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第九十話 美しいって罪よね

新キャラ登場です。

「どうしたんだ?リエル。君は戻らないのか?」


ゼリウスは広間に戻ろうとするが立ち止まったリエルを見て不思議そうに首を傾げた。

アルバートも訝し気な表情を浮かべている。そんな二人の様子にリエルは内心、溜息を吐きたくなった。


私だって、戻りたい。だが、今自分が戻れば周囲がどんな反応を示すかなど目に見えている。

これがリエル一人なら、然程注目はされない。だが、今リエルと一緒にいるのはゼリウスとアルバートだ。二人共、五大貴族の息子であり、独身。令嬢達の間では最高の優良物件であることだろう。


つまり、二人はとんでもなく目立つのだ。そんな二人と一緒にいたら、リエルも注目される。

…主に悪い意味で。きっと、令嬢達から非難の眼差しと忠告や心配と見せかけた嫌味と皮肉を言われるだろう。

冗談じゃない。誰がそんなトラブルに好き好んで巻き込まれたいと思うものか。

だが、残念ながら、この二人はきっとその事に全く気付いていない。


「あ…、えっと…、私はもう少し涼んでから戻ることにするわ。」


「そうかい?じゃあ、俺も付き合うよ。淑女を一人にさせるのは紳士の名折れだ。」


ゼリウスの言葉にリエルは引き攣った笑いを浮かべた。

彼は親切のつもりなのだろうがリエルにとっては、余計なお世話というものでしかない。


「…お前、顔色悪いぞ。具合でも悪いのか?」


「い、いえ!そんな事は…、」


アルバートは見当違いの気遣いをするしでリエルは途方に暮れた。

内心溜息を吐きながら、戻りましょうと言った。


―うう…。結局こうなるのか…。


こうして、二人とは別行動で戻ろうとしたリエルの企みは失敗に終わった。


「何だ。そんなにゾフィーと別れたのが寂しかったのかい?

君達は初対面なのに随分、仲良くなったものだね。羨ましいなあ。

彼女は人見知りで恥ずかしがり屋だから、俺には中々打ち解けてくれなくて…、」


それ、多分絶対違う。色々突っ込みたいが今のリエルにはその気力はない。


そんなこんなで広間に戻ったリエル達だったが…、

令嬢達が二人の姿にキラキラと瞳を輝かせ、注目した。

そして、リエルの姿を見て取ると、あからさまに顔を顰め、睨みつけてきた。

リエルはその視線からそっと目を逸らした。


「ゼリウス様ー!」


「どこに行ってらしたのですか?」


「やあ。麗しいレディ達。」


取り巻きの令嬢達にゼリウスは甘い微笑みを浮かべた。リエルはそんなゼリウスを黙って見つめた。



「リエル。」


不意にリエルは話しかけられた声に振り向いた。


そこにいたのは…、まるで月光を連想させる美しい銀髪を結い上げ、湖面の瞳を持った神秘的な美女が立っていた。


「シルヴィ!」


「フフッ…、久しぶりね。」


まるで月の女神かと錯覚しそうな程に美しい女性の姿に周囲の男達は見惚れている。

同性ですらもぽかんと口を開け、魅入ってしまっている程だ。


「元気そうね。でも、あなたがこんな所に来るなんて珍しい。何かあったの?」


「たまにはいいでしょう?それに、ゼリウスから、リエルが来るって聞いていたし。」


シルヴィと呼ばれた美女はフフッとリエルに微笑んだ。その微笑みにホウ、と感嘆の溜息が洩れる。


「あれが…、リアンディール家の秘蔵の姫君、シルヴィ様か?」


「う、噂以上に美しい…。」


「まるで女神の様だ…。」


ひそひそと囁き声が聞こえる。リエルはその様子に思わず苦笑した。


「相変わらず、すごい人気だね。シルヴィ。」


シルヴィはリエルの友人であり、リアンディール子爵家の出身である。

そして、リアンディール家はリエルと同じ五大貴族である。


「はあ…。本当に美しいって罪よねえ…。今日もたくさんの男を虜にしてしまって…。」


シルヴィはそう言って、フッと笑い、髪を払った。

少々、ナルシストな発言だがシルヴィが言うと、嫌味にならない。

実際、シルヴィは本当に美人だからだ。見れば、恋人や婚約者がいる男ですらもシルヴィに見とれている。


―シルヴィはあのお姉様と並ぶ位に美しいって評判だものね。

シルヴィはあまり表舞台に出てこないから、それもあってこんなに注目されているんだろうな。


黒髪紫眼のセリーナと銀髪碧眼のシルヴィは対極な美女として社交界でも騒がれている。

思えば五大貴族は桁違いの美形ばかりが集っている。

姉やルイ、リヒターにアルバート、ゼリウスにシルヴィ…。

何でこうも美形集団ばかりなのだ。おかげでリエルは肩身が狭い思いで一杯だ。

自分だけがこんな十人並みの平凡な容姿だなんて何の嫌がらせだろう。

せめて一人位、自分と同じような人がいてもいいのに…。そこまで考えてはた、とリエルは思い出した。


「あ、そういえば、今日はローランは来ていないの?」


「ローラン?あいつなら、茶会よりも読みたい本があるからって、今回は欠席しているわよ。」


「そうなんだ…。残念…。」


何てことだ。折角の同じ地味系容姿の仲間に会って励まし合おうと思っていたのに。

ちなみに、ローランとはリエルやシルヴィと同じく五大貴族の一つ、アルセーヌアント家の男爵家の次期当主である。

リエル達と同世代で同じ五大貴族として幼い頃から交流があるので仲は良好だ。


ちなみにローランはゼリウスと違って女っ気がなく、本や専門的な研究ばかりにいそしみ、浮いた話が全くない。そして、彼らのような美形集団の中では珍しく、容姿は目立たず、地味の部類に入る。

だから、リエルは勝手に彼を同志として認定していた。それなのに、彼は来ていないのだと知ると少なからず落ち込んだ。


四人目の五大貴族です。残り、後一人。

今回は名前だけですが後々、ローランも登場させる予定です。


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