第14死 ~猿も木から落ちる~
新しい敵出現。
飛んでいる敵はどうやって倒すのか。
その前にゴブリンを倒すことをお忘れなく・・・。
「ヒデオよ・・・お前はそんな趣味があったのか?」
王様がどこか意地悪そうな顔で話しかけた。
「うーん・・・・?」
ヒデオは気が付いた途端よくわからないことを言われたので、何とも言えない表情だ。
「縛られたりするのが好きなのか・・・・?」
「え!?何の話!?」
急に頭が覚醒し、慌てて否定する。
「お前は足を縛った縄に入れていたのでな。」
「違いますよ!!ってか王様わかっていってるでしょう!!
死ぬ前の様子を少し見れるって言ってたじゃないですか!」
「はっはっは!ばれたか!兵士たちは見れんのでな。
縄が足に入った状態のそなたを見て、
縛られるのが好きだとか、鞭で叩かれるのが好きだとか
そういう設定を加えてやろうかと思ったのじゃ。」
「勘弁してください・・・・。たちわるいですよ・・・。」
兵士たちもさすがに引いているような。
ニヤリとしている人もいるけど・・・・。
「冗談はさておき、あの木登り方法はなかなか良いのう。
あれは、兵士にも技術として伝えておく。
ロープだけで木に登れるのは大きな利点となる。」
「ありがとうございます!お役に立てたなら嬉しいです!」
ひとまず足縄での木登り方法は好評だったようだ。
だからこそ最初にふざけたテイスト(?)で入ったのかもしれないな。
素直じゃないって感じだけど。
「ところで王様、夜に出てきたあの黒い鳥なのですが・・・。」
「あれか・・・。あれはやっかいだぞ。
そのままブラックバードと呼んでいるのだが、
暗いところで黒い体なので動きをとらえるのが難しい。
しかも、飛んでいるのでな・・・。
我が兵士もヤツにやられてしまったこともある。
まぁ、夜にしか出てこんから、気を付けていれば遭遇することもないだろう。」
「そうなのですね・・。確かに、倒すのは難しそうです・・・。」
「まずは、ゴブリンを倒すことのみを考えて励むがよい。」
「はい。ゴブリンを倒したらブラックバードを狙ってみます!!」
「・・・・聞いてたのか?やめておけ。
そなたでは、厳しいであろう。
他のモンスターにしておいた方がいいだろう。
飛んでいる敵にはお主の罠も相性が悪いだろうしな。」
「そうですが、兵士さんたちもかなわないようなモンスターを倒してこそ、
私の存在意義があると思います!」
「おお・・・!」
兵士たちからざわめきが起こった。
「そなたの気持ちはわかった!
その意気や良し!
まぁ、とりあえずゴブリンを倒すがよい。
なかなか気概のある言葉。嬉しく思うぞ。」
よし。
ちょっとかっこつけすぎちゃったかな?
改めて思いなおしてみるとちょっと恥ずかしい・・・。
しかし、偽りのない気持ちだ。
やってやるぜ!!!
誰にも相手にされない役に立たないなんてのはもうごめんだ!!
前の世界の嫌なことを少し思い出したが、
今は前を向くとき。
とにかくゴブリンを倒す!!!
と気持ちを新たにするのであった。
その日は教会で休養を取り、翌日朝から出発した。
今日こそはドッスン作戦を完遂してやる・・・・・。
森に着きいつもの場所に向かう。
ゴブリンも数自体は多くないのかもしれない。
あまり会わないな。
作ってる途中に遭遇したらどうしようか・・。
まずは、自分の安全を確保できるような罠を作っておくか・・・!?
いや・・・時間がかかるからやめよう。。
また夜になっちまうかもしれないし。
そん時はそん時!
とにかくドッスン罠を作ろう。
目的の木についた。
木登りの感覚を忘れていないか試しに少し登ってみるが、
問題ないようだ。
よし。これならいける。
まずは、上に板をもっていかないとね。
板を背負って登るのは難しそうだ。
板を二ヶ所ロープで結び、上の太めの木に逆側のロープを通して、
下に引っ張って板を持ち上げる井戸の滑車みたいなことできるかな・・?
上に登り、まずはロープだけ木の上にかけてみる。
悪くない。。。!
木はまるく、表面は少しザラザラしているものの滑る。
普通にロープで持ち上げるより、下に下げる力で持ち上げた方が楽だからな・・・。
これで行こう!
上の少し太い枝にロープを通し、とりあえずその辺の木に結び付けておいた。
下に降りて板にロープを巻き付ける。
また上に登り、上の少し太い枝にかかっているロープを下に引っ張る。
すると板が上がってくる。
手を休めたら一瞬で下まで落ちてしまうが、何とか上まで板を持ち上げることができた。
そしてそのままロープ付き板を木の上に結びつける。
これで今度は、逆に太い枝の上を通しておいたロープを下に落とし、
そのロープを引っ張れば板がずれて上のものが落ちるというしかけになる。
ピンと張っておいて、それを切るって計画だったけど、
これはこれでいけそう!!
ふぅ・・・。この調子であと2枚!
そうした2枚の板を木の上に設置してロープが3本下に垂れている状態になった。
よし!
あとは、上に石だのなんだのいろいろ乗せよう!!
その辺に落ちている大きめの石や、木を持ってあがり、板の上においては下に降りる。
これを何度も何度も繰り返した。
だいぶ木登りがうまくなってきた。
最初には20分程度かかって上に登っていたが、
半分以下の時間で登ることができる。
木登りの達人といってもいいかもしれない。
腕の力も相当鍛えられている気がする。
腕に疲労がたまっているのもわかる。
きっとしばらくは筋肉痛になるだろうな・・・・・。
そんなことを考えながらも作業の手は休めない。
木の上の板にはどんどん物が積み重なっていく。
木とか石しか結局は置けないが、
この高さから落ちればかなりのダメージを与えられるだろう。
しかも、この量なら。
ゴブリンはあんまり強いってわけじゃないから、
大丈夫なはず!
念には念を入れてさらに何往復もして上に物をのせていく。
板を結んでいる枝がかなり重さでしなってきてこれ以上はのせられないかもしれない。
よし!これで最後にしよう!
最後に重めの石を運ぶために服の中に入れて木登りを始める。
ふぅ・・・。
最後だ!今まで何往復したんだろ?
さすがに腕が疲れたけど・・・
木登りスキルみたいなのがあったらマックスまでいってるかもね?
罠士&木登り士でもいいぐらいだ!!!
そんなことを思いながら登っていく。
もうすぐといったところで、急に腕の動きが鈍くなった。
「あれ・・どうしちまったんだ俺の腕・・・!」
今まで何度も何度も登り降りしていた腕が急に限界を迎えてしまったようだ。
もうすぐ完成ということでこれで最後という心のゆるみが原因なのか、
一気に今までの疲労がヒデオの腕へ襲い掛かった。
握れない…力が入らない・・・・・・!!
落ちる。。。このままじゃ落ちる・・・・!!!!
必死にしがみついているが握る力もなくなり、
手が離れてしまった。
うわあああぁあぁ!ジェットコースターとか落ちる系苦手なんだよ~
ドシャン!!!
いろんなことを思ったがすぐに地面に到達!
走馬燈って一瞬にして過去を振り返り、どうにか助かる方法を探すらしいね・・・。
残念ながらそんな方法はなかったようだ。
重い石を服の中に入れて運んでいたこともあり、
着地した際にその石が腹に刺さったようだ。
うう・・・。
調子に乗っちゃいけなかった・・・。
調子がいい時こそ安全に・・・。
猿も木から落ちるとはよくいったものだ・・・・・
・・・・こうしてヒデオは懐かしいことわざが頭によぎったと思ったら意識を失ったのであった。
大量に雪が降った時にかまくらを作ったのですが、
その雪をひたすら叩いて固めていて、完成するって時に
急に腕が痛くなり腕が動かなくなったことがありました。
ホントに急に力が入らなくなる。
そのあと、ものすごい筋肉痛がしばらく続きました。
ヒデオの場合は死んでリセットだから痛みが残ることはありません。