第10死 ~とうとう・・・!?~
かな~り手ごたえあった罠作戦。
しかし、ある意味予想通りの自分が落ちて死亡・・・。
さてどうなる!?
「ヒデオ!起きなさい!」
「っは!」
また死んでしまったんだった・・・。
そういえば銅のつるぎは・・・?
よかった・・・腰の鞘に入っているようだ。
王様怒ってるかな・・。。
恐る恐る様子を確認してみる。
王様はいつもと変わりない様子だ・・。
どっちだかわからないな・・・。
あんまり感情が表に出てこない人なんだよな‥。
笑ったりしてる時もあるけど。
「ヒデオよ。あれはなんじゃ?」
「えーと・・・あれとは?」
「穴を掘っていたであろう。自分の墓でも掘っていたのか?
もう生き返りたくないと申すか?」
王様はどこか残念そうにこちらを見た。
墓か…見ようによってはそう見えるかも・・・!
危ない危ない・・・そう解釈されて生き返らせてくれなかったら最悪だったな・・。
「いえいえ・・!!違います!!!」
慌てて否定する。
「ほう?ではあれは・・・?」
・・・・ここには罠という文化がないのかもしれない!!!
もしかしたらここで成功させることができれば、
王様が認めてくださるのではないだろうか・・・。
「あれは【罠】というものでございます。
敵が来るのを待って罠にはまったところを倒すということです。」
「ほほう・・・・。なるほどな・・・。」
王様は感心しているようだ。
「今までそんなこと考えたこともなかったのう。
モンスターなどに出会えば倒す。それだけだったからな・・・。」
確かに普通に勝てるなら罠なんてやる必要もないから発想自体ないのもうなずける。
「強ければいいのでしょうが、それだと私みたいに弱い者は勝つことができないので・・・。」
「なるほど・・・。よく考えたものだ!褒めてつかわす!」
「ありがとうございます!」
「しかし、まだお主は結局スライムごときも倒していないではないか。」
「っう・・・・・」
「スライムを倒してまいれ!さすれば褒美を与えよう!!!」
「わかりました!」
よし!!
よしよしよし!!!
王様からお褒めの言葉をいただいたぞ!
やはり方向性は間違っていなかった!!!
褒美ってなんだろうな・・・。
楽しみ!!!
前の人生ではあまり褒められることはなかったからな・・・。
少しでも褒められると舞い上がっちゃうね!!!
人を従える立場の人は褒めて育てるってやっぱ大事なんだろうな。
俺が死んだ罠はまだ残っているだろうか?
もしかしたらそこにスライムだけ入っているって状態かも・・・!!
それならすぐに上から砂をかけまくってフィニッシュ!!!
いけそうな気がする!!!
よし!すぐにあそこへ行こう!!!
心が躍る!
足遅いけど、なんか速くなったような気さえする!!
すぐに落とし穴を仕掛けた場所へ着く。
「ここの中にスライムがいれば・・・・・」
緊張の一瞬・・・!
中を見ると・・・・
スライムは・・・・・・
いなかった。。
がっかりだ。。。。
埋めたりしていないので壁に貼りついたり昇降用のちょっとした階段みたいなのを作っておいたからそこから逃げたようだ。
うーん・・残念。
もし急にすぐ雨が降ってきたらここに水が溜まってそれを吸収してまた巨大スライムが誕生しちゃってたかもな。
まぁその様子はないから一安心。
さてスライムをおびき出してみよう・・・。
結構軽いみたいだから上に蓋みたいなのをしたとしても相当軽い重さでも落ちるようにしないとだめだよなぁ・・・。
うーん・・。結構難しいな。
そもそも蓋なしでも良いんじゃないか・・・?
横を持ってきた砂がたっぷり入っている袋でふさぎ、
真ん中の穴のところからしか通れないようにして、逆からスライムを挑発すれば・・・。
あんまり知能がないと思われるから、普通に落ちそうだな。
いけそうな気がするがもっとよく考えてみよう・・・・。
崖とかに生息しているスライムがいたとして、崖から落ちたりするってことあるか?
あんまりない気がするな・・・。
ということは、落ちるってのは何か感じるのかもしれない。
確実に仕留めるにはもっと頭を使わないと・・・・・。
落ちるのは感じ取れるかもしれないが、
だんだん下がっていく坂を作っておいて誘導するのはどうだろうか・・・。
スライムって後ろに下がったりするかな?
見たことないな。前にうにょうにょ進んでくる。
だんだん下がっていって坂の一番低いところは周りが壁になっているような感じにして、
奥まで来たら退路を断つように砂袋を投げてふさぎ、
上から大量の砂をかけまくって生き埋めに。
・・・・いやまてよ・・・?
やっぱり穴じゃないと上から砂をかけたときにうまく生き埋めにできない気がする・・。
うーん・・。
そういえば、この前殺されたのは穴に落ちてからスライムが上から落ちてきたんだよな。
獲物を狙っているときは穴に飛び込んできたりするってことかぁ。
これをうまく使うしかないか・・・。
ある程度広めの穴にしてスライムに自分を追いかけさせて、
自分が穴に入り、スライムが穴の中まで追っかけてきたら、
すぐに自分は上がり、階段のところに砂をぶちまけて使えないようにして
あとは砂を中に入れまくってスライムを埋める。
・・・・これでいこう!
スライムが飛び込んでくる姿が見えたぐらいで自分が上がり始めるぐらいの気持ちじゃないとやばそうだな。
そこのタイミングがカギとなりそう。。
ちょっと落とし穴を広めにしないとね・・・。
階段もうまいこと作らないとな・。
横に進むような階段にしよう。
そうすればすぐに壊せるし。
2時間ぐらい作業しただろうか。
ふう・・・。
結構いい感じにできたな・・・。
穴を拡げた分、砂ももう少し持ってきたほうがいいかもしれないな・・・。
備えあれば憂いなし。
あと砂を10袋ぐらいは用意しよう・・・。
重いんだよな・・・。
袋だけは大量にあったからよかったけど・・・。
湖の近くの砂は水を吸収しやすそうでいい感じ・・。
よし。。
準備は整った!!!
いける・・・いけるぞ!
いざスライム討伐!!!
さ~てスライム探すか・・・。
結構作業してたけど襲ってこなかったから、意外に野生のスライムは少ないのかもしれないな。
この辺は住処じゃないのかなぁ。
まぁいいや。探そう・・・。
しばらく探すとスライムを見つけた。
よし!
ここから罠までは300mぐらいあるな・・・。
疲れないようにちょっと休んでからにしよう・・・。
・・・・。よし!
まずはかなり遠くから石で気を引いてみる。
おりゃあ!
コンコン・・・石がスライムのほうへ転がる。
スライムに当たっているわけではないが、
物音に気付いたのか、石のほうへ動き出した。
いいぞいいぞ・・・。
声を押し殺してガッツポーズをする。
この距離なら怖さはない。
また離れて石を投げる。
その繰り返しをして、残りは100mぐらいにはなっただろうか。
このままの調子でいければ・・・。
同じように続けて残りは50mほど。
スライムは特に敵と認識して全力で追いかけてくるわけではなく、
なんか音がするからそっちでも見てみるか・・という感じでゆったり進んでいる。
残りは20mか・・・・残り10mになったら姿を認識させて、
5mになったら穴に飛び込もうかな。
残り10m・・!
「おい!スライム!!こっちにきやがれ~~~!!」
スライムの速度が少し上がったように思える。
認識したようだな・・・!!
走って逃げる。
振り返るとしっかりスライムは追いかけてきている。
このまま・・・・。
スライムが残り5mぐらいの位置になったときにヒデオは穴に到着した。
よし!穴の中へ!!!
落とし穴のようにいきなり落ちたら大ダメージだが、慎重に下りればなんてことはない。
足をしっかりしたに下げてからおりた。
それでも、少し膝に痛みを感じたが、まぁこれぐらいなら問題なし。
あとは、スライムがしっかり追ってくるかだな・・・。
階段に3段ほど上がった状態で様子を見る。
まだスライムは来ない。。
あと5秒ぐらいかな・・・。
4・・・・3・・・・2・・・・1・・・・。
スライムが穴のふちに見えた!
しかし、まだ中に飛び込んではこない。
失敗か・・・!?
どうするか・・・!?
下に落ちている石を投げてみた。
スライムにヒット!
スライムは動き出し、穴に飛び込んできた!!
ヒデオはすぐに階段を上る!!!
「うわ~!!来たぞ来たぞ!!!」
上りきってすぐに砂を中に入れだした。
まずは、手前の階段に砂をばらまき、階段として使えないようにした。
「ふう・・・。これで一安心かな・・・?」
中の様子を見てみる。
スライムは壁を上ることはできないようで、うにょうにょ動いているだけだった。
よし・・・!!
ここまでで作戦はほぼ成功したようなものだ!
あとは砂を素早く入れまくって埋めてやる・・・・!!!
やってやるぜ~!!!
おりゃおりゃおりゃおりゃ~~~!!!
砂をまきまくるヒデオ。
スライムは砂の上にのぼることなく身体が埋まっていく。
ここで手を休めるわけにはいかない!!!
埋まれ埋まれ埋まれ~~~~!!!!
スライムの身体をすべて砂で埋めることができた!!
しかし、まだ手を休めない!
まだまだあぁああぁあぁあぁぁあああ!!
持ってきた砂は全て使う!
穴の4分の3ぐらいまで砂が入ったときに砂袋がなくなった。
はぁはぁはぁ・・・・・。。。。
これでスライムは死んだか・・・・?
穴の中の砂の上に立ってジャンプしてみる。
固めたほうが中のスライムが死ぬと思ったからだ。
「これでどうだ!!ふんっふんっふん!!!」
今まで殺された恨み~~!ってほどでもないけど、
力を込めて踏みつける。
かなり砂が固くなったようだ。
その時!!身体が熱くなるのを感じた!!!
力が湧いてくる・・・?
今までよりも間違いなく強くなった・・・!?
もしかしてこれは・・・・!!
レベルが上がったってことなんじゃないかな!?
たとえスライム一匹でも、俺にとっては一発で殺される敵を倒したんだから。。。。
結構レベルが上がったのかも!!!
RPGとかだと、スライムは基本的に1とか2しか経験値もらえないけど、
それでレベル上がるってのもむなしいな・・・。
いや!でも上がるだけでもよしとしよう!!!
ゲームだと、レベル1でもスライムを倒せるってことを考えると・・・・。
今俺はレベル1ぐらいにはなったのかな?
今までは、レベル0.1とかそういうレベルだったのかも。。
よかった!これで、簡単に死ぬことがなくなりそうだ・・・!!
王様に報告しに行こう!!!!
喜び勇んで城へ向かう。
こころなしか、足も速くなったような?
レベルとかそういう概念のことも王様に聞いてみようかな。
いや~!でもとにかく嬉しい!!!
記念すべき初討伐!!
褒美ももらえるだろうし、楽しみだ!!!!
気持ちが晴れやかだといつもの道も短く感じる。
すぐに城についた。
そして中に入り、王様の前に向かう。
「あ、兵士さん!初めてスライムを倒せました!!!」
「おお!!!やっと倒せたか!!よかったな!!!!」
兵士さんも喜んでくれた。
スライムごときを倒して喜んでんじゃねえよ!とかじゃなくてよかった!
この世界は悪い人全然いないな。
世界がばら色に見える。すべての人がいい人に見える!
王様がいる王の間の前までついた。
身なりを少しは整えて・・・・。
といっても汚いな・・・。
まぁしょうがない!!
そういえば、普通に王様に会いに来たことはなかったな。
いまいち作法とかがわからない・・・。
普通に入るしかないか‥。
ノックをする。
「王様。ヒデオでございます。」
「入りなさい。」
親衛隊というか王様のそばにいつもいる兵士の声がした。
ドアを開けて入る。
「王様!スライムを討伐してまいりました!」
「おお!!!そうか!!!よくやったな!!!」
王様もものすごく喜んでいる!
「ちこう寄れ!!!!」
王様の前まで近づく。
「本当によくやったな!!!これは大きな一歩である!」
王様はかなり喜んでいて、玉座から立ちヒデオに近づいた。
「罠というものは有効だな!!強い敵にも勝てるということをよくぞ証明した!!!」
そういってヒデオの肩をバンバン叩いた。
すると・・・・ヒデオは王様の力によって肩の骨が折れてしまった!!
痛い・・・!!王様強すぎ・・・・!!!
王様も驚いたようだ。
「おい!?大丈夫か!?」
「痛いです・・・・」
痛みで意識が遠くなりそうな状態で答える。
「うーむ・・・。こうなってしまったら一度死んだほうが早いかもしれんな・・・。」
薄れゆく意識の中で、
ヒデオはそんな物騒な声を聞いたような気がした・・・。
スライムをやっと撃破しました!!!
レベルも上がり、新しいステージに上がった感じがしますね!!
でも、まさかの王様に・・・。。。