第9死 ~I wanna 罠!~
武器屋でのバイトで死んでしまったヒデオ。
しかも、武器とか当たり前の方法じゃ意味ない!
もっとこの世界の人が思いつかない新しいことをしろ!!
と言われてしまったのだった。
王様にああ言われてしまった以上もう武器を求めるのはやめなければ・・・。
確かに、この世界の常識的な倒し方で倒したところで、
この世界の何の役にも立たないもんなぁ。
この世界にはないけど、前の世界にはあったような方法を考えればいいんだ…。
前の世界で戦と言ったら銃火器だよなぁ。
鉄砲はこの世界にはないかも。
作れれば大きな力になるけど・・・・
わからない・・・・。そういうものがあったと伝えることはできても、作ることなんて・・。
意外と使えない知識ばっかりだな。
ランプのようなものはあるけど、電気はないみたい。
でも、電気を作るなんてできない。。
エジソンはフィラメントを日本の竹から作ったんだっけね。
この世界にも竹はあるみたいだけど・・・。
・・・・竹があったとしてもできる気がしない!
結構難しいね・・・・。
どうしたらいいんだろう。。。
とりあえず、今までの戦いを振り返ってみるか・・・・。
何かヒントになるようなことがあるんじゃないかな。。
遠距離攻撃は、結局武器を使ってるようなものだから却下で・・・
仲間にするのも無理だし・・・・
袋につめて水に入れたんだよなぁ。
そしたら巨大化しちゃったと。
あれ・・・・そういえば・・・
そのあと、スライムは身体の水分がどんどん抜けて小さく元通りになったって言ってたよなぁ。
ってことはさらに水分が抜けたらスライムを倒すことができる・・・・かも?
水に入れたけど逆に太陽に当て続けるとか、
フライパンみたいなものに入れるとか・・・。
いけそうな気がしてきたぞ!
でも、フライパンの上にのせてもすぐに逃げるだろうし・・・・。
何より、こっちは一発でも攻撃を食らったら死んじゃうからなぁ・・・。
攻撃を受けずにスライムの水分をとばす。
そんな方法を考えなきゃいけないな。
方向としてはあっている気がする・・・。
どんな時に水分が抜けるか・・・。
塩!?
ナメクジのように!
いいかもしれない!!
神父さんに聞いてみよう!!
・・・・・とその前に武器屋に行ってムーアさんに言わないとなぁ・・・。
さすがに気まずい・・・。
雇って二日目の人がいきなり死んだら・・・。
自分が雇い主だったら相当気まずい。。。
しかし、ムーアさんは悪くないからな。
監督責任なんて感じなくていい・・。
よし。俺の方からしっかり行った方がいいな・・・。
そして、アルバイトもやめよう。
ってかそんなこと言わなくても首かな。ははは・・・。
武器屋をノックしてみる。
コンコンコン・・・「ヒデオです・・」
「お!?ヒデオ!?!?!?」
ムーアさんは急いで外に出てきた。
「おまえ・・・・・大丈夫なのか?
「はい。実はよく死ぬんですが・・・。王様が生き返らせてくれるのです。」
「噂の異世界から来た人ってのはお前のことだったんだな。」
「噂になっているのですね・・・。」
「ああ。神父がお前を殺したのを見ていた人が多かったようだ。
確かに言われてみればお前の特徴と同じだわ。」
「そうなんです。すぐに死んでしまうようで・・・。
今回もご迷惑をおかけしました。」
「ああ・・・まぁそれはいいんだ。死んだままだったらさすがに心苦しかったけどな。」
「本当にすみませんでした。
そして、働かせてもらってありがとうございました。」
「そうか・・・・。確かに危なっかしくて働くのは厳しいものがあるな。」
「ですよね・・・。」
「たった二日だったけどよ、よく働いてくれたよ!ありがとな!」
「いえ!こちらこそ!」
「これは餞別がわりにお前にやるよ!」
そう言ってムーアは銅のつるぎをヒデオに渡した。
「え!?」
「とっとけよ!これを目標にしてたんだろ?」
「え!?なんでわかったんですか!?!?超能力!?」
「何言ってんだよ!お前は何回もチラチラ見てたじゃねぇか。
きっと欲しいんだろうなって誰でもわかるぜ。」
そんなに物欲しそうな目で見ていたのか・・・。
ちょっと恥ずかしい気もするが、
それ以上にムーアさんの優しさに驚いた。
髭面だし強面だし、給料めっちゃ安かったし。
でも、神父さんもそんなに悪い人じゃないって言ってたしな。
「ありがとうございます!!ありがたくいただきます!!!」
「おう!がんばれよ!」
ヒデオは銅のつるぎを手に入れた!!
ムーアさんめっちゃいい人じゃん!
いや~嬉しい!
これでスライム退治行こうかな!
いや・・・王様はそんな普通に倒すなって言ってたからな。。
やめとくか・・・。
でも、武器を持っているのといないのとじゃ気持ちが違うね!
よかったよかった!
アルバイト作戦も無駄じゃなかったな~
よし、神父さんに報告しよう!
そうして教会に向かった。
「神父さん!見て下さい!銅のつるぎを手に入れました!」
「え!?どうしたのですか!?まさか・・・・。」
「え!?まさかって!?」
「悪いことをする人は教会には入れませんよ・・・!?」
「いやいやいやいやいやいや!盗んだとかじゃなありませんよ!!」
「え!?」
「ムーアさんがくれたのです!」
「あ・・・!!そうなんですね!!すいません・・・疑ってしまって。。
私は全く修行が足りないようです・・・・。」
「いえいえ。たしかにどうやって手に入れたかわかりませんものね・・・。
特に私みたいに最弱は・・・。」
「すみません・・・。そんなつもりではなかったのですが・・・。」
「まぁ、誤解も解けたのならいいです。
ところで、次の作戦なのですが・・・・。」
「あ・・はい。」
「塩を使ってスライムの体から水分を出してしまおうと思っているのですが。」
「塩ですか・・・」
「ええ。塩をいただくことはできますか?」
「うーん・・・。申し訳ないですが、塩は意外と必需品で値段も高いのです・・・。」
「そうなんですか!?意外です・・・。」
「すみません。協力したいのはやまやまなのですが。。」
「わかりました・・・。じゃあまた何か別の方法を考えます。」
「本当にすみません。お役に立てず・・・。」
そう言って神父さんを別れて考える。
何かいい方法はないだろうか?
この銅のつるぎで普通に倒しに行くか?
いや・・・それじゃ王様は満足しないって結論になったはず。
水分をなくすって方向で考えると・・・・
そうだ!砂をかけるってのはどうだろう?
水の中に入れるって発想をしたこともあったけど、
砂の中とかにいれれば砂がスライムの水分を吸ってくれるんじゃないか?
砂の上をスライム動いたりしてるけど、重さがないから水が抜けないだけで、
かなり重さをかければ・・・・。
つまり、穴を掘ってスライムが出てこられないようにして、
そこに砂を大量に入れて上を塞ぎそして上から踏みまくる!
これはいいんじゃないか!?
砂で生き埋めとかになることもあるし。
さらに砂が水分を吸い取りそうだし。
これはいける!!
落とし穴&生き埋め作戦だ!!
I wanna 罠!!
罠にはめてやるぜ!!!!
銅のつるぎをシャベルがわりにすればいい感じで掘れそうだし!
よしよし!
そうと決まれば善は急げ!
行ってこよう!
「神父さん!決まりました!行ってきます!!」
「あ・・・わかりました。
いい結果が出るといいですね~」
神父さんの声が遠くなる。それほど素早く出てきたようだ。
今回こそはいける!!!そんな気がしてはやる気持ちを抑えられなかった。
神父さんに相談するまでもなく、いける確信があったのだ。
まずは砂を集めないとな・・・・・。
湖の近くは砂地があったな。あそこで大量に集めよう。
袋もあるし。
よしよし・・・。ここまでは順調だ。
大量に集めないとな。。
穴を埋められるぐらいだから・・・。
とりあえず、集めた砂はここに置いといて・・・
次は穴掘りだ!!!
銅のつるぎをうまく使って・・・。
うーん・・。この砂地では掘ってもすぐに横から砂が落ちてきていまいちうまくいかないな。
草地に移動してほることにした。
草地なら穴を最後に草で隠せばよさそうだし。
ザクッザクッ・・・。
もくもくと掘る。
ザクザクザク・・・。
まだ50cmぐらいか・・・。
疲れたがしょうがない・・・。
まさか、熱中症みたいなもので死ぬとかないだろうな・・・。
病気系って扱いで生き返れなかったら最悪だな。
まぁ、休み休みやろう。
ザクザクザクザクザクザクザクザクザク・・・。
ザックザックザック。
掘った土を上に出すのが大変だな・・・。
2時間ぐらいは掘っただろうか。
これはいい感じだ!2mから2m50cmぐらいあるかな。
うまく足場を作りながら掘ることができた。
スライムが落ちた瞬間に砂で埋め尽くせば上がってこれないだろう。
それに上から落ちただけでもかなりの衝撃だと思う!
よし。
仕上げとして上には折れそうなぼうをうまく何本か端から端に刺して・・・
上に草を乗せて…と。
スライムはあんまり知能は高くなさそうだからこれでダイジョブそう!!
砂はまだまだ大量にいるなぁ。
袋をたくさん持ってきてよかった。
よし!砂をここに持って来よう!
今度は砂を何度も何度も運ぶ作業をした。
10リットルぐらいの袋何袋だろう?
20袋ぐらいあるかも。もっとかな?
今日は力仕事ばっかりだな。
かなり疲れたな‥‥。
でも、今回の作戦にはかなりの手ごたえがある。
もう少しだ!!
やってやるぜ!!!!
そうして準備は万端整った!!!
あとはスライムをこっちにおびき寄せるだけだ!
スライムちゃ~んどこにいるの~
お!いたいた!
あの位置からだとちょっと遠くて追いつかれたりしたら死にそうだから石でも投げて誘導しよう・・。
遠距離攻撃作戦が少しだけ活かされるな。
よーしよし・・・。
いい感じで近づいてきてるぞ!
こっちだ~!こいこいこいこい!
もうすぐだ・・・もうすぐ落ちるぞ・・・。
ひひひ・・・
罠に入るのを待ち構えている顔はいやらしい顔になるな。
自分が悪そうな顔をしてそうだ。
まぁいい。もうすぐもうすぐ・・・・・。
スライムはあと50cmで罠の上といったところ。
すぐに砂をかけられるように近寄っておいた方がいいな。
ドキドキドキドキ・・・・。
あと30cm・・・
はぁはぁはぁ・・・怪しい吐息が出てしまっている・・。
あと20cm・・・・・
ゴクリ。
あと10cm・・・!
バシ!頬を叩いて気合を入れる!
もうすぐだ!!
そしてスライムが罠の上にきた!!
よっしっ~~~!!!!
・・・・・・・・・・・
あれ!??!?!?
なんとスライムが落ちない!!そのままこちらに進んでくる・・・!!
軽かったのか!?
逃げねば!!!!
砂を置いて逃げる!!
しかしどんどんスライムは追いかけてくる。
嫌な予感しかしない・・・・。
今日の力仕事で相当疲れてるってのに・・・!
くっそ~
とにかくいろんな方向に逃げてみたが、つかず離れずついてくる。
スライムの様子をチラチラ確認しながらいろんな方向へ走って逃げていたが、
・・・突然バキッ!!!!
そして垂直落下!
やば・・・!!これはまさかの自分の罠にはまったってやつか~!!!
ぐは!!
いってえ・・・・・
上を見ているとスライムが落ちてきた。
これは・・・詰んだか。。。。
逃げられぬ・・・。
そう悟ってあとは死を待つばかり・・・。
すぐにスライムは強烈な体当たりをヒデオにくらわせた。
遠ざかる意識。
上を見上げて遠ざかる雲が見えたな…と思った瞬間には意識を失っていた。
今回こそは自信はあったのに自分の罠に落ちてしまいました。
穴を掘ったり、砂を大量に運んだりしていて、
相当疲れていたから逃げている方向感覚もなくなってしまったし、
スライムの様子も見ながらなので、落ちることもまぁあるかなという感じですね。