第1死 ~こんな俺でもやったるぜ!~
嵐の日に大きな雷に打たれ別世界に転生!?
しかも最低最弱!
どうなる「ヒデオ」
英雄となれるのか!?
ドンガラガッシャーン!!
聞いたこともないような大きい雷。
そう思った瞬間意識が遠のいていった・・・・。
「おお!ヒデオ!死んでしまうとは情けない。」
そんなゲームで聞いたようなセリフが聞こえてきた。
え?俺に言っているのか・・・?
どうやら死んでしまったらしい。。
って・・そんなら今考えている俺は何?
・・足はある・・。痛みや調子の悪いところはない。
幽霊ってわけでもないようだけど・・。
「何をしている。すぐにまた旅立つがよい。」
王様みたいな人に言われて立ち上がった。
なんで名前知ってるんだろ?
しかし、ここどこ?
とりあえず、一本道を通り階段に行った。
どうやらお城のようだ。
うーん。。
状況を整理しよう・・・。
歩きながら考え出した。
これはいわゆる・・・転生ってやつ?
俺は普通のサラリーマンだったはず・・。
そうだ・・・大きな嵐が来て・・・。
傘もぶっ壊れてとにかく急いで家に帰っているときだった。
聞いたこともないような雷の音がして・・・。
気が付いたら王様の前にいたってことか。
死んだってことなのかなぁ・・・。
でも、考えようによってはチャンスかもしれない。
普通のサラリーマンやってたけど、自分で自分の能力が高いと思ったことなんてないし、
むしろ低いと思わないことはなかった。
同期と比べても後輩と比べても・・。
どんどん追い抜かれていったし。
まぁ首にはならずにはなんとかやっていけていたけど・・。
出世とか無縁だったからなぁ。
別の世界でなら・・。そんな風に思ったことも何度もあるし。
今まさにチャンス到来だ!
この世界で何かすっごいことしてやろう!!
ポジティブに考えることだけが俺の特技。
いつも何事も下手だったしできなかったけど、あきらめないでやりまくってたら何とかできたし。
ゲームとかこつこつレベル上げとかして最終的にはクリアしたし!
友達があきらめちゃうようなゲームでも俺がクリアできなかったのはない!
よっしゃ!とりあえずこの世界での生活を楽しむぞ!!!
そう決意したものの、何をすればいいか全くわからない。
こういうときは・・・。
町の人に話を聞く!RPGの基本だね!
どうやら言語は通じるようだからよかった!
城を出る前にまずは、兵士の人に聞いてみよう・・。
「すみません~。これからどうすればいいですか?」
兵士の人は怪訝な顔をした。
「人生相談か?今警備中だ。悩み事があるなら教会にでもいってきたらどうだ?」
「あ・・ありがとうございます。教会ってどこにあります?」
「城を出てまっすぐ行けばわかるよ。」
いきなりこれからどうすればいいですか?だけでは確かに意味が分からなかったかな・・・。
まぁとりあえず教会に行って神父さんにでも相談しよう・・・。
教会へは迷うことなくつくことができた。
そんなに大きな町じゃないなぁ。
住宅街って感じ。
なんも知らない状態だからいろいろと教えてもらおう・・・!
「すみません・・・。」
「どうしました?」
今までのいきさつをすべて正直に話した。
すると、神父さんは親切に教えてくれた。
「なるほど。。あなたも迷い人の一人ですね。私たちの王様ジョン様は、不思議な力があります。
人の名前やどのような力を持っているかがわかるみたいです。
そして、天寿を全うすることなく死んでしまった人の魂を呼び寄せ、
肉体を再生することができるのです。
病気で死んでしまった場合はできないのですが・・・。
あなたも死んでしまったので王様に呼び寄せられたのでしょう。
ちょっと特殊なのは別の世界から呼び寄せられた・・ということですね。」
「やっぱりあの雷に打たれて死んじゃったのか‥。元の世界に戻れるのでしょうか?」
「今の段階ではそれは難しいと思います・・。原因なども何もわからないので・・・」
そうだよなぁ・・・。
やっぱりというか覚悟はしていたことだけど。。
「大体わかりました。それでこれから僕は何をすればいいのでしょうか・・・。王様には旅に出ろって言われたのですが・・。」
「ジョン様は簡潔にしかいつもおっしゃいませんからね。。」神父さんは少し驚いたような顔をしている。
「この町の外にはモンスターがいます。なぜいるのかというと、モンスターを生み出している者がいるからです。それが人なのか悪魔のような存在なのかはまだわかっていません。旅に出ろと言われたということはそのモンスターを生み出している者の正体を突き止めて、町に平和をもたらしてほしいということなのではないでしょうか。」
壮大な使命が課せられた・・・・!?
どうせ何もこの世界ですることもない身だからやるしかないか!
やらないという選択肢はないやろ。
「わかりました!できるかぎりやってみたいと思います!」
これこそ名を上げるチャンス!やっぱり男なら(女の人も思うかな)名を上げねば!!
「応援していますよ。」
微笑む神父さんと別れて町の外へ行こうとした。
・・・・武器とかないの?
武器屋とかあるかな?
そもそも防具とかも・・・。
今の自分を見てみると、いわゆる布の服を着ているだけ。
防御力なしに等しい・・・。
まずは、武器・防具屋探そう・・・。
町をうろうろしてそれらしいところを見つけることができた。
あんまり人がいない町だからどこですかとか聞けなかったなぁ‥。
入ってみると、ひげ面のいかにも武器屋って人がいた。
「いらっしゃい!何買うかい?」
そして店に入ってから気づく。
・・・・お金ない。。
ここのお金の単位はクルというらしい。
「すみません・・・このお店で一番安い武器ってなんですか?」
「そうだなぁ・・・この『ひのきの棒』で100クルだよ。」
「そうですか・・・ありがとうございます・・。また来ます・・」
「はいよ~ひやかしでもまたおいで~」
気のいい人だという感じはあったけど、商売だから無料でくれたりなんてことはないだろうなぁ・・。
とりあえず、お金はまったくない。
買えない。
どうするか・・。って外にいるモンスターを狩って稼ぐしかないんじゃないか・・。
装備も何もないけどしょうがないか。
まぁ、最初の町の近くには弱いモンスターしか出ないってのが相場だから、大丈夫だよね・・。
そうして外へ向かって歩き始めた。
町の外に出ると一見のどかな草原が広がっている感じ。
とりあえず、いるという話のモンスターを探そう・・・。
するといかにもゲームの最初に出てきそうな白っぽくてむにょむにょっぽいものがうごめいている。
あれはきっと「スライム」だろう!
スライム=最弱!
よっし!狩る!!
「先制攻撃~~~~!!!」
おもいっきり力をこめて殴ってみた!
やわらかい・・!効いてる?効いている感じゼロだけど・・・。
スライムはこっちを向いた。
そして、体の一部を硬くさせることができるみたいで、硬くなった体で体当たりしてきた。
「う!!!痛い・・・!!」
あごにくらってしまった・・・。ボクサーのパンチのような衝撃!!
意識が遠のいていく・・。
スライムにワンパンチKOされたのか・・・。
消えゆく意識の中でスライムが何度も体当たりをしてきて、ものすごい痛みを感じた。。。
・・・・
・・・・
「おい!こんな早く死んでしまうとは情けない!!」
王様のその声でまた起きた・・・。
どうやらスライムにやられて死んでしまったらしい・・・。
「何をしている。すぐにまた旅立つがよい。」
王様は前回と変わらない調子で言った。
うーん・・。
しょうがない・・・。
とりあえず、外に出るしかないか・・・。
またさっきの兵士に会ったので聞いてみた。
「白っぽくてむにょむにょしたやつと戦ったのですが・・。」
「それはスライムだな。」
「あれに殺されました・・・・。。。」
「え!?あれに!?そんなに弱いのか・・・・」
憐みの目で俺を見ている。。
「スライムって弱いですか・・・?」
「ああ。。一番弱い。間違いなく・・・。」
がーーーーん!
どうやら前の世界でもうだつのあがらない存在だった俺はこの世界でも最弱のようだ!!!!
前の世界のほうがまだましだったかも!?
さすがに最弱の敵にかなわないレベルだとは・・・・。
転生したらだいたい最強なんじゃないの!?
他の話では転生したらすごいスキル持ってるとかあるのに!?
俺は最弱!最弱のスライムにも勝てない!!!
なんてこった!絶望的な気持ちになりながらも、唯一の個性?であるポジティブシンキングをしてみる。
・・・・思いつかん!
いや、考えろ・・・!!!
最弱から強くなるってパターンなんじゃないか?
最初から強かったらチートっぽくてつまんないもんね。
そうだ!こっからの成り上がりストーリーが待っているのだ!
そう無理やり気持ちを立て直して城をあとにするのだった・・・・・。
常にポジティブに考えてなんとかしてやる・・!
・・・・できるかな?