
一般社会では5分前行動が良しとされる風潮にあるが、メンズエステでは時間ちょうどに来店するのがルールらしい。
タナカは、過去の経験やSNSなどの情報からメンエス嬢に好かれるための独自のマニュアルを持っていた。
◆◇◆タナカのメンエスマニュアル◆◇◆
◎第一条
時間ちょうどに来店すべし
◎第二条
インターフォンを鳴らした後はマスクを外し笑顔でカメラに写るべし
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
タナカは今回もメンエスマニュアル一条、二条を完璧にこなした。
インターフォンを鳴らすと返答が来た
「どうぞ〜♪」
可愛らしい声だった。
タナカの期待は高まった。
エントランスを抜けてエレベーターで指定の部屋に向かった。
ここがいつも1番ドキドキして緊張する。
エレベーターを出ると、部屋のドアを空けてヒナが待っていた。
「こんにちは〜♪」
愛想の良い可愛らしい声でヒナはあいさつをした。
「こんにちは」
タナカもあいさつを返す。
笑顔が可愛くて愛想も良さそう。年は20代前半で細身なのに胸は大きい。
顔は誰もが美人だと認めるような王道の美女といった所。
タナカの第一印象も心の中でガッツポーズしたいくらいの美女だった。
部屋の奥に通されて施術部屋のイスに案内された。
ここまででコース時間の5分程費やす。
メンズエステでは基本的に予約時間からタイマーがスタートする。
つまりインターフォンを鳴らしてから部屋に入るまでの5分は捨て時間だと思った方がよい。
タナカはこの5分を『サイレント時短』と呼んでいた。
これもメンエス特有のシステムなのだろう。
タナカはメンエスのシステムは、客に不利な内容が多過ぎると感じていた。
こんなモヤモヤを抱えつつも、メンエスのプロであるタナカは、どんな逆境でもメンズエステを楽しむ極意を知っていた。
そしてどんなに客に不利な条件でも、メンズエステを辞める事が出来なかった。
「初めまして!ヒナです。本日はよろしくお願いしまーす♪」
「よろしくお願いします」
「今日は90分コースで良かったでしょうか?」
「はい」
「オプションはどうされますか?」
オプション表を見せられてタナカは考えるフリをした。
いつもと同じオプションを選ぶつもりだったので、すでにオプション内容は決まっていた。
「んーと、衣装チェンジと極液とディープリンパをお願いします」
「かしこまりました。ありがとうございます♪」
◆◇◆タナカのメンエスマニュアル◆◇◆
◎第三条
初対面は90分コースにすべし
◎第四条
オプションは出来るだけ追加するべし
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここでもタナカは忠実に自らのマニュアルを貫いた。
正直ヒナはタナカのタイプでコースを長くしたい気持ちがあったが、長すぎるコースは警戒される恐れがあるので程よい時間にしておいた。
オプションは基本セラピストに全部バックされるので、喜ばれるという情報も持っていた。
会計を終えて、衣装を選ぶ事になった。
「衣装はどれにしますか?」
いくつか見せられてタナカは最も高額なマイクロビキニを選択した。
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