第3死 ~神父さんと相談~
スライムに二度も殺され意気消沈・・・。
今後の身の振り方について神父さんに相談しなければ。。
教会についたヒデオ。
神父さんに相談する。
「あの・・リストさん。こんばんは。またやられてしまいました・・・。。」
神父リストはいつもの穏やかな顔で迎えてくれた。
「大変でしたね・・・。王様から話は聞いています。
しばらくここで寝泊まりなどして下さいね。
まずは、食事を用意します。」
「ありがとうございます。
でも、こんなどうしようもない俺にどうして優しくしてくれるのですか?」
笑みを絶やさず神父は答えた。
「王様から言われましたから。実は、王様は誰にでも優しいわけではないのですよ。
何度も何度も生き返らせるというのもあまりないことなんです。
王様は≪何か≫をあなたに感じたのだと思います。」
「こんなどうしょうもない俺にも何かが!?・・・・
逆に考えるとやっぱりお前はどうしようもないって思われたら生き返れないのか・・・!?」
「王様は約束を守るお方です。それはないと思いますよ。多分・・。」
そう言って神父は微笑んだ。
「いや!!!多分じゃ困る!!!!当たり前だけど死なないようにしなきゃなぁ・・・。」
ヒデオはぞっとしたが、すぐに切り替えた。
結局やるしかないし、やらなきゃいけないんだろう。
王様に生かされているとも言えるから、やっぱり旅立って何かしらの成果をあげないと・・・。
王様が飽きて、生き返らせるのや~めた!ってなったら最悪だし・・・・。
何かしらの成果ってなんだろうなぁ・・・。
今のところ、スライムは殴る系が効かないってことぐらいか・・・?
効かないのか、俺が弱すぎるのかまだまだはかりきれないけど、
石を投げたのはちょっと効いてるように見えたし。
剣とかで切ればよさそうだな…。
剣ないけど・・・。そして買えないけど。。
そんなことを考えていると、食事ができたようだ。
「この教会も粗末なものしかありませんが・・・。」
出されたものはパンとスープ。
確かに、粗末!でも、もらえるだけありがたい!!!
「いただきます!」
もふもふ・・・。
パンはフランスパンみたいに少し固め。
スープはポトフのウィンナー抜きのようなコンソメみたいな味だ。
前の世界と同じような味付け。
一安心だ・・・。
虫の佃煮みたいなのでてきたらどうしようかと思ったけど・・・・。
虫でも食べるけどね・・・・。
「おいしいです。本当にありがとうございます。」
食後にこれからのことを考えていると、
神父の方から話しかけてきた。
「これからどうしますか・・・?」
「とりあえず、スライムを倒したいんです!!」
勢い込んで言ってしまった。
スライムも倒せないの!?って思われたかな・・・・・!?
神父の方を見ると、目が真ん丸に開いて驚いている。
「え!?スライム…ですか。。あのスライムですよね・・・・」
俺は一応聞いてみた。
「神父さんはスライムを倒せますか?」
「私は神父なので、積極的に戦ったりしませんが・・・・
以前襲われている人を助けようと戦った時は、
確か1撃で倒しました。」
「え~~~~!!!」
やっぱり俺は弱い弱い弱い!!!!
神父さんも見た目には全然強そうに見えないのだけど・・・。
1撃か・・・・。
俺より弱そうとは思わないけど、力はなさそうなのになぁ・・・。
そうだ・・・!ちょっと試してみよう・・・。
「すみません神父さん。相撲をしてもらえませんか?」
「スモウ?それは何ですか?」
この世界には相撲はないようだ。
「地面に〇を書いてそこから出たり、足以外が地面についたら負けになるという
力比べのようなものです。
私は自分がどのぐらいの力なのかを知りたいので・・・・・。」
「なるほど。。私はかまいませんよ。」
「ありがとうございます。基本的には組んだまま押したりするのですが、
張り手をしたり足をかけてもオッケーですので。」
「わかりました。」
そう言って神父とヒデオは外に出た。
「では、ここより外に出たら負けということにしましょう。」
足で地面に線を書いて真ん中に集まる。
「はっけよーいのこった!で始めますね!いきます!
・・・はっけよーい・・・・のこった!!!」
自分でスタートの掛け声を出し、思いっきり神父さんにぶつかってみた。
しかし、びくともしない。
あれ・・・!?
つかんで投げようとしてみる。
やはり何も動かない。。。
足払いをかけてみる。
大木を蹴ったような感じでこちらが痛い・・・。
「どうしました?張り手ってこんな感じですかね?」
神父は軽く腕を振りヒデオの頬を叩いた。
その瞬間ヒデオは吹っ飛んだ!
そして意識が遠のいていく。。。
まさか神父さんにやられてしまうなんて・・・・
悪気はない神父さんにも気まずい思いをさせちゃうかも~・・・・・。
そんなことを思っていたら意識がなくなった。。。。
「はっはっは!!!お前はおもしろいのぅ!」
そんな王様の笑い声で目が覚めた。
「まさかリスト(神父の名前)に殺されるとはな・・・!!!はっはっは!!!」
まだ王様は笑っている。
「王様・・・私をなぜ何度も生き返らせてくれるのですか・・?」
苛立ちを抑えながら聞いてみた。
王様は、やっと笑うのを止めてこう言った。
「おもしろいからじゃ。」
・・・・・なんだと!?
面白がるためだけに俺をもてあそんでいる!?
「というのは冗談で・・・・」
冗談かい!!
王様に殴りかかって死ぬところだったわ・・・・・。
さすがに生き返らせてくれないかな?
「実は我が王国も人には言えぬ悩みがあってな。
そのために、お主のような異世界から来た者の力が必要やもしれぬと思ってのことじゃ。」
「え・・・!?それはどういう・・・?」
ヒデオはいきなり真剣な感じか!?と戸惑いながら思わず聞いた。
「それ以上は今言えることはない。
とにかくお主はお主の思う通りにしてよい。
安心しろ。死んだら生き返らせてやるから。」
「わかりました・・・。」
釈然としない気持ちはありながらもとりあえず、
死んだままになることはないということに安堵し、城を出るのであった。
多分神父さんも俺の弱さを分かってくれたはず・・・。
ちゃんと謝ってから相談しよう・・・。
謝るって・・・殺されちゃってすみません!って言うのかな?
うーん・・・。それも変な感じ・・・。
明るく、いや~まいっちゃいましたよ~みたいな感じがいいのかな・・・!?
これは難しい・・・。
でも、神父さんしか頼る人がいないからとにかく教会に行こうっと・・・・・。
そうしてとぼとぼと教会へ歩いて行くのであった。
まさかの神父さんに撲殺される!!!
神父さんは悪気がないので、けしかけて自爆!って感じですね。
予想を上回る弱さってことですね。