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とてつもなく久々の投稿で申し訳ありません!!!
お待ちいただいていた方、お待たせしました!
少しずつ投稿致します!!
その言葉でアルベルトは固まり、そして何か言葉を告げようとした。しかし、そのどうする事も出来ない感情を頭の中で整理する事が叶わない。
「な、なぜ……」
「実は、以前から変な声が頭に響いていたらしいんだ」
「…………」
「何か悩み事があったらしい、その事についてより悪く考えるように仕向ける声が聞こえ、そして今日、魔王城に来るようにと告げられたそうだ」
「…!!!」
それは、確実に魔王と何かしら関係がある事を示していた。魔王城には招かれる事が無ければ普通は入る事ができない。つまり、エリーは招かれているという状況なのだろう。
アルベルトは自分が情けないと思った。
何か悩みを抱えていたらしいのに、自分がただ気恥ずかしいだけで彼女を避け、そしてその悩みを聞いてあげる事ができなかったなんて。
「今、エリーは、どこに」
「病室で寝ているよ、私に声について話した後にまた倒れてしまったからね」
「申し訳ありませんが、あの……」
「ああ、行っておいで。この話はまた後でしよう」
「はい!」
シリスには震える声はバレていたのだろう。もしかしたら自分が抱いているこの気持ちも知られているのかもしれない。
この父親は人の気持ちを察する能力が異様に優れている人物だから。
足早に白い廊下を抜けると、1人の女が目に止まる。それは、以前アルベルトに『感情』をなくさないかと提案してきた人物に他ならなかった。しかし、その女は魔物として捕まっていたはずだ。なぜここにいるのだろうか。
「お久しぶりね、アルベルト」
「名前を名乗ったことなど無いはずだがな」
「貴方を知らない人物なんてこの世界にいるかしら?」
女は艶かしく笑いながらアルベルトに体を寄せるとアルベルトの肩に自分の片手を乗せて上目遣いで視線を絡めてきた。
よく見ると着ているドレスは体にぴったりと張り付き、体の凹凸がハッキリ分かる仕様だった。普通の男であれば、この姿だけで引き寄せられてしまうのかもしれない。
「何の用だ」
「うふふ、前話したこと考えてくれたかしら?」
「ああ、考えたよ」
「なら」
「考えた結果、この思考は大切な事だと分かった。だからお前からの提案は全く必要無い」
そう告げると笑っていた顔はみるみるうちに真顔へと変わり、翡翠色の瞳を徐々に真っ赤に染めていった。
赤の目、それは魔物である証のようなものだ。
やはりこの女は魔物から送られてきた兵器。
銀の髪は輝きを失い真っ白な髪へと変わる、そして肩に置かれていた指の爪はのび、皮膚へと食い込んでくる。
「ダメよ、貴方は私が目をつけた人間なんだもの。私の物にならなきゃ」
「俺はお前の物になるつもりはない、下がれ」
「……後悔するわ」
「この感情を無くすより後悔するものなどない」
「うっふふふふ……あっはははは!!じゃあ仕方ないわ!!ここで殺してあげる!!」
それの腕が良くわらない方向に曲がり始め、肩から長く伸びた指が首へと這い上がってくる気配があった。アルベルトは持っていた剣で体へと伸びていたそれらをはたき落とし、距離を取る。
「後悔しても遅いのよ!!幾ら貴方がそこら辺の魔物には勝てても絶対に私には勝てない!!!」
汗が背中で流れている。
何もしていないのに、その気配だけで体が体力を奪われていくようだ。
今まで相手にしてきた魔物など下級のものでしかないという事実を目の前にして分かる。
このままでは、自分は死ぬ。
そう考えざる終えない。
相手は大きな蜘蛛のような形へその姿を変え、顔だけが原型を残していた。君の悪いその姿は普通の人間が見れば吐き気を催す事だろう。
長い足達をカチカチと鳴らしながら体を左右に揺らす姿は正に魔物の女王といったところか。
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