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第16死 ~ソウと神父の確執~

ゴブリンを倒し、仲間になりそうな人を見つけた!

しかし、その仲間が投げたブーメランにより死んでしまったヒデオ。

ちゃんと仲間となるのでしょうか?

「ヒデオよ。起きたまへ。」

「・・はい・・・。」

ぼうっとする頭を横に振って覚醒させる。

「あ!!そうだ!!ソウだ・・・!」

「何を言っておるんじゃ?」

「すみません。。ちょっと混乱してしまいました。」

「わかっておる。見えたからな。ゴブリンを倒し、ソウと出会ったようだな。」

「はい!」

「まずはゴブリンを無事に倒したこと、よくやった!!!」

「ありがとうございます!」

また王様に叩かれて死んではたまらない・・・。

ある程度の距離感を保ちながらお礼を言う。

「褒美は何がいいかのぅ?」

「えーと・・・・。今のところ欲しいものはありません。

 何もなくても大丈夫です。」

「ほほう!!謙虚なところなかなか気に入った!!

 何か必要な時は何でも言うがよい!

 できる限りのことはしてやろう!」

「ありがとうございます!」

損して得取れじゃないけど、結局は得になったかも。

良かった良かった。

まぁ、ホントに特に必要なものがなかっただけなんだけどね・・。


「そして、ソウについてだが。」

「あ!そうですそうです!!王国猟士と聞きましたが・・・」

「いかにも。もとはモンスターを狩って賞金を得る賞金稼ぎだったのだが、

 王国の役にも立っているので、お墨付きを与えたというところだな。」

「なるほど。ブラックバードにも賞金がかけられているそうですね。」

「そうじゃ。あれは10万クルだったかのう?」

兵士の方を向いて王様は尋ねた。

「いいえ。なかなか倒せるものがいないので、現在は15万クルになっております。」

「そうじゃったそうじゃった。」


そんな話をしていると、外が騒がしい。

どうしたんだ?敵襲??

そんなことを思っているとソウが入ってきた。

「王様!ご無沙汰をしております!ソウにございます!」

「おお!来ると思っておったぞ!」

王様は嬉しそうに声を上げた。

「久しぶりじゃのう。変わりはないか?」

「は。王様もお変わりないようで。」

ソウは初対面でもため口だったのでそういう感じの人かと思ったが、

王様にはさすがに丁寧な言葉でしゃべるようだ。


ヒデオはソウが来たことを喜び声をかけた。

「ソウ!約束通り来たんだな!!!」

声をかけると、ソウはびっくりしたようだ。

「あれ!?!?!ヒデオ!?お前は死んだんじゃ!?!?」

「ああ・・・死んださ。しかしここにいる。」

「ということは・・・・そうか!王様の力だな!」

「そういうことさ!実は俺は何回も生き返らせてもらっているんだ。」

「そうなのか・・・!って何度も???」

しまった!口を滑らせてしまった。。

何となく対等のような立場で話したかったのだが、

最弱がばれてしまうかもしれない・・・。


「ソウよ。ヒデオは弱いぞ!面白いぐらいにな!」

王様はヒデオが隠している雰囲気を感じ取ったのか、

真っ先にソウに告げた。


・・・・言うなよ~~!!ばれないようにしてたのに・・・!

じーっと王様を見たが、王様は続けてこう言った。


「だが、思いもよらない発想をすることができる。

 なかなか飽きがこない。

 ソウよ。お主とは性格的にも合うかもしれないな!」


「ほう・・・!」

ソウは感心したようにヒデオを見た。


「よっし!ヒデオ俺と組もうぜ!!

 組んでブラックバードを倒そう!!!」

「おお!!でもホントに弱いがいいのか?」

「かまわねえよ!多分死んだら王様が生き返らせてくれるってことなんだろ?」

「まぁそうだけど・・。」

「ヒデオよ。そなたの方はソウと組むことに異論はあるのか?」

王様はヒデオとソウを両方見ながら聞いた。

「ありません。こちらこそ仲間を探していたところだったので、嬉しいです!」

「よし!そうと決まればこれから頼むぜ相棒!!!」

「ああ!よろしく頼む!」


こうしてソウとヒデオはコンビを組むことになった。


「今日はもう遅い。ゆっくり休むがよい。」


「わかりました。」


そうして二人で城を後にした。

「ヒデオ!今日はお前の家に泊めてくれるか?」

「ああ・・・!と言っても教会に住んでいるんだが・・・。」

教会と言ったとたんにソウの顔が曇った。

「教会か・・・!なんでよりによって・・・!」

「どうした?教会に何かあるのか??」

「大したことじゃねえんだけどよ・・・・。」

「大した事じゃねえなら話してくれよ。」


しょうがないかとふっとため息をついた後ソウは話し出した。

「実は・・・俺はハンターやっているわけだが、

 モンスターを狩る以外にも野生動物を昔は狩っていたんだ。」

「野生動物か・・・そういえばあんまり見ないな・・・。」

「ああ。モンスターが生息するようになり、めっきり数が減っちまったんだが、

 教会の神父がハンターたちが狩りすぎたからだろと言ってくることがあってな・・・。」

「そんなことが・・。」

「俺たちは確かに見つけた獲物は逃さない。

 そういう狩りの本質と、教会は相いれないってところなのかもしれないな・・・。」

「そうか・・・。」

「かと言ってせっかく町に来たのに野宿するのもあほらしい。

 教会の世話になるとするか・・・。」

「俺が神父さんに言うから大丈夫だ…と思うぞ!」

「感謝する。」


教会に着いた。

「まずは、俺だけ行って事情を話してくるよ。」

「わかった。」


「神父さん。ただいま戻りました。ヒデオです。」

「どうぞお入りください。」

「あの・・・神父さん・・・ちょっとよろしいでしょうか?」

中に入るなりすぐに神父さんの方を向いて真剣な顔つきで話し始める。

「なんでしょう??」

その雰囲気に少し神父は押されているようだ。

「私にも仲間がとうとうできたのです!」

「おお!!そうなのですか!それはよかったですね!!!」

「実はその仲間を教会に泊めてもいいでしょうか・・・?」

「ええ!!もちろんかまいませんよ!!

 どんな方なのですか?」

神父さんも仲間ができたことを喜んでくれた。

これなら大丈夫かな・・・。

「実は猟士のソウという人なのですが・・・・」

「え!?」

ソウという名前を聞いた瞬間に神父の目がこわばる。

「ハンターのソウですか・・・・・。」

「はい。。ダメ・・・ですか?」

「いいえ。そんなことはありません。。

 ただ、昔にちょっとしたことがありましてね・・・・。」

「ソウから聞きました。。

 私としては神父さんの気持ちもわかりますし、

 ソウの気持ちもわかります。

 良い機会なので、和解というか、仲良くなってもらえたら・・・と思っております・・。」

神父はうつむきしばらく考えた後頷いた。


「そうですね・・・。あれは10年以上前のこと・・・。

 私もソウもあの時は若かった。。

 お互いに年を重ねてきているわけですし。」

神父がそう言ったので、ソウを呼びに行くことにした。

よかった。。

結構根が深い気はするけど、俺が潤滑油になるというか、

橋渡しをうまくして、誤解をなくせばなんとかいい方向にいきそうだ。

10年以上前って神父は40から50ぐらいに見えるけど、

30代ってそんなに若いってわけでもないよな。

熱い人だったのかもな・・・。

ソウは30代ぐらいに見えるから、10年以上前はそうとう熱い男だったんだろうな・・・。


そんなことを考えながらソウを呼びに行った。


「待たせてすまなかったが大丈夫だ。入ろう。」

「長かったな。神父が文句言ってやがったか?ハッハッハ!」

おいおい・・・問題起こすようなこと言うんじゃないぞ・・・。

ちょっと心配しながら中に入る。


「ようこそ。我が協会へ。」

「ああ。世話になる・・・。」


何とも言えない空気感が漂う。

多分喧嘩別れしてからの久しぶりの再会なのだろう。

ピリピリ感がやばい。


「どうぞこちらへ。まずは食事でもいかがですか。」

「ありがとうございます。」

「ああ・・・。」

そうやって歩いて行く。


食卓に着くと、出てきたのは鳥の肉だった。

「鳥とかも出るんだな・・・!」

ソウが言った。

「ええ・・・必要最小限の命はいただいて大切に食べております。」

「おいおい・・・俺達だって必要だから狩りをやってたんだからな・・・」

雲行きが怪しくなってきたぞ・・・・。。。


「そんなつもりで言ったのではありません・・・。

 気を悪くしたなら謝ります・・。」

「別に怒っちゃいねぇよ。そんなにすぐに切れてたら話になんねぇからな!」

「よかった・・・・。」

ヒデオが安堵していると、神父が言った。


「ソウさん。あなたの両親は元気ですか?」

「ん?何でそんなこと聞くんだよ!?」

「いや、あなたは家族と一緒に狩りをしているイメージだったので・・。」

「ずいぶん昔の話をしてくれるじゃねぇか・・・。

 今はずっと一人でやってんだよ!」

「そうでしたか。もしかしてご両親は・・・・。。」

「っへ!とうの昔に死んじまった!」

そうなのか・・・。

もしかしてブラックバードにやられたのか・・・!?

ヒデオがそう思った時、

「ん?ああ。そうだよ!ブラックバードにやられちまったんだ!!」

やはりそうか・・・。

だからブラックバードにこだわっているんだな。。

賞金のことしか言ってなかったけど、やっぱり胸に抱えているものがあるんだろうな。

言葉をなくしていると神父が言った。

「これは・・すみません。安らかに眠れるようお祈りいたします。」

「おいおい、祈らなくたって安らかに眠れるだろう。

 余計なことはしなくていいぜ!

 親父もおふくろも神父なんかに祈られたなんて知ったら、

 どんな顔するか・・・。」

これにはさすがの神父もカチンと来たようだ・・・。

「お前らは祈ることぐらいしかできねぇもんなぁ・・・!」

「おいおい・・そのへんにしておけよ・・・!」

さすがに止めたがなぜかどんどんヒートアップしていっている・・・・。


「そんなこと言いに教会に来たのですか!!」

神父さんも意外に好戦的なんだよな。。。

相撲強かったし(俺が弱すぎただけか?)性格的には熱い男って感じなのかも。

「ちげえよ!でもお前の顔見たらそういうしかねぇって!!」

「そんなことでは天国へいけませんよ!!!」

「っへ!!そんなあるかねぇかもわからねぇところどうでもいいわ!!!」

「そんなことを言うとばちが当たりますよ!!!!」

「ばちでもなんでも当ててみろよ!!神なんてなんもしてくれねぇだろ!!」

「あなたは神様を侮辱するのですか!!!!」


やばいこれは。本格的にやばい。

俺のことはもう見えてない感じ・・・。

今にも殴り合いが始まりそうだ・・・。


「もう出ていきなさい!神様を信じない者に教会にいる資格はありません!!!」

とうとう切れてしまったようだ・・・。。。

「っへ!!!どうせそんなことになると思った!!!」

ソウは席を立ち、出て行こうとする。

神父はその背中に

「両親もこれでは浮かばれませんね!!」

と言った。

「まだ言うのか!!!親のこと言うんじゃねぇよ!

 関係ねぇだろ!!!!!」

そう言って神父の方に近づいて神父に向かって手を振り上げた。


危ない!!!!

ヒデオはとっさに、ソウと神父の間に入った。

ボコッ!!

ヒデオの顔にソウのパンチが当たる。

ぐはぁああっぁああぁ!


「ヒデオ!すまねえ・・・・!!」

急に頭が冷えたのかソウは落ち着きを取り戻している。

「ヒデオさん。。。すみません・・・・!!私をかばってくれるなんて・・・・。」


「仲良くし・・・・て・・くだ・・・さい・・・」

遠のいていく意識。

これをきっかけにあの二人が仲良くなってくれれば死んでも本望だ・・・・。

生き返れるから・・・。

生き返れなかったら本望とまでは言えないけど・・・・。

ってかいてぇ。。。。。。。

この痛さは何とかならないものか・・・。

ならないな・・・。



そんなことを考えながらまたヒデオは死んでしまうのであった。



教会とハンター・・・・。やはり相いれない。

殺生をする職業はやはり教会とはうまくいかない・・ですね。


二人が仲直りできるのか・・・。

さらに長い時間がかかるのかもしれません。

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