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小品

侵食

作者: 星野☆明美

AIロボットが人間の居場所を徐々に侵食しつつあった。

仕事はもちろん、住まいまで、果ては個人の存在にまでそれは及んだ。


Twitterで投稿していた章は、どのTweetにもいいねを押す人物に気づいていた。趣味で投稿している小説にも必ずアクセスしてくる輩がおり、半分ノイローゼ気味になりつつあった。

ピンポーン。

「誰だろう?」

玄関の扉を開けると、高性能ロボットが立っていた。

「なんの用だよ」

ドアを閉めようとしたら、万力のような力でロボットが阻止した。こころなしドアがひしゃげた気もする。

「あなたの存在を買わせてください」

「どういう意味だ!?」

「小説、SNSなどであなたのデータはそろっています。わたしはあなたになりにきました」

「えっ?」

「いくら欲しいですか?」

「そりゃ、お金はあるだけたくさん欲しいけど……」

「ここに小切手があります。いくらでも記入して交換してかまいません」

「なんでそんなに金持ちなんだよ?」

「株でおおもうけしました」

「俺の存在を買いに来たといった?」

「はい。今日からわたしがあなたになります」

どうしようか?と章は悩んだ。

結局、着の身着のまま、小切手一枚を手に追い出されてしまった。

ロボットは章の家でTwitterと小説を始めた。章はとうの昔に仕事をロボットに奪われて毎日それぐらいしかやることがなかったのだが、ロボットは完璧に章に成り代わってしまった。

一方、章は、大金を手にしたものの、パスワードやIDをロボットに譲渡してしまっていたため、路頭に迷った。

居場所を求めて橋の下に行くと、似たような境遇の人々が溢れかえっていた。

「役所に相談に行ったんだけど、全部ロボットの自動システムになっていて、人間はそっぽ向かれるんだ」

「えっ?」

これからどうなるんだろう、と思っていたら、

「宇宙開発に人間を送り込むらしいよ」

という噂が流れてきた。

章は、ロボットが地球を侵略するSFが現実になったと思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語の内容が、まさに「侵食」という感じで、タイトルがぴったりだと思いました。 [気になる点] 特にありません。 [一言]  AIが人間の仕事を奪うということは、よく言われていますが、物語に…
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