第6死 ~原点回帰!~
巨大化してしまったスライム。
このまま町に行ってしまっては壊滅してしまう!?
さぁどうなる!?
「ヒデオ!また死んでしまったようだな・・!」
ん・・・・・・?っは!!!
また生き返ることができたみたいだ。
巨大化したスライムのことを伝えなければ・・・・・!!
「王様!すぐに守りを固めてください!!!」
「ん?どうしたのだ?」
「今回もスライムにやられたのですが、巨大化したのです!」
「ん?」
「スライムが巨大化しました。もしかしたらこの町も危ないのではと…。」
「はっはっは!!!大丈夫じゃ!」
「え!?それはどういう・・・。」
「お主が死んだことが分かったので、念のためそこに兵士を派遣してみたのだ。」
「巨大化したスライムも兵士さんにはかなわなかったのですね。よかった・・・。」
「いや、違うのだ。続きは兵士に聞くがよい。
おい。話したまへ・・・。」
「はっ!」
「お主が死んだとわかり、すぐに向かったのだ。
しかし、巨大化したスライムなどはいなかった。
ただ、湖からスライムまで地面が泥になっていたり水の跡があったのだ。」
「え・・・ということは・・・!?」
「さぁな。俺が見たのはそういうことだ。大きいスライムはいなかったのだ。」
「ということは、巨大化したスライムは・・・・・・・。。
水の跡があったってことは・・・
体の中の水分をためておくことができずに、
動きながら水分を出し、どんどん小さくなっていった・・・ということですかね・・。」
「多分そうじゃろう。ある程度の大きさになれば自分の重さで水分が出なくなるのじゃろう。」
「そうだったのですね。。ひとまずよかった。。。」
一息ついたところで王様は優しく語りかけた。
「ヒデオ。スライムが水を吸うと巨大化するということも今まで誰も知らなかったことじゃ。
そう言えば雨の日は多少大きいスライムがいるとは思っていたが。
まぁ、雨ぐらいだとある程度までしか吸収できずあまり大きくなっていなかったのじゃろうな。
今後にも期待しておる。」
王様が暖かい言葉をかけてくれた。
やはり認めてくださっているのだろう。
まぁ、何度も生き返らしてもらえるのもそのためかな。
何とか役に立てるようにしなければな。
「ありがとうございます。少しでも役に立てたのなら嬉しいです。」
そういって城を出た。
冷静さを装っていたが、心はうきうきである。
王様というのはやはり不思議な威厳があるものだ。
前の世界で言えば社長って感じだな。
社長はなんか知らんけど威厳がある。
まぁ、俺に声をかけてくれることはほとんどなかったけどね・・・・。
神父さんのところに着き、一連の流れを話した。
「そうだったのですか・・・!確かにスライムが巨大化するなんて思ってもみなかった・・・。」
「そうなのですね。何かにこれがいかせるといいのですが・・・・。」
「思いつきませんね・・・・。」
「そうだ!捕獲したスライムを城壁にはりつけたりしておいて、
水をかけて城壁の防御力を高めるというのは!?」
「まぁ、いいかもしれないですが、あまり城まで敵が来ることはないんですよね・・・。」
「そうですか・・・。まぁ何か考えておきます・・・。」
寝床についてこれからどうするかを考える。
とりあえず、巨大化を活かす方法はもう考えるのはやめておこう。
城壁にはりつけておくっていうのもなんか、モンスターいじめみたいでいやだしな。
さらしものにしてるみたいでまともじゃないって感じがする。
例えモンスターでもそういうことはしない方がいいな。
さて、スライムを倒すにはどうするか・・・。
困ったときは原点回帰。
初心忘るべからず。
まだ初心を忘れるほど時間たってるわけじゃないけどね。
最初に武器屋に行って武器を買おうとしたんだよなぁ。
お金がないから武器は買えなかったけど・・・
無料でくれる・・・わけないよなぁ。
神父さんにお金をもらう・・・・これもよくないな。
うーん・・・・
そうだ!!!
武器がないなら自分で作ればいいんじゃないか?
世の中で一番最初に作られた簡単な武器は・・・。
手斧?石を木にくくりつけたものかな。
縄文時代とかナウマンゾウを狩ってたみたいな。
石を磨いて尖らせて棒の先につけて槍にするのもいいかもしれない。
スライムの形状を考えると、斧みたいなものを作って、
その武器の重さも利用しながらびちゃっと叩き潰すのがいいかも。
やりで突っついても一部にしかダメージ当たらなそうだし、
突き刺すには力もいるだろうし。
振り下ろすなら重力とかも使って強い一撃ができそう!
よし!
明日は斧づくりだ!
・・・・次の日。
「神父さん。今回の作戦は・・・・・原点回帰!
自分で武器を作ってスライムを倒すという作戦で行こうと思います!!」
「なるほど・・・。すみません。お金など渡すことができずに・・・。」
「いいんです。自分で何とかしなければならないと思うので・・・。」
「何を作るんですか?」
「石を木にしっかりと結び付けて斧を作ろうと思います。」
「わかりました。この丈夫な紐は使ってくださいね。」
神父さんから紐を受け取り、ちょうどいい大きさの石を探しに町の外へ出た。
うーん・・・・。手ごろな大きさはなかなかないなぁ・・・。
大きめにしたいからなぁ。。
これは小さすぎる・・・これも・・・。
これは大きすぎるな・・・。
ホントに手ごろな石がない!
小さすぎるか大きすぎるか。
でも、大きいなら砕いてちょうどいい大きさにすればいいか。
ないなら作ればいい!の精神だな。
そんなことを思いながら結構重そうな石を手に取った。
どうやって割ろうかな。
とりあえず思いっきり下に叩きつけてみて・・・・
それで割れたものでうまく使えるものができることに期待するか。
あんまりいい方法じゃないけど。。
しょうがない!
そういって大きな石を持ち上げた!
う・・・重い!このままでは武器にならんなぁ。
投石もこれではできないし。
よし・・・!これを叩きつけて・・・!!!
思いっきり下に振り落とそうとしたその時・・・・、
「あ!!!!?????」
手が滑ってしまった!!!
頭に重い石がヒット!!!!
意識が遠くなる・・・。
やっちまった・・・。
アホだ・・・・。
遠くなる意識の中で、あまりの自分のアホさ加減にいらつくのだった・・・。
・・・・・・
「おい!ヒデオ!」
ちょっと怒り気味の王様の声でまた目が覚めた。
「はい・・・」
「少し笑えたが、これではさすがに成果がないぞ!」
「私がどのように死んだかわかるのですか・・・?」
「お前を生き返らせるときに、ある程度断片的にはなるがお前の記憶を見ることができるのじゃ。」
「そうだったのですね・・・。なるほど・・・。面目ないです・・・。」
「まぁいい。さぁいくがよい。」
さすがに王様にもあきれられてしまったか・・・。
自分自身でもあきれちゃうからな・・・。
せっかく評価が高まってきたような気がしてたのに、こんなんじゃ話にならないなぁ・・・。
残念・・・。
そしてとぼとぼと教会に向かうのであった。
本当に死にやすい・・・。
こんな調子でスライムを倒せる日は来るのでしょうか!?
ただ、やはり素手でずっと戦うというのも難しい話だから、
やっぱり武器は必要ですかねぇ・・・・。