9話 入れ替わり1分前
全裸で無抵抗のヒナのお腹に、全裸で跨るタナカ。
荒々しい力強い手付きも、ヒナが脱力するのと同時に、優しくいやらしい触り方になっていた。
ヒナは泣いていて、一切タナカの方を見ようとはしなかった。
泣いたヒナも美人で可愛い。
タナカはお腹に跨るのをやめて、正常な体位で挿入しようとする。
男が最も期待して、最も油断する瞬間とも言えるだろう。
ヒナはその瞬間を見計らって、タナカの股間を全力で蹴った。
「ンアッ、イッテェ……」
タナカはその場でうずくまった。
その隙を見て、ヒナは転がっていた自分のスマホから、店の人に電話を掛けた。
10秒くらい待ったが電話番は出なかった。
すると電話を掛けているヒナに、気づいたタナカが言った。
「おい、止めろ。殺すぞ」
うずくまっていたタナカが起き上がったので、ヒナは急いで浴室へ逃げた。
そして、浴室に入り鍵を閉めようとした。
バァーーン
扉を閉めようとするとタナカの手が挟まった。
「い、痛いじゃないか……」
そして、浴室の扉を開けた。
「ハッハッハッ、自分から逃げ道を塞ぐなんて、お前はバカか?」
イカれた目のタナカが、やばい笑い方をしながらヒナに近づいてきた。
ヒナは怯えながらこう言った。
「電話は繋がらなかったけど、LINEでメッセージ送ったからすぐに店の人来るから!」
「テメェ、余計な事をしやがって……」
「もういいや……最後に1発やらせろ」
そう言いながら、またしても無理矢理ヒナの手首を掴んだ。
「ハッハッハッ、俺は早いから1分あれば発射できるんだよ」
そう気持ち悪い笑みを見せながらタナカは言うのだった。
浴室で全裸のタナカと全裸のヒナ。
この時、入れ替わりからちょうど1分前になろうとしていた……
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