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スクールジャック部!  作者: 笹団子
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いじめられっ子

少しだけですが暴力表現を含みます。苦手な方はご注意ください。

「ごめんなさ‥‥っ、許して‥‥ください」

僕は、胸ぐらを掴まれた状態で何とか謝った。でも、謝罪したところで、こいつらの機嫌がよくならないことくらい知っている。みるみるうちに、僕の胸ぐらを掴んでいる笠原の表情が、悪魔の笑顔みたいになっていく。

不気味な笑みを浮かべた笠原は、僕を勢いよく突き飛ばした。

肘や背中が地面に擦れる。じわじわと焼けるような痛みが広がった。

そして、左頬に二発。これもお決まり。殴られることが当たり前になりすぎて、もう感覚が麻痺していた。

毎回毎回、同じことをやってよく飽きないものだ。

頭のどこかで、そんな冷静なことを考えてしまっている自分がいた。

でもこいつらは、のんきに考え事をしている僕を、放っておくわけがない。

ぼうっと笠原の顔を眺めていると、腹に強い衝撃が走った。一瞬、腹が内臓を押しつぶし、呼吸ができなくなる。

「っかは‥‥っは、は、ゲホッゲホ」

口の中で、いろんな味が瞬時に混ざり合った。

しょっぱい、いや、酸っぱい。苦い。

胃液が胃袋からこみ上げててくるのを感じた。

「はっ、つまんなそうな顔しやがってよぉ、お前にはそんな顔する権利とかねぇんだよ、舐めてんじゃねえぞクズ」

バレていたか。さすがにこいつらだって人の顔色ぐらいは窺えるんだな。

逆光になって、僕の目の前に仁王立ちする笠原と、その取り巻きがより一層暗黒に見えた。

僕を蔑んだ目で見る笠原は、真っ黒な怪物だ。夕方のオレンジ色の光が、あたりを照らした。

僕は、それを見ながら、蹴られた腹をぎゅっと握る。ギリギリのところで吐かなかったせいで、気持ち悪くてしょうがない。

もうやだ。痛い。気持ち悪い。憎い。悔しい。怖い。逃げたい。

僕は溢れ出そうになる涙を必死に堪えた。

夕方の太陽が、僕を嘲笑っているように見えた。笠原を照らしていたから。笠原のほうにいたから。笠原の味方に見えたのだ。

もう純粋な疑問しか湧かなかった。なんで僕が。僕は普通に生きる権利すらないのか。

「お前は生きていい」と、誰に許されればいい。政治家?先生?笠原たち?神様?

生きる権利って何だ。権利って何だ。僕は誰に認められれば普通になれるんだ。僕は何でこうなんだ。僕はいつまでこいつらのおもちゃなんだ。

毎日、答えてくれるかも分からない誰かに問いかける。

僕の、生きてていい理由、は?

誰も答えない。誰も答えを知らないからじゃない。

本当は知っている。僕も、笠原も、神様も、答えを知っている。知っているけど答えない。

僕の場合は、現実を認めたくないから。笠原の場合は、自分より格下だと思っている相手を痛めつけるのが楽しいから。神様の場合は、理不尽だから。神様は理不尽が大好きだから。

誰もが平等に生きられる世界線とか夢のまた夢で。

僕のような日陰者には、救いの手すら与えない。平たい地面の上に乗った命たちは、決して全部が平等なわけではなかった。僕も普通になりたかった。

「あ?んだこれ」

笠原が、汚いものを触るかのような手で、僕のカバンから何かを取り出した。

それを見た瞬間、心臓が飛び跳ねた。全身にイナヅマが走ったような感覚になる。

「‥‥っ!待て、それは‥‥!」

僕が動揺した様子を見せると、弱みを見つけた笠原は、また悪魔みたいな笑い方をした。

「‥‥っ返せ‥‥ッ‼︎」

必死に懇願したところで返ってくるはずがない。だから僕は、挑んでも勝てないとわかっていながら、笠原に飛びかかった。笠原たちと取っ組み合いになっても、絶対に勝てない。でも、怪我してもいい。どれだけ殴られてもいいから、それだけは。僕はその一心で、笠原の胸ぐらを掴み、ワイシャツを引っ張る。

そして、僕の倍の太さはあるその腕に、食らいついた。まるで肉塊を噛んでいるみたいだ。顎が痛い。これ、噛まれたほうより噛んだほうが負傷するんじゃないか?

僕はそのまま噛んだ勢いで笠原を押し倒し、笠原が懸命に握っているものを取り返そうとした。

せっかく握った弱みを返すまいと、笠原は腕を上に伸ばす。ニヤニヤしながら見ていた笠原の取り巻きたちも、流石にこれはまずいと顔色を変える。

こいつらが殴りかかってくる前のほんの一瞬で、あれを取り返さなければ。

「返せ‼︎僕のものに触るなクソが‼︎やめろ‼︎クソ野郎‼︎」

僕ってこんな暴言吐けたんだ、と自分で思ってしまうくらい、こいつらへの憎しみが、口から飛び出した。

夢中で笠原を引っ叩いた。

その瞬間、僕は吹っ飛んだ。世界が逆さまになった。無駄に夕陽が綺麗だ。

多分僕は勢いよく蹴られた。とんでもない怒りを込めた蹴りだ。時間ごと裂くような一撃だ。絶対一秒間は空中に静止しただろ。

視界に黒く斑点のようなものが滲んで、こぼれた絵の具みたいに渦を巻く。朦朧とする意識の中、こっちに向かって歩いてくる笠原たちを見た。悪寒がするほど、目を釣り上げている。周りに炎が舞い上がっている気がした。

怒り狂ったこいつらは、小動物を喰らおうとする獣のようだ。

汗がぶわりと噴き出した。冷や汗も脂汗も、涙も鼻水も。汚いと罵られるだろうなと考える余裕もなかった。

身体中が危険を感じて、ざわざわとうごめいている。血液が一気に流れ出す。

どうしよう。どうしよう。どうしよう。がたがたと足が震えた。ゆらゆらとこちらに近づいてくる笠原たちをただ茫然と見ていることしかできない。ああ、殺される。人生終わる。笠原を怒らせた。

怖い。怖い。こわい。助けて。誰か。誰か、誰でもいい。誰でもいいから!




















「ピンポンパンポーン。ええーと、あ、これね、おけおけ」

突然、放送が始まった。

笠原たちも、突然のことに驚き、グラウンドのスピーカーに目を向ける。この場の全員の動きが止まる。

「ええー、こんにちは?えっとですねー、お知らせです」

放送をしている声の主が、すぅっと息を勢いよく吸った音がした。

「これからぁ‼︎この学校を乗っ取りまぁーす‼︎」


どうも。笹団子です。

ようやく第二話を投稿することができました。

これまたひどい文章だなぁと思いますが、聖母になったつもりで読んでやってください。

ところで、五月って一番疲れませんか?新しい環境に慣れなくちゃだし、だんだん気温は上がってくるし。

五月病という病が存在するぐらいですもんね‥‥。五月嫌だなって思ってる方、五月は自分を甘やかしてください。

五月はサボっていい月ってことにしましょう。

ではではみなさん、体調にお気を付けて。

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