10話 入れ替わり
「ハッハッハッ、俺は早いから1分あれば発射できるんだよ」
「は?そんな事したらお前の人生終わるよ?
もうすぐ店の人が来るって言ってるだろ」
タナカはヒナの忠告を無視した。
そして無理矢理キスをしたり、胸を揉んだりした。
「浴室だから立ちバックしかできないな。
おい、尻を突き出せよ」
ヒナは泣きながら必死に抵抗した。
「やめてって」
ヒナが抵抗するのでタナカも必死に腰を掴んで体位を変えようとした。
そして2人に悲劇が起こる……
『ツルッ』
浴室の床がヌメッていたのだろう。
2人は同時に滑って転倒した。
そして、同時に頭を打って気絶してしまったのである…………
…………5分後…………
「ンッ」
タナカが目を覚ますと目の前には衝撃の光景が待ち受けていた。
浴室で倒れている全裸姿の自分がいたのだ。
「えっ、なんで!?」(高い声)
思わず声に出してしまった。
それもそうだ、目の前に自分が居たら驚くに決まっている。
しかも全裸で倒れている。
決して鏡ではない。
間違いなく俺が目の前にいたのだ。
一瞬頭の中が真っ白になったが、すぐに冷静になって浴室の中を見渡してみると、そこにはさらに衝撃の事実があった。
「うわぁー」(女の声)
タナカは鏡に映った自分の姿を見て、とっさに鏡から離れた。
そこに映っていたのは全身裸のメンエス嬢『ヒナ』だったのだ。
……
一瞬フリーズしたが、しばらくして理解できた。
俺がヒナになっているのだと。
「ピンポーーン、ピンポーーン」
「ドンドンドンドン、ドンドンドンドン」
衝撃の出来事のあまり、気にしていなかったが、ずっと部屋の呼び出し音と、ドアを叩く音が鳴っていたようだ。
きっと店のスタッフなのだろう……
第1章 入れ替わり前 《完》
【予告】
次回から第2章『入れ替わり後』に入ります。
最悪の出会いで始まった2人の関係。
2人はこの緊急事態を乗り切る為に仕方なく協力していく。
そして協力していくうちに、少しずつ心の距離も近づいていく。
閲覧ありがとうございます。
Twitterフォローもよろしくお願い致します。
@ino_shousetuka