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第四十三話 まさか、罠!?

すみません。パソコンがフリーズしてしまい、投稿が数日間できませんでした。

あの後、何故サミュエルと踊ったのかと問い詰めてくる弟を宥めつつ、リエルは椅子に座り、休憩をしていた。

ルイも先程まで傍についていたがとある侯爵家の当主に話しかけられ、無下にできない相手だったので仕方なく相手をしている様子だった。

大人しくルイが帰ってくるのを待っていようとしていたリエルだったが…、不意に一人の男がリエルに近付いた。


「フォルネーゼ家のご令嬢、リエル嬢ですね?」


話しかけてきた貴族子息は見目麗しい美貌の男だった。

ハニーブラウンの髪を持ち、中性的で線が細く、甘いマスクの持ち主だ。


「はい。そうですが…、」


「お初にお目にかかります。レディ。私はヴィッツェーリ伯爵家の嫡男、レイフと申します。バルト卿の使いでこちらにお伺いさせて頂きました。」


「バルト卿の?」


リエルはそういえば、つい最近、ルイの肖像画を描くために頼んだ画家を紹介してくれた貴族の名がバルト卿であったと思い出した。


「実は…、バルト卿がその肖像画の件でリエル嬢に確認をしたいことがあると…、」


「私に?弟にではなく?」


「ええ。その…、できればご当主様には内密にして頂きたいご様子でして…、」


もしかして、何か問題でも起きたのだろうか。

ルイは姉であるリエルには優しいが他人には厳しく、少しのミスも許さない完璧主義者だ。

叱責を恐れて、それを執り成して欲しいとリエルに頼みに来たのかもしれない。

断る理由もないのでリエルは頷くと、立ち上がった。


「ですが、連れが私がいないと心配するでしょうから伝言を…、」


そう言って、リエルは近くにいた従僕を呼び止めようとした。


「ご安心ください。ルイ様には私が後で説明しますから。それに、お話もすぐに済みますので。話が終わったらすぐに戻ってくれば問題ありませんよ。」


同じ伯爵家の彼の言葉にリエルはそれならばと頷き、会場を出た。


「…どちらへ?」


「あそこは人目がありますから。できれば静かな場所で二人っきりで話したいと。大丈夫ですよ。私は外で控えていますから。」


「こちらです。」


男に促され、リエルは中に足を踏み入れた。

「…?」


中に入るがそこには誰もいなかった。


「あの…、バルト卿は…、」


どこに、と聞こうとしたリエルだったがガチャリ、と鍵が閉まる音に表情が固まった。

扉の前には案内をした男が立ち塞がっていた。


―まさか…、罠!?


「…そこを退いて下さい。」


リエルは男を睨みつけた。


「この状況がまだ分からないのか?さすがは五大貴族の娘。箱入り娘は危機感が足りないと見える。」


クックッとおかしそうに笑う男は先程の紳士然とした雰囲気とは異なり、獰猛でギラギラとした目を隠そうともしない。

リエルは震える心を叱咤しながら毅然とした態度を崩さなかった。


「何をするつもりかは知りませんが…、愚かな考えはお止め下さい。」


「ハッ!随分と強気だな。その態度もいつまで持つか見物だな。」


「私は、フォルネーゼ家の娘です。伯爵家の嫡男であるあなたなら、分かるでしょう。

五大貴族に手を出すことがどんな意味を持つのか…、」


「立場が悪くなると、家の力を使うか。卑しい女だな。…もしくは、生まれが卑しいからか?」


「なっ…!」


リエルは顔色を変えた。

そんなリエルに男はズイ、と一歩近づくと、リエルの腕を掴んだ。

ギリ、と腕を強く掴まれ、リエルは痛みに顔を歪めた。


「っ…、無礼な!その手を離しなさい!」


リエルが思わず叫ぶが男はチッと舌打ちをすると、リエルの肩を掴み、そのまま長椅子に押し倒した。


「うっ…!」


リエルは呻き声を出した。

ガッと頭を強く掴まれ、そのまま長椅子に押し付けられる。


「黙れ!所詮は下賤な平民風情が!知っているんだぞ。

お前、本当はフォルネーゼ家の実子じゃないんだろ。」


リエルは目を見開いた。


「お前は不義の子なんだよ!

その髪と目の色が何よりの証だ!

父親にも母親にも似ていない。

フォルネーゼ家の名を名乗る資格も貴族の末席に加わる事すら、本来なら許される筈もないんだよ!

だから、お前を俺がどう扱っても構わないんだ!」


リエルはギュッと唇を噛んだ。

それは、ずっとリエルが気になっていたことだった。でも、それでも自分に言い聞かせていた。

父の言葉を信じていた。


「私は…、私は不義の子なんかじゃない!

私の父はエドゥアルト・ド・フォルネーゼ。

誰が何と言おうと、私は…!ッ…!」


男の手がリエルの頭を掴んだまま、ソファーの角に勢いよくぶつけた。

一瞬、意識が朦朧とする。


「ええい!口の減らない女だな!いいから、お前は黙って俺に犯されていればいいんだ!」


身体の上に男が圧し掛かるように馬乗りにされ、身動きがとれない。

ドレスの生地が力任せに裂かれ、リエルの白い肌が露になった。


―こんな…、こんな男に…!


「フン。リーリアの頼みでなかったら、お前なんか相手にもしなかったがな。

卑しい平民の分際で俺に相手をしてもらうなんて、光栄に思えよ。」


リーリア。

リエルはその名にピクリと反応した。

男の手がリエルの肌に触れる。

リエルはグッと唇を噛み締めると、


―こんな男なんかに…、好き勝手にされてたまるもんか!


リエルは何とか彼の手から逃れようともがいた。

が、所詮は女の力だ。

びくともしない。

男の手が気持ち悪い。

吐き気がしそうだった。

その時、リエルは視界の隅にキラリ、と光るものが目に映った。


リエルは空いている手を伸ばした。

長椅子の下に落ちていたそれを咄嗟に掴み、そのまま男の腕に突き刺した。


「ぎゃああああ!?」


男は腕を押さえつけ、見悶えた。

そこには、髪飾りの先端が突き刺さっていた。

リエルを押し倒し、頭を押さえつけた時にとれてしまい、床に落ちていた髪飾りだった。

その隙にリエルは彼の拘束から逃れ、長椅子から転がり落ち、そのまま床に膝をつくと、ドレスの裾に隠し持っていた短剣を引き抜いた。


護身用にとリヒターから渡されていた物だ。

扱い方はサラに教えてもらった。

彼女の様に武芸に秀でている訳ではないが時間稼ぎ位はできる筈だ。


―私がいなくなったことでルイが気が付いている筈。ルイが来るまで何とか時間を稼ぐしかない…!


「こ、この…!」


男が殺意を込めてリエルを睨みつけた。

リエルは短剣を構えると、


「近づかないで!それ以上、近づいたら…、私はあなたを刺します!」


「ハッ…!世間知らずの箱入り娘に何ができる?

人を斬ったこともない癖に!

俺にこんな傷を負わせやがって…!」


ぞっとする程の憎悪を放つ視線にリエルはびくりと震えた。

彼の怒りはリエルを殺そうとするかのような激しさを感じる。

リエルは身の危険を感じ、恐怖に支配されそうになる。


ゆらり、と男が立ち上がり、リエルに近付いた。

リエルは慌てて後ろに下がった。

が、動揺したあまり、リエルは背後の机に引っかかり、尻餅をついてしまった。

その隙を逃さずに男がリエルに覆いかぶさった。

ガッと顎を強く掴まれる。


「小娘が!よくも、この俺にふざけた真似を…!

貴様の顔にも傷をつけてやる!」


そう言って、男はリエルの髪を鷲掴みにし、前後に揺らした。

ブチブチと毛根から髪の毛が抜ける音と痛みがした。


「この髪もずたずたに切り刻んでやる!

鞭で叩いて、その身体に痛みを味合わせてやる!

泣いて喚いてこの俺に命乞いするがいい!」


「ッ…!」


リエルは男の狂気を感じた。

この人…、普通じゃない。

ギラギラと獰猛な光を放つ目はまるで獣のようだ。

リエルはギュッと目を瞑った。


―誰か…、助けて…!


まとめて、更新します!

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